『THE BEYOND』第4~6話を見る前に一期1話から見直した時のメモ。『THE BEYOND』第1~3話のネタバレを含む感想は後日まとめて公開します。
・一期7話
甲洋「お前なら助けられたはずだ。
お前はファフナーに乗っていたじゃないか。
お前なら」
総士「あの状況では無理だった」
一期7話
真実はどうあれ「すべて、僕の責任です」(一期4話)と「今戻ることはできません」(一期5話)の時と同じように、一騎は総士の指示に従って戦っているだけなので、ここでも総士は一切の責任は自分にあるという立場を貫いている。一騎の行動を総士がかばい続けているにもかかわらず、一騎は総士の考えていることが理解できず、島を出ていってしまうのだが。
弓子「どうしても断れなかったの」
一期7話
弓子が母、千鶴に対して模擬戦を阻止できなかったことを責めているが、弓子自身がが竜宮島で生まれた子どもであり、同級生を失っているが故に、パイロットになった子どもたちの気持ちを大人にぶつける役割を担っている。
一期で一番ファフナーが動いているのはこの模擬戦だが、この回を見ると製作者がファフナーをどういうふうに動かしたかったのかがよくわかる。ファフナーとフェストゥムを3DCG化した『HEAVEN AND EARTH』以降、製作者が考えていたファフナーの動きが見られるようになったが、一期の時にファフナーを3DCGにしていたらどうなっていたのかということをたまに考える。
一期7~9話に登場するアーカディアン・プロジェクトで作られた別の島(『EXODUS』で蓬莱島と呼ばれていた)は1つの島で構成されている。
それに対して、竜宮島には名前が出てきただけでも向島、紅蓮島、剛瑠島、慶樹島、彦島、姫島という小さな島が含まれている。海神島は映像で見る限り、竜宮島と同じように複数の島が含まれているように見える。
正浩「お前はパイロットだけやっていればいいんだ。
さっさと捨ててこい」
一期7話
僚「犬を連れてゆくことなどできない。飼い主として責任を取れと言われた」
『RIGHT OF LEFT』
甲洋は僚と同じく島の外での作戦に参加する前に飼い犬を手放すことになった。僚が帰って来なかったため、プクは飼い主と再会することなく、飼い主である僚のコックピットで亡くなったが、ショコラはフェストゥムに同化された後、紆余曲折の後、人間の姿を取り戻した甲洋と再会した。
・一期8話
8話では以下の3つの対立する項目がぶつかり合うことで物語が進行した。
- 一騎と甲洋
- 刈谷(新国連)vs 溝口(竜宮島)
- 人間 vs フェストゥム
対立するものに曖昧さはなく明確なので、見ている側にストレスが少ない。
甲洋「作戦か。
そう言って翔子を見捨てたのか、総士」
一騎「甲洋、総士は決して」
一期8話
これまでは総士が一騎をかばっていたが、ここでは逆に一騎が総士をかばっている。一騎と総士の関係はもどかしい。
別働隊が岩戸に侵入してコアを発見し、システムが生きていたという描写は『HEAVEN AND EARTH』で竜宮島にやってきた人類軍の潜水艦の艦内で溝口が来主操を発見する場面を思い出した。
狩谷「この島にもフェンリルがあることは確認しています。
すぐにでも放ち、島を消滅させるべきです。
何をためらっているんですか。
あいつらを一気に殲滅できるチャンスです」
史彦「退避が完了していないうちに、かね」
狩谷「味方が同化して敵になるよりはマシだと思いますが」
一期8話
刈谷の「味方が敵に同化される前に味方もろとも敵を殲滅する」という価値観は新国連の考えそのものである。
史彦「わかった、許可しよう」
千鶴「真壁さん」
一期8話
真矢が心配なのでつい名前で呼んでしまったと受け取れるシーンではあるが、CDCでさん付けは場にそぐわない。
総士「ファフナーを失う危険があれば、救助を中止する」
狩谷「やめなさい、ファフナーを捨てる気なの」
