親の視点から『蒼穹のファフナー』での親子関係を見てみました。
●公人
一騎が命令を無視して新国連機を助けた時、総士がその責任を背負いました。
史彦「なぜ命令を無視して新国連機を助けた」
総士「すべて、僕の責任です」
一期4話
弓子は真矢を守るために、真矢のパイロット適正データの改竄しました。
弓子は「あたしがデータを改ざんしました」
一期18話
史彦と千鶴はアルヴィスを率いる公人として生きることを選んだため、一期4話、一期18話でアルヴィスから子どもを守る親になることはできませんでした。そのため、弓子と総士がアルヴィスから子どもを守る親の役割になりました。一騎と真矢の親子関係ををまとめると、以下のようになります。
一騎 | 真矢 | ||
公人の親 | 史彦 | 千鶴 | |
私人の親 | 総士 | 弓子 |
一方、咲良の親である澄美はファフナーの実践訓練が終わった後、小声で咲良に助言しました。
澄美「でもね、危険だと思ったらいつでも逃げなさい。
それが命令違反でも」
咲良「えっ」
澄美「でないと、羽佐間さんのように」
一期7話
史彦、千鶴とは異なり、澄美は一人でアルヴィスの一員という公人と私人になることができたため、アルヴィスから子どもを守る親になることができました。一騎、真矢、咲良の親子関係をまとめると以下のようになります。
一騎 | 真矢 | 咲良 | ||
公人の親 | 史彦 | 千鶴 | 澄美 | |
私人の親 | 総士 | 弓子 | 澄美 |
アルヴィスを率いる公人である史彦と千鶴は、一人でアルヴィスの一員という公人と親という私人になることができなかったのに対し、アルヴィスの一スタッフである澄美は、一人でアルヴィスの一員という公人と親という私人になることができました。そのため、咲良には総士と弓子のような存在はいませんでした。
●私人
『EXODUS』26話で一期で親の代わりに子どもをアルヴィスから守るという行動を取り、『EXODUS』では親の代わりに竜宮島の外に行った子どものそばにいた総士と弓子がいなくなりました。つまり、総士と弓子は本当の親である史彦と千鶴に子ども(一騎と真矢)を返したのです。
海神島に移住した後、遠見家から公共の部分である病院をなくしたため、完全にプライベートな場所になりました。
遠見家:
竜宮島の自宅は遠見医院という診療所を併設していたが、海神島の自宅にその施設はなく、完全な私邸となっている。
『THE BEYOND』BD/DVD 2巻ブックレット
そのため、真矢は千鶴の本音を聞くことができました。
千鶴「私が残したものすべて忘れ去られてほしいとは思うけど、
いつか本当に平和になった時、
大勢から憎まれる覚悟はできているわ」
『THE BEYOND』6話
『THE BEYOND』7話、史彦はコントロールにアルヴィスの指揮権を移譲しました。
史彦「コントロールへ。
指揮管理とシールド復旧。
及び、艦の操縦を代行。
なお、戦闘の継続が困難な時はプランEを実行。
島民をボートに乗せ、脱出しろ」
佐喜「今からここがCDCよ。
全戦闘プログラムを継続。
負ければ島が沈むわ」
『THE BEYOND』7話
史彦はこれまで24時間、365日、アルヴィスの司令官でしたが、以後、アルヴィスの制服を着ていない時は私人になることができるようになりました。その結果、一騎との関係が親と子に戻り、史彦は一騎に本音を言えるようになりました。
史彦「守るべき人すら守れず、
未だにお前を戦わせてしまっている。
そんな身にしてまでも。
許してくれ」
『THE BEYOND』8話
一騎は史彦に自分の考えを伝えました。
一騎「自分の意志だよ。
これが俺の祝福だ」
史彦「祝福」
『THE BEYOND』8話
一騎と千鶴は史彦と真矢がすぐには理解できない言葉を残しました。それは言葉の意味を理解する時間を生み出し、それは一騎と千鶴がそばにいなくなった後に史彦と真矢が生きる理由になります。史彦と真矢がこの言葉の意味を理解した時には、一騎と千鶴がそばにいないことを受け入れているはずです。