【蒼穹のファフナー THE BEYOND】真矢の望み

 『EXODUS』は総士の望みをかなえる物語でしたが、『THE BEYOND』は真矢の望みをかなえる物語でした。真矢の望みとは何だったのでしょう。

 

●ミツヒロと一騎

 『THE BEYOND』で描かれた一騎と真矢のシーンは、一期18話で竜宮島を訪れたミツヒロの行動と重なっていました。

・その1

一期18話:竜宮島に帰ってきたミツヒロは弓子を殴った。

「THE BEYOND」4話:竜宮島に帰ってきた一騎は真矢の手を取った。

 

・その2

一期18話:ミツヒロは公園で真矢と話をした。

「THE BEYOND」8話:一騎は公園で真矢と話をした。

 

・その3

一期18話:ミツヒロは竜宮島から旅立つ前、真矢と話をした。

「THE BEYOND」12話:一騎は竜宮島から旅立つ前、真矢と話をした。

 

・その4

一期18話:ミツヒロは竜宮島から旅立っていった。

「THE BEYOND」12話:一騎は竜宮島から旅立っていった。

 

・その5

一期24話:竜宮島の外に旅立ったミツヒロはマークニヒトの起動試験の時にいなくなった。

真矢「お父さん死んだらしいって聞いても実感なくって」
一期25話

「THE BEYOND」終了後:竜宮島の外に旅立った一騎は行きています。

一騎は自ら外の世界へ甲洋と行くという胸アツな展開で終えることができました。(中略)第三アルヴィスで補給や整備、休息を行いながら、世界を見て回り、年一ぐらいは竜宮島にお土産をたくさん持って帰る一騎と甲洋
『蒼穹のファフナー THE BEYOND (TV Edition)』
テレビ放送終了記念 能戸隆監督インタビュー

 物語終了時にミツヒロは死、一騎は生となり、二人は真逆の結末を迎えました。

 

●父子分離

 竜宮島を訪れたミツヒロは弓子による真矢のパイロット適正データ改ざんを利用して、家族を竜宮島の外に連れ出そうとしました。

ミツヒロ「島から追放したまえ。
     あとの面倒は私が見よう」
一期18話

 真矢は査問委員会での父の発言を聞いていました。ここにいる父は真矢の記憶の中にいる父と同じではありませんでした。

  真矢「お父さんはフェストゥムとどう違うの」
一期18話

 真矢と同じく、ここにいる真矢はミツヒロの記憶の中にいる真矢と同じではありませんでした。ミツヒロと同じ考えを持つ真矢は、いつの間にかいなくなっていたのです。そのため、ミツヒロは真矢を竜宮島の外に連れ出すことはせず、マークニヒトのパイロットには別の人間(狩谷)を起用しました。

 

 『THE BEYOND』の一騎は真矢に対して一期18話のミツヒロと同じ行動をしていました。一騎は最後に真矢の父と同じ望みを口にしました。

  一騎「遠見、一緒に来るか?」
『THE BEYOND』12話

  真矢「えっ。
     そう言ってくれると思わなかった。
『THE BEYOND』12話

 ここにいる一騎は真矢の記憶の中にいる一騎と同じではありませんでした。そのため、真矢は一騎と一緒に竜宮島の外に行くことを選びませんでした。

  真矢「私じゃ一騎君のいる場所には行けないから、
     ここで帰る場所を守ってるね」
『THE BEYOND』12話

 一騎は当初の予定通り、甲洋と一緒に竜宮島から旅立って行きました。

 

 一期で子は成長するに従い、父とは別の考えを持つようになる存在であることを描きました。『THE BEYOND』では父も変わりゆく存在であり、そのため子である自分とは別の考えを持つ存在になることを描きました。『ファフナー』は真矢と父の関係を通して、同じ考えを持つ父と子が分離して別個の人間になる過程を描いたのです。

 

●真矢の望み

 真矢の望みは「不可能な望みであることはわかっている。それでも父が生きていてほしい」でした。『THE BEYOND』で真矢は一騎を父にすることによって、その望みがかなえたのです。