【蒼穹のファフナー THE BEYOND】引退

 フェストゥムとの戦いが終わった後、一騎はなぜ竜宮島から旅立ったのだろう。

 

一騎「やっと帰れたね」
史彦「お前たちのおかげだ。
   感謝する」
一騎「総士と美羽ちゃんの力だよ。
   この先は二人が島を守ってくれる」
『THE BEYOND』12話

 『THE BEYOND』で一騎は「竜宮島を守る」という役割を総士(こそうし)と美羽に譲る、つまり引退しました。引退とは属していたコミュニティに属していた自分がいなくなることを意味します。そのため、一騎は『THE BEYOND』のラストで属しているコミュニティからいなくなる、つまり竜宮島からいなくなったのです。

 コミュニティに属している人は、コミュニティからいなくなった人のその後の人生を知ることはできませんが、一つだけ受け取ることのできる言葉があります。それは「さよなら」、つまり「死」です。その言葉を受け取った時、「コミュニティからいなくなった瞬間」から「死」までの間の「人生」を知ることができる場合もあります。しかし、一騎は「生と死の循環を越える命」を持っているため、死ぬことはなく、視聴者は一騎がかつて属していたコミュニティに属しているため、引退した後の一騎の人生を知ることはできません。

 視聴者が『THE BEYOND』後の一騎の人生を知る方法は一つだけあります。それは視聴者が一騎になることです。視聴者が一騎になれば、一騎は引退した後、つまり竜宮島からいなくなった後の人生を知ることができます。

 

 『蒼穹のファフナー』とは島を守るために戦うことを選んだ一騎がその役割を後継者に譲り、引退するまでの物語でした。そのため、一騎が島を守るという役割から退いた時、物語は終わったのです。