【蒼穹のファフナー EXODUS】戦い?それとも平和?-補足1

【蒼穹のファフナー EXODUS】戦い?それとも平和?の補足その1です。この記事を見直していた時、個人的にコメントをつけたくなったので、あえて分割して別記事にしました。

 

・一度目の選択

 一騎と真矢の関係は一期、『EXODUS』ともに、一騎と真矢の距離が近づいた時に一騎に大きな事件が起きて、そこで真矢との関係はストップ。一騎は大きな事件である選択をした結果、真矢との距離が遠のくという構図になっていた。

 一期では19話で真矢がファフナーのパイロットになった後、一騎と真矢の距離は急速に縮まった。しかし、23話で総士がイドゥンにさらわれた後、ひとり山の山頂で一騎は真矢にこう言った。

真矢「北極に敵がいるって本当かなあ」
一騎「行って、確かめてくる」
真矢「このまま島にいることだってできるんだよ」
一騎「遠見はそうしてくれないか」
一期24話

 一騎にとって真矢とはたとえ自分がいなくなったとしても、真矢がこの世に生きている限り、自分が竜宮島にいたということを覚えていてくれる存在である。それは一騎が総士のことを知りたいと竜宮島を出る前、一騎は真矢に24話と全く同じことを言っていたことからも明らかである。

一騎「遠見は俺のこと覚えていてくれる?」
  (中略)
真矢「たとえどんなに変わっても、一騎君のこと覚えてるよ」
一期10話

 24話では一騎と真矢の距離の縮まっていたはずなのだが、一騎はなぜか真矢に対して10話と同じことをお願いしている。この時、一騎と真矢の距離は一騎と総士が和解する前の状態、つまり真矢は一騎の記録者という立場に戻ってしまったということを表している。実際、24話の一騎の台詞「遠見はそうしてくれないか」に対して、真矢は「ううん、一騎君が行くならあたしも行くよ」と言っているのだが、真矢のその言葉に対して一騎は言葉を返していない。

乙姫「一騎と真矢、両方危険になったらどちらを優先する?」
一期19話

 つまり総士がイドゥンにさらわれた後、島のコアから一騎に対して「一騎と真矢」が「総士と真矢」に置き換えられて問いかけられたということである。そして、一騎は自分の残り少ない命を使って総士を助けることを選んで(※1)、物語は終わったということになる。もし真矢が一騎にとってのヒロインであれば、この時、敵にさらわれるのは総士ではなく真矢だったはずである。

 

・二度目の選択

織姫「真矢と世界、どちらを助けるの」
『EXODUS』22話

 『EXODUS』22話でアビエーターを同化した後、一騎は昏睡状態に陥り、キールブロックでミョルニアから二者択一の道を示された。これも一期同様、島のコアが総士に問いかけたこの言葉が一騎にも問いかけられたと見ていいだろう。しかし、一期とは異なり島のミールから一騎への問いかけも総士と同様の「真矢と世界」である。

乙姫「あなたはどう世界を祝福するの?」
『EXODUS』4話

 『EXODUS』の物語が始まってすぐ一騎は島のコアからこの問いを突きつけられた。この後、一騎は「世界をどう祝福するか」(※2)とつぶやいて自問自答している。

 しかし、『EXODUS』5話のCパートで一騎は短冊に願いを書いたが、即座に握りつぶした。この握りつぶした短冊に書いた「生きたい」という言葉こそ、一騎の一番の望みだった。一騎のこの望みは自らの命が尽きようとした時、「世界を祝福するなら」(※3)という島のミールの条件を受け入れれば、かなうことになった。たとえそれが戦い続けるという道であっても、一騎の「生きたい」という望みはかなう。そのため一騎は自分自身の望みをかなえるために、真矢ではなく世界を選んだ。

 一騎が島のミールの祝福を受け入れるということは同時に総士と同じくフェストゥムに世界に行くことでもあった。ミョルニアが一騎に問いかけた内容には一期の「真矢と総士、両方危険になったらどちらを優先する?」という問いを含んでいたということになる。

 

・守る者、守られる者

 『EXODUS』では真矢が新国連に捕らわれの身となったが、助けに行くのは一騎ではなく総士だった。つまり真矢は『EXODUS』においても一騎のヒロインになることはできなかったということとになる。

   守る人 守られる人
一期   一騎 真矢、総士
EXODUS 総士、真矢   一騎

 一期では真矢は守られる側だったが、最後に敵に捕らわれたのは同じ守られる側にいた総士だった。『EXODUS』では守る人と守られる人が逆転していて、シュリーナガルから竜宮島に戻る旅では一騎は守られる側であり、総士と真矢が守っていた。その構図が一番わかりやすく描かれていたのは『EXODUS』18話ラスト、一騎が人類軍の工作員から狙われた場面である。人類軍の工作員の銃弾から総士が身を挺して一騎をかばい、真矢が人類軍の工作員を撃ち殺した。

 『EXODUS』において守る側の真矢が新国連の捕虜となったが、真矢を迎えに言ったのは同じ守る側にいた総士だった。上記の図で守られる側にいる一騎が新国連の捕虜になっていたら、真矢が迎えに行くという展開もあっただろう。一騎が新国連の捕虜になるという展開は一期にあり、その時は真矢が迎えに行ったが、一騎と真矢との距離が縮む前であり、その時、一騎の頭の中には総士しかなかった。そもそも一騎が島を出たのは総士を理解するためであった。そのため、島の外の世界を見て総士が考えていたことを理解した一騎は真矢には目もくれず(一期15話EDで一騎は真矢を目の前にして総士のことしか話していない!)、ザインに乗って一足先に総士のいる島へ帰ってしまった。

 一騎と真矢の関係は基本的にすれ違いである。ほんの一瞬、二人の距離が縮まる時があるが、長続きしない。

 


 さて、長い前振りはここまで。
 なにが言いたいかというと

「一騎は真矢に謝って!」の一言。

 『EXODUS』25話で竜宮島に帰ってきた真矢を出迎える一騎のすっきりとした顔を見るたびに殴りたくなります。

 

※1 ドラマCD『GONE/ARRIVE』を参照。この中で一騎の総士を救いたいという気持ちが描かれている。

※2 『EXODUS』5話Bパートの一騎の台詞。

※3 『EXODUS』24話、キールブロックでのカノンの台詞「お前が世界を祝福するなら、我々が生と死の循環を超える命を与えよう」。

 


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