2018年12月6日のニコニコ生放送一挙の『HEAVEN AND EARTH』と『EXODUS』1話~13話までのメモ。今年はタイムシフトを使ってなんとか全部見ることができました。
●HEAVEN AND EARTH
・芹と里奈
里奈「乙姫ちゃんはもういないの」
芹「なんでそんなこと言うの」
『HEAVEN AND EARTH』
一期で芹と里奈は乙姫を見送ったが、いなくなった乙姫が忘れられない芹に対して、里奈は生きている世界がすべてであり、いなくなったものには執着しない。里奈は『EXODUS』ではいなくなった者だけを見ている彗の両親に意義を唱えた。
・竜宮島の住人とフェストゥム
操「大きな炎のせい。
君たち、人類がやったんだ。
俺の仲間もそれで苦しんでる」
史彦「人類軍の、核攻撃か」
『HEAVEN AND EARTH』
史彦は「人類軍の、核攻撃か」と言う時に胸を押さえたが、フェストゥムと同じく竜宮島の住人もかつて人類軍の核攻撃を受け、今も苦しんでいることを暗示している。
・操の思い込み
操「今、船を攻撃しようって考えた」
一騎「島を守れるならそうする」
操「総士がそうしろと言ったのか」
『HEAVEN AND EARTH』
操は一騎が総士とクロッシングしていることを知っており、自分と同じように一騎が自分で考えるのではなく、総士の命令で行動していると思い込んでいた。
●EXODUS
・一騎と美三香
咲良「あの子見てると、昔の一騎を思い出すわ」
『EXODUS』1話
咲良の言葉通り、美三香のキャラクター設定は一期の一騎を彷彿とさせるが、勝負に対する姿勢は一騎と正反対だった。
咲良「ミカミカ、あんたは本気出さないの」
『EXODUS』1話
なぜみんな本気を出さないのだろう、みんなが本気になれば、自分も、もっと本気になれるのに――などと天与の才に恵まれた者にありがちな、考え違いをしているのである。
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章1(※1)
美三香は勝負事はすべて本気を出していたと思われるが、一騎はちょっと力を入れるだけで島で一番になってしまうので、おそらく本気を出すことがなかった。ノベライズで総士は一騎にこう言っていた。
「お前なら、オリンピックの全種目で金メダルが取れる」
「え……それは言い過ぎだろ」
「本当だ。ライバルさえいれば、お前の能力も延びていくらでも世界新記録が出せる」
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』三章1(※2)
・からかわれるカノン
カノン「母さんが教えてくれたから」
容子「ここではクルー兼教官よ」
カノン「あっ、はい、羽佐間先生」
『EXODUS』1話
カノンと容子の会話は一期で上官と部下という関係だった道生との会話を思い出す。
カノン「666」
一騎「666?」
道生「俺のコードネームさ。
おいカノン
待機中の時くらいそのかたっ苦しい呼び方をやめて名前で呼べ」
一期12話
カノン「道夫、そこで何してる」
道夫「ちょ、バ、バカ、こんなところで、でかい声で名前を呼ぶな」
カノン「名前で呼べと言ったくせに」
一期15話
・一期1話+一期3話
史彦「手を出すな、敵は島を発見していない」
ジェレミー「人類軍が追われているだけ?」
要「このまま見過ごしますか」
『EXODUS』1話
史彦「そうだ、新国連機には囮になってもらう」
弓子「新国連探索機、スフィンクス型と接触しました」
史彦「連中がどこまで逃げきれるか、だな」
一期4話
『EXODUS』1話Bパートは竜宮島にスフィンクス型フェストゥムが初めて訪れる一期1話だけでなく、新国連の探索機が竜宮島近くを飛行した一期4話の流れをも汲んだストーリー展開になっていた。一期、『EXODUS』で竜宮島は人類軍と通信するが、その内容は正反対だった。一期では新国連の探索機を囮にするために嘘の竜宮島の位置を教えたが、『EXODUS』では美羽から「飛行機を助けて」と言われたため、竜宮島のシールドを解除し、人類軍を受け入れた。
・人類軍の兵士
カノン「自分の考えを持つことも諦めていた」
『EXODUS』3話
竜宮島の外の世界では情報統制されているが、カノンのこの言葉から人類軍の兵士は自分の考えを持たないように教育されているのだろう。『EXODUS』ではビリーという存在を通して、自分の考えを持たない兵士の末路が描かれた。
・島のコアと一騎
一期3話、マークエルフを整備中の一騎の前に島のコアが現れた。
島のコアは一騎をアルヴィスの地下に導き、一騎はそこでワルキューレの岩戸に眠る島のコアを見た。
島のコアは一騎をワルキューレの岩戸まで連れてきた理由も島のコアを見た一騎が思ったことも描かれなかったが、乙姫がワルキューレの岩戸に来た一騎を見た直後、コールドスタンバイだったブリュンヒルデ・システムが立ち上がった。しかし、この時点では島のコアについても一騎との関係も描かれていないので、システムを起動するのになぜ一騎が必要だったのかという疑問が残ります。島のコアが一騎を呼んだ理由とそれに対する一騎の答えは、一騎が島を出る前、ワルキューレの岩戸を訪れた時に明かされている。
一騎「君はあの時俺をここに呼んだんだろ。
総士と一緒に戦ってくれって、君に言われた気がした」
