『EXODUS』放送終了後、Twitter(現 X)に能戸監督は以下のようなツイートをしました。
能戸 隆
一騎くんが島のミールに祝福された事をいつか話してくれるといいですね。
「遠見、あのさ、俺さ、実はさ・・・」
2016年11月11日
『THE BEYOND』の中に一騎が真矢に島のミールに祝福されたことを話すシーンはなかったので、私は「真矢は一騎が島のミールに祝福されたことを知らない」と考えました。
『EXODUS』放送終了後、Twitter(現 X)に能戸監督は以下のようなツイートをしました。
能戸 隆
一騎くんが島のミールに祝福された事をいつか話してくれるといいですね。
「遠見、あのさ、俺さ、実はさ・・・」
2016年11月11日
『THE BEYOND』の中に一騎が真矢に島のミールに祝福されたことを話すシーンはなかったので、私は「真矢は一騎が島のミールに祝福されたことを知らない」と考えました。
『蒼穹のファフナー』の主人公である一騎が竜宮島ミールの祝福を受けた『EXODUS』24話以降、物語はフェストゥムの言語を使って描かれています。
フェストゥムの言語とは何でしょう。
総士「これが、フェストゥム」
公蔵「いいや、こんなものではない」
一期1話
竜宮島に初めてフェストゥムが来た時、人間はフェストゥムの姿を見ることができませんでした。しかし、実体化というというフェストゥムの行動によって、人間はフェストゥムの姿を見ることができるようになりました。つまり、フェストゥムの言語は「行動」ということになります。
弓子「フェストゥム、実体化します」
一期1話
竜宮島に初めて来たフェストゥムが行ったことは、目に見えないものを実体化することによって、目に見えるようにすることでした。一方、フェストゥムの言語(行動)で描かれた物語である『THE BEYOND』で行ったことは、目に見えないものを実体化することによって、目に見えるようにすることでした。それでは『THE BEYOND』で実体化した目に見えないものとは何だったのでしょう。
一騎「これが真実だ」
『THE BEYOND』3話
それは「真実」でした。しかし、私はフェストゥムの言語(行動)を知らないため、実体化した「真実」を読み取ることはできません。
総士「僕も何度も報告書を書こうとしたがダメだった」
『EXODUS』14話
私はフェストゥムの言語である「行動」を抽象、人間の言語である「言葉」を具象だと考え、論理的思考の抽象と具象を行き来するという手法を使って、フェストゥムの言語(行動)を人間の言語(言葉)に置き換えていきました。これを続けていくと、フェストゥムの言語(行動)を使って書かれた物語を私が理解できる人間の言語(言葉)を使って表現する、つまりフェストゥムの言語(行動)を人間の言語(言葉)に翻訳できるようになりました。
外国語を日本語に翻訳する場合、意味を理解した言葉のみ、日本語に翻訳することができます。外国語と同じようにフェストゥムの言語(行動)も、自分が理解したフェストゥムの言語(行動)のみ、人間の言語(言葉)に翻訳することができます。つまり、私はフェストゥムの言語(行動)を人間の言語(言葉)に翻訳するという行為を通して、フェストゥムの考えを理解していったのです。そして、フェストゥムの言語(行動)を使って描かれた物語をずべて人間の言語(言葉)に翻訳し、実体化した真実を見た瞬間、『蒼穹のファフナー』という物語が終わりました。
『THE BEYOND』の分析が一段落ついたので、一期を全話見直しました。感想は一期と『THE BEYOND』を対比させたものになりました。
一騎と甲洋の関係は一期6話の翔子の死を契機にこじれましたが、世界が平和になった時、竜宮島にフェストゥムがやってくる前の平和だった時の状態に戻りました。
「なあ……甲洋は、来年になったら、どうする?」
何となく答えを予想しながら、訊いた。
「島を出るよ」
「そうか」
「お前も多分、そうするんだろ? 一騎?」
「ああ」
冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章3
史彦「お前は、どこかへ行くのか」
一騎「甲洋と一緒に世界を見てくる」
『THE BEYOND』12話
『THE BEYOND』で総士がいなくなった後の一騎の行動と一期26話で総士がいなくなった後の一騎の行動を対比すると以下のようになります。
「THE BEYOND」12話 | 一騎は総士の灯籠を流した(=一騎は総士と別れた) 一騎は甲洋と一緒に竜宮島から旅立った |
|
一期26話 | 一騎は総士と別れた 一騎は真矢と一緒に竜宮島に帰った |
一期26話で総士がいなくなった後、一騎のそばに甲洋はいなかったので、一騎は真矢と行動しました。一方『THE BEYOND』12話で総士がいなくなった後、一騎のそばに甲洋はいたので、一騎は甲洋と行動することを選びました。つまり、真矢は総士の位置にいるキャラではなく、甲洋の位置にいるキャラクターだったのです。そのため、一騎と真矢の関係は、『THE BEYOND』12話で竜宮島にフェストゥムがやってくる前の平和だった時の状態に戻ったのです。
「(前略)帰ってきてよ。私……多分ずっと、ここにいるから」
冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章2
真矢「私じゃ一騎君のいる場所には行けないから、
ここで帰る場所を守ってるね。
たまには帰ってきてね、竜宮島に」
『THE BEYOND』12話