2019年10月に公開した「蒼穹のファフナー」第7~12話の感想(2019年) を補足する記事です。これを書いた当時、うまくまとめることができず、お蔵入りしていました。
翔子「私にも仕事があるから。
一騎君を助けるのが私の仕事だから」
甲洋「俺に何かできることないか、羽佐間」
一期5話
この後、甲洋は翔子をブルクへ連れて行った。甲洋は少し離れたところに立って、翔子と一騎の会話しているようすをただ見ているだけだった。
翔子が自分の身を犠牲にして竜宮島を守った後、その墓前で甲洋は一騎に詰め寄った。
甲洋「お前なら助けられたはずだ。
お前はファフナーに乗っていたじゃないか。
お前なら」
総士「あの状況では無理だった」
甲洋「でもなにかできたはずだった。
助けられたんだ」
一期7話
甲洋はパイロット候補生にもかかわらず、翔子がファフナーに乗るまで、フェストゥムとの戦闘を遠くから見ている傍観者として描かれていた。しかし、翔子が死んだことで、甲洋は当事者になってしまったため、現場に乗り込んで文句を言っている人として描かれていた。
一方、冲方丁は甲洋を傍観者ではなく、物語に参加しているキャラクターとして扱っていた。最初に一騎との関係を描いた。
真矢と同じく、一騎が幼い頃から親しくしている一人――気楽に話せる貴重な相手だ。
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章3
甲洋「これからどんな危ない目にあうのか。
考えるだけで怖い」
一騎「あ、俺がいてやるよ」
甲洋「一騎」
一騎「なにもできないかもしれないけど。
せめて危ない時には隣にいてやる」
ドラマCD『STAND BY ME』
甲洋は友人である一騎なら大切な人を守ってくれるだろうと考え、翔子を託した。
「守ってやってくれ」
「俺には無理でも……お前なら……守ってやれると思うから」
「頼む」
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』三章4
だが、一騎は甲洋の願いをかなえることはできず、翔子は自らの命と引換えに竜宮島を守った。甲洋は信頼していた友人に裏切られてしまった。
甲洋「一騎。
翔子の墓を元通りにしたくらいでお前は、
お前の償いは済んだとでも思っているのか」
一期7話
翔子の死を目の当たりにした後、甲洋は自ら模擬戦を提案し、ファフナーに積極的に乗るようになった。甲洋が一騎に向けた怒りは、一騎と総士にはできなかったことを自分がやるという方向に変化した。
甲洋「俺が行く。
お前らがやれなかったことを俺がやる」
一期8話
冲方丁は物語開始時から自分の意思で行動するキャラクターとして甲洋を描いたことで、翔子の死に意味を持たせ、ここを起点にドラマが生まれた。しかし、アニメでは甲洋を視聴者と同じ目線のキャラクターとして描いてしまっため、翔子の死は意味を持たず、ドラマも生まれなかった。
P.S. 『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』は冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』(2013年、ハヤカワ文庫)から引用しました。