一期10話
一期では翔子の墓のことを含め、意図的にあとで答えを明かすという手法が取っていますが、一期3話の時点で視聴者が推測するにしても手がかりとなる情報があまりにも少なすぎます。
一期と同じく『EXODUS』でも一騎の前に島のコアが現れたが、一騎に一言告げた。
島のコア「あなたはどう世界を祝福するの」
『EXODUS』4話
一騎はその後、ワルキューレの岩戸を訪れた。
しかし、一期3話の時とは異なり視聴者は一騎が島のコアに呼ばれた理由を知っているため、ワルキューレの岩戸を訪れた一騎が一言も話さなくても問題のない場面になっています。また、一期では乙姫が自分の意思を持って行動した時期が明白ではないが、『EXODUS』では織姫自身が意思を持った時期を明らかにしています。
千鶴「いつから意思があったの」
織姫「あなたたちが戦いを求めた時から」
『EXODUS』6話
一期、『EXODUS』とも島のコアが意思を持った後、一騎の前に現れ、一騎がワルキューレの岩戸を訪れるという流れになっているので、この一連のシーンも一期では脚本にかかわらなかった冲方丁が『EXODUS』において自分の手で書き直したということになります。
・乙姫の後継者
溝口「美羽ちゃんに従うのが俺たちの仕事さ。
ママのお許しさえあれば、だがな」
『EXODUS』6話
溝口の言葉は『EXODUS』6話にある総士の言葉と重なる。
総士「ぼくはコアの言葉に従う。
ずっとそうしてきたように」
『EXODUS』6話
美羽は乙姫と同じく敵のミールと対話する力をもっていた。
織姫「皆城乙姫にはみんなの心を読んで、
島のミールと敵の両方に伝える力があった」
『EXODUS』6話
史彦「皆城乙姫と島のミールの経験を、
彼女がミールに伝えるということだ」
『HEAVEN AND EARTH』
しかも、美羽は乙姫よりも敵ミールに影響を与えることのできる力を持っているため、敵を退けることさえできた。また、美羽は乙姫と同じく、システムなしで一騎と総士にクロッシングすることができた。(『EXODUS』10話、15話を参照)乙姫の子である織姫は未来予測という乙姫とは違う力を持っているため、美羽が乙姫の実質的な後継者は美羽だったということになる。
・芹の望み
織姫「彼らも人間もきっと敵になる」
芹「敵」
織姫「皆城乙姫なら、そんな言葉は使わなかったって言いたいの」
芹「いえ、あ、あの」
『EXODUS』6話
芹にとって乙姫とは3ヶ月で亡くなった同世代の友達であり、芹は13~14歳と幼かったため、乙姫と織姫に与えられた島のコアとしての役割を理解していなかったのかもしれない。ちなみに乙姫も織姫も島のコアとしての役割は変わっていない。
乙姫「みんなが求めているものを、与えるのがあたしの役目」
一期16話
織姫「あなたたちの選択に私は反対しない。
選んだ道を進めるよう守るのが、私の役目」
『EXODUS』6話
芹自身は戦いのない平和を望んでいたのだろう。しかし、織姫自身が言っているように、ナレイン将軍がもたらした情報とエメリーと美羽の出会った結果、竜宮島の住人たちが戦いを選んだのである。
織姫「あなたたちが戦いを選んだから。
平和ではなく、希望のために」
『EXODUS』6話
・パイロットの救出
一期と『EXODUS』の9話ではファフナーからコックピットを切り離すという方法でフェストゥムに同化されかけたパイロットの救出を試みるが、その結果は対照的だった。『EXODUS』9話ではディアブロ型に取り憑かれたアイのファフナーが真矢の目の前に墜落した。
真矢「コックピットを取り出せば」
『EXODUS』9話
真矢は同化されているアイを救うためにコックピットを取り出そうとした。
アイ「それでいい。
早く、あたしがいるうちに」
『EXODUS』9話
しかし、コックピットを取り出すことはできず、アイの望みどおりコックピットに銃を向けた。一方、一期9話では咲良がフェストゥムに中枢神経系を同化され、意識を失っていた甲洋のコックピットを取り出して回収した。
咲良「待ってろ、甲洋、今助ける。
フィアのコックピット、回収したわ」
一期9話
以上の内容を表にまとめると以下のようになる。
一期 | EXODUS | |
救出者 | 咲良 | 真矢、一騎 |
救出されたパイロット | 甲洋(竜宮島) | アイ(人類軍) |
結果 | 成功 | 真矢は失敗、一騎が成功 |
救出時の状態 | 中枢神経系を同化されたため | 同化されている途中なので |
意識がない | 意識がある | |
コックピットを取り出して回収 | コックピットを取り出せず | |
一騎がディアブロ型を同化 |
一騎が来なければ、真矢によるアイの救出は失敗していたことを考えると、一期と『EXODUS』では同化されたパイロットの救出劇は対称的になっていることがわかる。
※1 冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』(2013年、ハヤカワ文庫)より引用。
※2 冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』(2013年、ハヤカワ文庫)より引用。
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