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【蒼穹のファフナー THE BEYOND】同じ考え

 どうすれば『蒼穹のファフナー』を理解することができるのか? 
 私は『蒼穹のファフナー』のキャラクターと同じ立場に立ち、キャラクターが考えていることを理解した時、『蒼穹のファフナー』を理解することができました。

 

 私は『ファフナー』の一視聴者、つまり傍観者でした。しかし、2019年10月26日、私は以下のの場面の一騎と経験をした後、一騎と同じことを考えた時、物語の中に入り、『ファフナー』の傍観者から『ファフナー』の当事者になりました。


 私は『ファフナー』を当事者になったことで、『ファフナー』の当事者であるファフナーに乗って、フェストゥムと戦った子どもたちの考えを理解しました。

 2025年3月22日、私は以下の場面の史彦と経験をした後、史彦と同じことを考えた時、『ファフナー』を見る視点が『ファフナー』の当事者から『ファフナー』の傍観者になりました。


 『ファフナー』の傍観者とは「ファフナーに乗って、フェストゥムと戦った子どもたちの親」です。私は当事者の考えを理解しているので、『ファフナー』の一視聴者に戻ることはありません。

 私が『ファフナー』の当事者(ファフナーに乗って、フェストゥムと戦った子どもたち)と傍観者(その親)を理解するのに使った方法は、ワーグナーの舞台神聖祝典劇『パルジファル』で、パルジファルがアンフォルタスを理解する方法でした。私は長年、この場面の意味がわからなかったのですが、『ファフナー』でパルジファルと同じ経験をした時、この場面の意味を理解しました。

 これを読んでいる人に対して、私が経験したこととその後に考えたことを言葉で伝えても、何の意味もありません。大切なのはこれを読んでいる人が、あの場面の一騎、史彦と同じ経験をした後、自分一人で考えて一騎、史彦と同じ考えに到達することです。

 

【蒼穹のファフナー THE BEYOND】旅

織姫「行きなさい。
   そしていつか島を目覚めさせて」
『EXODUS』26話

溝口「長い旅に出てた気分だ」
『THE BEYOND』12話

 織姫は半ば強制的に竜宮島の人々を竜宮島の外に出した、つまり旅に出しました。竜宮島の人々は竜宮島から離れたことで、真実を受け入れられるようになり、竜宮島で経験した悲しみは別のものに変わりました。

 

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【蒼穹のファフナー THE BEYOND】一騎の旅立ち Part1

 『EXODUS』放送終了後、Twitter(現 X)に能戸監督は以下のようなツイートをしました。

能戸 隆
一騎くんが島のミールに祝福された事をいつか話してくれるといいですね。
「遠見、あのさ、俺さ、実はさ・・・」
2016年11月11日

 『THE BEYOND』の中に一騎が真矢に島のミールに祝福されたことを話すシーンはなかったので、私は「真矢は一騎が島のミールに祝福されたことを知らない」と考えました。

 

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【物語の読み方】二つの物語

 たとえ同じ時間と空間に身を置いても、誰の視点で描くかによって、まったく別のものになる。
黒田龍之介『ロシア語だけの青春』(ちくま文庫)

 

 『EXODUS』は三人称(2151年の出来事)はと一人称(総士が語る物語)という二つの人称で描かれた物語でした。総士は自らの物語を人間の言語(言葉)で語ったので、視聴者は総士が『EXODUS』の中に残した総士の声を聞くことで、その内容を知ることができました。

 『THE BEYOND』も『EXODUS』と同じように三人称(2153年と2156年の出来事)と一人称(一騎が語る物語)という二つの人称で描かれた物語でした。一騎は自らの物語をフェストゥムの言語(行動)で語ったので、フェストゥムの言語(行動)を読めない視聴者はその内容を知ることはできません。しかし、視聴者がフェストゥムの言語(行動)を読めるようになった時、一騎が『THE BEYOND』の中に書き残した一人称の物語の内容を知ることができます。そして、その物語を最後まで読み終えた時、『蒼穹のファフナー』という物語が終わります。

 

 私にとって『蒼穹のファフナー』はまったく物語の終わりが見えない物語でした。しかし、物語の構造を見た瞬間、物語の終わりを知ることができました。