「蒼穹のファフナー THE BEYOND」PVの感想 Part3

 2018年1月4日、冲方サミットのtwitterアカウントに冲方丁がPVの感想を上げていましたが、それを見る前、2018年1月2日に書いた感想になります。

 

・永遠に繰り返される人生

エメリー「あなたは永遠の存在だとミールは言っています。
     彼らに痛みを与え続けるため、この世に居続けると」
  総士「僕は人間として生き、命を終える。
     それもそう長くない」
エメリー「あなたの祝福が、そうであることを祈ります。
     心から」
  総士「僕の、祝福」
『EXODUS』14話

 総士はフェストゥムに一度同化された後、肉体を取り戻したが、人の心とフェストゥムの体を持つ存在に変化していた。総士はフェストゥムの体を得たの同時にフェストゥムの持つ永遠をも獲得してしまった。だが、総士自身は永遠にこの世に居続けることを望まず、人として生きることを望んだ。総士の望みをかなえる唯一の方法は祝福されることだが、それも絶対ではなかった。

 総士が望みどおり人間として命を終えることができたとしても、総士はこの世に永遠に居続ける存在になってしまっているので、フェストゥムとは違う方法、すなわち人間のやり方で総士という存在はこの世に居続けることになる。

織姫「消えた後もきっとあなたの命は続く」
総士「それは…ミールによる死と再生か」
織姫「もうひとつの島に新しいミールが根付く時、
   あなたとあなたの器が生まれ変わる。
   そういう未来が見えるの」
『EXODUS』2話

 それでは生まれ変わるという人間のやり方で、皆城総士という存在が永遠にこの世に存在するということはどういうことなのだろうか。一期と『EXODUS』、『THE BEYOND』を比較して、総士の人生におけるターニングポイントを比較してみた。

 一期の皆城総士の人生をまとめると以下のようになる。

  • 妹は島のコアなので、一緒に暮らすことができない。
  • 一騎を一騎を同化して一緒にいなくなろうとしたが、一騎は反撃した。その結果、総士の左目には傷が残り、視力を失った。
  • 左目の見える自分を受け入れることができず、ファフナーに乗れなかった。
  • 北極ミールに同化されていなくなった。

 総士は北極ミールに同化されていなくなったが、その肉体を取り戻し『HEAVEN AND EARTH』で帰還した。だが、その時すでに総士は「フェストゥムに痛みを与えるため、永遠にこの世に居続ける存在」になっていた。一期の総士の人生と『EXODUS』の総士の人生を比較するとこの言葉の意味が見えてくる。一期と違うところを赤字にした。

  • 妹は島のコアなので、一緒に暮らすことができない。
  • 一騎を一騎を同化して一緒にいなくなろうとしたが、一騎は反撃した。総士の左目に傷は残ったが、視力は失わなかった。
  • 左目の視力を失わなかったので、ファフナーに乗れる。
  • ファフナーに乗り続けた結果、同化現象に襲われていなくなった。

 総士が肉体を取り戻してこの世界に帰ってきた時、左目に傷は残っていたが、その視力は取り戻していた。総士の左目に傷を負わせた一騎とは和解していた。つまり、妹はコアなので一緒に暮らせず、一騎を同化しようとして反撃されたが、その傷は外傷のみで視力には影響のなかった場合の総士としての人生を送ることになった。ジークフリード・システムの担当者にはならず、ファフナーのパイロットになって仲間と戦い、そして最後には同化現象でいなくなる。妹が島のコアであることと一騎を同化しようとした過去を受けれた、いわば総士が一番望んでいた生き方だった。

 次に一期の総士の人生と『THE BEYOND』のPVからわかるこそうしの人生を比較し、一期と違うところを赤字にした。

  • 妹と一緒に暮らしている。
  • 今の生活に満足しているためいなくなりたいと思うことはなく、一騎を同化したいと思うこともなかった。そのため、左目に傷はなく、目も見える。

 こそうしには一期の総士を形作ったもの=苦しめたものをすべて消した人生が与えられているということになる。

 ここまで書けばもうおわかりだろう。『EXODUS』での総士は一期の総士とは条件が変わったため、別の選択をした総士としての人生を送った。『THE BEYOND』のこそうしは一期と『EXODUS』の時の総士とはまた別の条件を与えられた総士の人生を送っているということになる。転生するたびに総士の置かれている状況が異なるため、毎回、違う人生を送るが、必ず痛みによってフェストゥムを祝福をした後、同化されていなくなって人生を終える。つまりフェストゥムの中で永遠に存在する総士はリプレイものの主人公と同じ状態に陥っているということになる。リプレイものでは主人公が自分の過去の記憶を持っているが、総士は過去の記憶を持っていない。リプレイし続ける総士の過去の記憶を持っているのは島のミールから永遠の命を与えられた一騎ということになる。(※1)北極ミールに同化された後、総士が取り戻した肉体は北極ミールに由来するフェストゥムのものだったことからもわかるように、総士は現在も北極ミールに囚われているままである。総士を北極ミールから、自分の人生を永遠にリプレイし続ける人生から救うための方法は『EXODUS』の中にに示されている。

カノン「お前は世界の傷をふさぎ、存在と痛みを調和させるもの。
    我々はお前によって世界を祝福する」
『EXODUS』24話

 つまり一騎が島のミールととも世界を祝福した時、総士がフェストゥムに痛みを与える存在でなくなった時、北極ミールに囚われた総士を本当で救出することができる。総士は一騎から与えられた痛みによって人として生きることを選んだが、総士は生きることの証である痛みをフェストゥムに伝えた。ワーグナーの舞台神聖祭典劇『パルジファル』で決して癒えないアンフォルタスの脇腹の傷を癒やすことができるのはその傷を与えた聖槍だけだったのと同じように、フェストゥムの痛みを癒やすことができるのは、総士に痛みを教えた一騎だけなのかもしれない。『THE BEYOND』のキャラクターを『パルジファル』になぞられると、アンフォルタスが北極ミールから生まれたフェストゥム、クンドリー(※2)が総士、パルジファルが一騎ということになる。

 かつて、総士は竜宮島=妹であったために必死で島を守ろうとしたが、今は竜宮島のミールが最初のコアの兄だった総士を北極ミールからなんとか救出しようとしていた。そのために一騎に永遠の命さえ与えた。竜宮島のミールとの調和により永遠の命を得た一騎は総士の置かれている状況を理解しているが故に、転生して生まれた子どもに皆城総士と名付けたのだろう。

 

※1 アニメ『ジェネレイターガウル』(1998年)の主人公と別の人間が過去の記憶を持っている。

※2 クンドリーは十字架に架けられたキリストを見て嘲笑したため、何度も転生して生き続けるという呪いをかけられた。

 


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