蒼穹のファフナー」カテゴリーアーカイブ

初志貫徹

 2015年12月26日、『EXODUS』26話を見終わった直後、私は「『EXODUS』を理解してやる」という目標を立てました。しかし、その目標はいつしか「『ファフナー』を理解してやる」に変わり、2024年9月3日、ついにその目標を達成しました。私が『ファフナー』を理解するのにかかった時間は8年8ヶ月でした。

 一騎の「総士を理解したい」=私の「『ファフナー』を理解したい」だったので、『ファフナー』を理解し終わった時、私は『THE BEYOND』12話後の一騎になりました。つまり、視聴者が一騎を理解するために必要なものは、一騎と同じ経験(自分とは違う考えを持つ他者を理解する)することだったのです。

 この文章を書いた後、総士の言葉を思い出しました。

総士「彼らの世界に触れるには彼ら自身に触れるしかないということだ。
   彼らがこの星で命に触れ、生と死を初めて知ったように」
『EXODUS』14話

 

【物語の読み方】他者を理解する

 高校の論理国語で取り上げられているのは評論文のみで、文学作品は一切取り上げられていません。しかし、私は物語を論理的に読む方法も学ぶべきだと考えています。

 物語を評論文と同じように論理的に読めるようになると、物語から受け取るものが「自分の感情を揺さぶる感情」と「登場人物の感情」から「登場人物の考え」に変わります。相手を理解するために必要なものは、相手の感情ではなく相手の考えです。論理的に物語を読む方法を学ぶと、自分の感情や考えに左右されずに、他者の考えを知ることができるようになり、自分とは違う考えを持つ他者を理解することができるようになります。

 私は『蒼穹のファフナー』を通して、論理的に物語を読む方法を学んだ結果、キャラクターの考えと感情を知ることができました。

 

【物語の読み方】物語と情報

 togetter に『蒼穹のファフナー』に存在する二つの視点(人間とフェストゥム)を理解するヒントがありました。

結末をあえて読み手に委ねる手法を「ちゃんと描かないのは不誠実」と捉える人が多くなった?「作者が決めたものを味わいたい」

 『ファフナー』は視聴者に未来を委ねるという形で終わっていますが、これは『ファフナー』を「物語」として見た時の終わりです。一方、『ファフナー』を「情報」として見た時、一歩先の未来を見ることができます。

 人間は『ファフナー』を「物語」として見ていますが、フェストゥムは『ファフナー』を「情報」として見ています。『ファフナー』は一つの物語の中に「物語」と「情報」の双方を内包することによって、人間とフェストゥム双方の物語になったのです。

 

 冲方丁はフェストゥムの思考を以下のように表現しています。

冲方「感情が消えて、直感的なものが消えて、すべての思考が計算になる」
『蒼穹のファフナー BGM&ドラマアルバム II』ブックレット

 それでは人間はフェストゥムと同じように『ファフナー』を「情報」にすることはできるのか? 人間が論理的に物語を読む方法を学び、『ファフナー』を論理的に読めるようになった時、『ファフナー』を「情報」にすることができます。なお、『ファフナー』を「物語」として見た時よりも「情報」として見た時の方が、より多くのことを知ることができます。

 

【物語の読み方】卒業試験

 『蒼穹のファフナー』の卒業試験は一騎、総士、真矢、カノンについての問題でした。問題は3問あり、それらを α、β、γ とすると、以下のような構成になっていました。

     一騎 総士 真矢 カノン
  α  ー  ○  ○  ○
  β  ○  ○  ○  ○
  γ  ○  ○  △  ○

  ○は作中にヒントあり、△は作中にヒントなし

  α には一騎についての問題がありません。γ の真矢についての問題には、物語の中に問題を解くためのヒントがありません。しかし、台詞と映像を論理的に読み解いていくことで、答えを導き出すことができます。α、β、γ の問題をすべて解くと、一騎、総士、真矢、カノンを理解したことになり、『蒼穹のファフナー』から卒業することができます。

 

【物語の読み方】NHK高校講座「論理国語」

 2024年4月3日からNHKラジオ第2放送でNHK高校講座「論理国語」が始まります。 私が『ファフナー』を理解した方法を知りたい人や、私と同じ方法で『ファフナー』を理解したい人にこの講座をおすすめします。NHKの高校講座のサイトで内容を確認することができます。

 NHK高校講座「論理国語」