【蒼穹のファフナー EXODUS】人とフェストゥムの共生 Part1ー補足

 【蒼穹のファフナー EXODUS】人とフェストゥムの共生 Part1に対して書いた個人的なコメントです。あまりにも規模の大きい話になってしまったので、入れられなかった内容が出てしまいました。

 

 通常、ブログの記事を書き方は二種類ある。一つは頭の中で考えた時に結論まで出ている場合。この場合は途中で道を見失わないようにするためにあらかじめ簡単な概略を書き、その概略にそって記事を書いていく。結論が見えているので書くことは清書するようなもの。もう一つは書いている時に次々とアイデアが湧いてきて、最終的に考えもしない結論に達する場合。この場合は自分でも予想外の結論に達することが多く、とにかく書くことが楽しい。最終的にたどり着いた結論によっては、書いた本人ですら唖然とすることも珍しくない。

 【蒼穹のファフナー EXODUS】人からフェストゥムへは完全に後者の書き方でした。abemaTVでEXODUSを配信 その3の一項目として書き始めたものの、この部分が書き終わらず、結果的に記事の公開が公開が遅くなりました。その上、書いているうちに当初の予定よりはるかに内容が広がってしまったので、別記事にすることを決断。その後も書き続けたものの、最終目的地はなかなか姿を現さず。気がついたら書き始めた時には予想もしないほど遠い地まで来ていた。

 

 『EXODUS』26話で真矢は美羽(母、弓子を失った)と一緒にいる場面、一騎はそうしと一緒にいる場面で終わった。蒼穹のファフナー EXODUS 第26話-11「真矢と一騎-分断された関係」で書いたように、この二人は結婚せずに親となったということになる。これを書いた時には一騎と総士がフェストゥムの親になるという入れ子の構造になってることに気がつかなかった。『EXODUS』は大人になることを描いた物語だが、一騎と総士はフェストゥムの親になることで大人になったということになる。一騎と総士の二人が大人になったということは『EXODUS』で「一騎と総士の物語」は終わったということになる。しかし、一騎はいずれ果たすという形で未来に持ち越された内容が多く、「一騎の物語」はまだ終わっていないと思う。

 また、『EXODUS』25話以降、一騎と真矢の間ではほとんど会話がないが、それは一騎が総士と同じ道を歩むことを選んだ時に真矢との関係が完全に終わったことを意味している。『EXODUS』では生と死が曖昧になって見通しが悪くなっているが、人の世界にとどまっている真矢の視点から見れば、一騎は『EXODUS』22話のアビエイターとの戦闘で相討ちとなりいなくなった。真矢とは死別したということになる。一騎が真矢を選んだ時に行き着く先はドラマCD『THE FOLLOWER2』の中で語られている。

 

 「一騎と総士がフェストゥムの親になる=大人になる」という結論に達した時は私も呆然。それなら島の祝福を受けた後の一騎の視線に真矢が入ってこないのは当たり前だ。

真矢「この向こうに島がある」
一騎「遠見、誕生日おめでとう」
真矢「えっ」
一騎「今日だろ、11月11日」
真矢「あたし、忘れてた」
一騎「帰ったらお祝いしよう。島の人たちと一緒に」
真矢「うん、ありがとう」
一騎「先に行ってくれ。すぐに追いつく」
真矢「うん」
『EXODUS』21話

 シュリーナガルに派遣された部隊と竜宮島が合流する直前の一騎と真矢はこんな雰囲気だったのに、この会話の続きは「おかえり、遠見」一言で終了。実はこの時、一騎が最初に声を掛けたのは真矢ではなく総士だった。一騎は「お前が選んだ道を、俺も選ぶよ」という総士にしか理解できない言葉を使った結果、真矢に対して二人だけの秘密を見せつけるようなもので、真矢にとっては非常に残酷な言葉になっている。一期で一騎は総士の目を傷つけた本当の理由を知ったが、そのことは誰かに話すことなく、自分と総士(と乙姫)だけが知っている秘密として胸の中にしまいこんだ。しかし、『EXODUS』ではなぜか一騎と総士、二人だけの秘密を真矢に見せつけるという形になっている。この場面を見直した時、なぜか『EXODUS』19話で里奈が零央、彗、美三香の会話から剣司と咲良の結婚を知った場面を思い出した。

 以前、【蒼穹のファフナー EXODUS】戦い?それとも平和?-補足1で「『EXODUS』25話で竜宮島に帰ってきた真矢を出迎える一騎のすっきりとした顔を見るたびに殴りたくなります」と書いたが、竜宮島に戻る直前、あれほど仲のよかった真矢に対して突然、手のひらを返し、悪びれることなく「俺、総士と一緒に生きていくことを決めたから」と真矢に言ったも同然のシーンだったからだ。悲しいかな、実はこの時の真矢と全く同じ経験をしたことがあります。当人から言われるのはきついし、他の人もいるため逃げ場がないのでつらい。

 

 一騎は自らの命が終わりを迎えるということが真矢と別離を意味していたが、広登の死が芹の人としての命が終わった瞬間ということになる。一騎と真矢、芹と広登という二組のペアを通して描いたのは、初恋は実らないということだったのかもしれない。それ故、一騎と真矢(このペアには一騎の寿命という縛りが掛けられた)、芹と広登の関係は淡い初恋を表現するために、友達以上恋人未満として描かれたということになる。

 

織姫「島が一騎を祝福する。
   一騎が望む限り」
史彦「ミールの祝福」
『EXODUS』22話

織姫「島のミールが一騎を祝福した」
史彦「なに」
織姫「もう戻れない。
   生と死の循環を超えて。
   行きなさい、一騎」
『EXODUS』24話

一騎「父さん」
史彦「一騎、戻ったんたな」
『EXODUS』25話

 史彦は失った右腕を取り戻し、目覚めた一騎と普通に話しているが、史彦が織姫の言うところの「ミールの祝福」という言葉の意味をどのくらい理解しているのか気になった。一期24話のミョルニアとの対話を読み直したけれど、ここでわかるのは妻、紅音は同化された時にフェストゥムの言葉では祝福したということ。この時とは逆のミール(フェストゥム)が人を祝福することについて理解しているのは、当事者の一騎以外では島のコアの織姫と総士のみ。

 史彦は一期24話で妻、紅音がフェストゥムを祝福したことを知り、『EXODUS』では息子の一騎が島のミールから祝福されたことを知った。一期と『EXODUS』で祝福が対になっている。

ミョルニア「それは、真壁紅音が自ら同化を望んだということだ」
   史彦「もう一度言ってみろ」
ミョルニア「むろん、真壁紅音自身にとってもそれは不測の事態だった。
      だが我々と接触した瞬間、我々を迎え入れ、祝福した」
一期24話

 妻も息子も自ら望んでフェストゥムの世界へ行ってしまい、家族ではただ一人、史彦だけが人の世界に留まり続けている。

 


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