2018年12月3日、4日ニコニコ生放送一挙の感想

 2018年のニコニコ生放送は番組開始前と終了後に「蒼穹のファフナー THE BEYOND」特報を流し、休憩時間に入ると「蒼穹のファフナー THE BEYOND」 PVを流すという初見殺しの構成でした。もっともキャラクターが成長しているので顔の見分けがつかず、初見にはあまりネタバレにならなかったという説もありますが。

 一期と『RIGHT OF LEFT』を見終わった時点でのメモ。今回の一期のニコニコ生放送一挙は竜宮島というコミュニティの描き方に注目して見ていたのですが(【蒼穹のファフナー】アルヴィスを参照)、結果的に竜宮島の親世代の台詞を意識して見ることになりました。

 個人的に一期(2004年)と『RIGHT OF LEFT』(2005年)で一度作品は終了したものの、2010年の『HEAVEN AND EARTH』で仕切り直してシリーズ再開という認識です。『RIGHT OF LEFT』の放送後、作品に対する気持ちを一度整理してしまったというのが大きい。

 

・矛盾

公蔵「今日の夕日は、特別な色になりそうだ」
一期1話

 この台詞の意図するところは竜宮島回覧板1129号の「共生より決戦を望んだ公蔵を苦慮していた史彦」で以下にように説明されています。

全てを理解した皆城総士を擬装鏡面の外に出し、公蔵配下の者とフェストゥムを呼ぶべく5日間を漁船に擬装した高速哨戒艇で過ごす。戦うことを好まない竜宮島に余儀なく戦うことを仕掛ける皆城公蔵は、死を覚悟してファフナーパイロットの強制搭乗を選んだ。(中略)真壁史彦は公蔵の考えに賛同出来ないでいるが、動き出してしまったものを否定するよりも、どう生かすべきかを考える。

 以上の事情を踏まえた上で以下の台詞を聞くと、冒頭の台詞と公蔵の考えが矛盾しているように感じます。

公蔵「我々にはもう巨人を覚醒させるしか、生きるすべはないのか」
一期1話

 竜宮島にフェストゥムを呼び寄せた公蔵がファフナーを起動させることを迷うのはおかしいのではないだろうか。公蔵の考えには賛同していない史彦を欺くための台詞として描かれたのかもしれないが、そういうニュアンスは感じられない。

 

・CDCとジークフリードシステム

総士「一騎、一騎よせ」
一騎「俺は、助ける」

史彦「なぜ命令を無視して新国連機を助けた」
総士「すべて、僕の責任です」
一期4話

 フェストゥムに攻撃されていた新国連機を助けたのは総士の命令を無視した一騎なのだが、CDCにいた史彦はジークフリードシステム内の会話を聞いていないので、総士の説明に納得している。

弓子「リンドブルムの戦闘域が竜宮島の進路上に展開。
   このままでは5分後に第二防衛圏まで入ります」
史彦「なにをしているんだ二人は」
一期4話

 一期4話の脚本ではCDCはジークフリードシステム内の会話をモニタできないだけでなく、総士と会話もできないという設定になっている。

 

・ショコラとプク

甲洋「どうするショコラ、一緒にファフナーに乗るか」
一期7話

 僚「犬を連れてゆくことなどできない」
『RIGHT OF LEFT』

 一期7話での甲洋の台詞は『RIGHT OF LEFT』でL計画に参加するため、飼い犬を手放さなければならなかった僚の台詞と対照的になっている。

 

・ミツヒロ・バートランド

ミツヒロ「私の目的はただ一つ。
     フェストゥムの滅ぼすことのできる兵器をパイロットごと開発すること」
一期13話

 ミツヒロのフェストゥムに対する考え方を見ると、千鶴と真矢は親子揃ってミツヒロをフェストゥムだと見なすのは当然のことなのかもしれない。

千鶴「この島で最初に魂を同化されたのはもしかするとあの人なのかもしれません」
一期11話

真矢「お父さんはフェストゥムとどう違うの」
一期18話

 

・コインの表と裏

  溝口「さあな、俺たちの世代は敵を憎みすぎた。
     そういう意味じゃミツヒロみたいな奴が俺たちの代表さ」
一期21話

 おそらく竜宮島に入植した時、史彦とミツヒロの考えに大差はなかったと思われる。しかし、史彦にはフェストゥムの気持ちを知るために土に触れる紅音がそばにいた。史彦とミツヒロと考えが真逆に向かったのは、おそらく史彦に子どもが生まれた後だろう。

  史彦「フェストゥムに勝つためにミツヒロは竜宮島を捨てた。
     しかし、守るべきものがない戦いは無意味だ」
一期11話

 だが、ミツヒロにとって本来は守るべき存在である自分の娘でさえもフェストゥムと戦うための道具でしかなかった。しかし、史彦自身、ミツヒロと同じ考えにたどり着く可能性はゼロではなかった。

  史彦「一騎がいなければ俺もミツヒロと同じ道を選んでいた」
一期21話

 一期18話、ミツヒロはアルヴィスの査問委員会で「あそこにいるのは所詮、受胎能力を失った日本人が作った遺伝子工学の産物ではないか」、「彼らは結局、ファフナーを動かす電池にすぎん」といった暴言を吐いたが、それでも史彦はミツヒロを否定することなく、最後までミツヒロに敬意を払っていた。

  史彦「真矢君に謝るなら、滞在期間を延長してもいい」
一期18話

 


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