【蒼穹のファフナー EXODUS】傷

 総士「お前と島を守るために僕は生きている、そう思っていた」
 乙姫「一騎に傷つけられるまでは、でしょ」
一期22話

 総士が一騎に左目を傷つけられる前まで、乙姫を守ろうとする総士と乙姫は一心同体の状態だった。

カノン「だから守ろうとしているのか」
 真矢「えっ」
カノン「剛瑠島で働くのもファフナーに乗ったのも、
    一騎の居場所を守るためか」
 真矢「どうだろう。
    気づいたらそうしてた」
『EXODUS』3話

 総士と乙姫と同じく、一騎を守ろうとしていた真矢と一騎も一心同体の状態だったということになる。『EXODUS』は一騎と真矢が分離し、個を持つ人間に分離する物語だった。

 

 真矢は自分の気持ちを言葉にしない一騎に変わって、一騎に問いかけて答えを引き出したり、一騎の本音を真矢が代弁していた。

 真矢「このまま島にいることだってできるんだよ」
一期24話

 真矢「いやー、一騎君、一騎君」
一期26話

 真矢「ファフナーに乗ったの、一騎君」

 真矢「一騎君を返して」
『HEAVEN AND EARTH』

 真矢「ずっと戦いだけが居場所だったから。
    でも、今はここに一騎君の居場所があるし、大丈夫だよ」
『EXODUS』3話

 真矢「全部のリミッター外したまま乗ったんだ」
『EXODUS』9話

 真矢と一騎はシュリーナガルから竜宮島に帰る旅の途中、アルゴス小隊の爆撃機を撃墜し、工作員を殺害した後、総士と乙姫のように一騎と真矢も一心同体の状態から分離して、別々の存在になった。総士と乙姫、一騎と真矢が分離した時の状況は正反対である。

    総士と乙姫 一騎と真矢
  無口な人 総士 一騎
  代弁する人 乙姫 真矢
  総士は一騎に傷つけられた 真矢が人類軍を傷つけた

 以後、一騎の考えていることを真矢が代弁することはなくなり、一騎が考えていることを知る手がかりは一騎自身の言葉のみとなった。

 

 『EXODUS』20話、後を追うアルゴス小隊を巻くために、ナレイン将軍率いる一行は地下通路を通ってニューベイジンを後にした。この時、一騎は総士と溝口と一緒にいたが、一騎は一言も言葉を発しなかった。

 溝口「まったくとんでもねえ基地を作ったもんだぜ」
 総士「フェストゥム襲来の初期に建設されたものでしょう。
    敵の読心能力を防ぐには海に潜るか地下に隠れるしかなかった」
『EXODUS』20話

 この時、一騎が考えていることはわからない。

 

 真矢は一騎と別々の存在になった後、一騎に自分の気持ちを伝えた。

 一騎「遠見、なにしてるんだ?」
 真矢「9月20日、気づいたら今日だった」
 一騎「翔子の誕生日か」
 真矢「一騎くんも。
    一日早いけど、お誕生日おめでとう」
『EXODUS』21話

 桔梗の花言葉は「永遠の愛」である。真矢は一騎に告白したということになる。

 一騎「成人式を手伝うって、剣司と約束した。
    ありがとな、いつも思い出させてくれて」
『EXODUS』21話

 一騎は真矢から端を受け取った後、成人式の話をしていたことから、一騎は真矢が誕生日プレゼントとして渡した花を通して自分の気持ちを伝えたことに気がついていない。