一期8話
総士はファフナーのパイロット(甲洋)を心配した台詞だが、刈谷はパイロットには興味がなく、ファフナーを失うことを心配した台詞になっている。
・一期9話
総士「生存者を救出した。
脱出しろ、一騎」
一騎「甲洋は無事なのか」
総士「今は自分のことだけ考えろ」
一騎「甲洋を置いて自分だけ逃げられるか」
総士「一騎。
もうファフナーを失うわけにはいかないんだ。
わかってくれ。
頼む」
一期9話
この時、総士は一騎に甲洋のことも言わず、一騎が自分の意思で行動することも許さなかった。これはすべて総士が一騎を守るために行ったことだが、総士の気持ちは一騎には届かず、一騎は島を出て行ってしまう。
スタッフ「ですから、春日井甲洋は半同化による昏睡状態ですが
存命だと判断されました」
一期9話
フェストゥムに同化されて半同化状態になったということは、甲洋は乙姫と同じ状態になったということを意味している。事実、一期20話で乙姫は甲洋に自分の体験を語っていた。
乙姫「苦しい。
生きること、やめたい。
あたしも何度もそう思ったよ。
でもお願い」
一期20話
『HEAVEN AND EARTH』では乙姫はいなくなっているため、代わりに美羽が乙姫が経験したことをボレアリオス・ミールのコアに話していた。
美羽「赤ちゃんを抱っこしたお姉ちゃんがいるの。
どんなふうに苦しくて嬉しかったかって。
美羽がお話しするといいよ」
『HEAVEN AND EARTH』
・一期10話
10話は『EXODUS』以降を知っていると見るたびに視点が変わる。
量平「うーん、パイロットはちょっとねえ。
先生、こいつに剛瑠島勤務で整備士ってのは難しいですか」
要「いろいろ適性もあることですし」
量平「あたしゃブルク配置だし、
うちとすればこいつは安全な場所で働かせたいんですわ」
一期10話
『EXODUS』を見た後だと広登がパイロットになると決まった時、父はどういう反応をしたのか気になる。
広登「一度でいいから外の世界を見てみたいんだよ」
一期10話
「ミールに耳あり」の竜宮島で、安易に望みを言葉にしてはいけない。どんな望みでもミールが必ずかなえてしまう。
真矢は一騎を家に招いて、料理でアピール。しかし、一騎の頭の中は総士でいっぱいなので、真矢を見ていない。一期、『EXODUS』ともに、一騎が真矢に目を向けるのは総士との関係が安定しているときのみである。
・一期11話
狩谷「来たわね。
まだやめることもできるわよ」
一騎「いえ、もう決めたことですから」
狩谷「行きましょう、外の世界へ」
一期11話
『ファフナー』は徹頭徹尾、自分の意思で選ぶ物語。考えが変わった時点でやめることが可能である。
溝口「小娘に寝首をかかれてやるとはお人好しにもほどがあるぜ。
まあ息子まで加担したってのは思いもよらなかったろうがな」
史彦「これもミツヒロの手引と思うか」
一期11話
竜宮島側でミツヒロの名前の初出は11話だった。
捕まえようと手を伸ばしたメガセリオンから瞬時に逃げ、隙を突いてメガセリオンを組み敷く。
一騎の強さが表現されている。
マークエルフはメガセリオンとベイバロンによって捕らえられ、一騎は屋外でファフナーのコックピットから出て、人類軍の捕虜にされた。
『EXODUS』22話、アルゴス小隊によってマークジーベンが捕獲され、真矢が人類軍の捕虜になった。真矢は一騎とは対照的に人類軍の潜水艦の中でファフナーのコックピットから出た。
・一期12話
総士「君に何がわかるというんだ。
あいつが、あいつなら、あいつなら僕をわかってくれると思った」
真矢「一騎君だって、あなたのことそう思ってたに決まってるじゃない」
一期11話
真矢「今になってやっと翔子の気持ちがわかるなんて。
あたしも一騎君と皆城君のこと、言えないわね」
一期12話
一期12話の真矢の台詞は一期11話ラストの総士との会話を受けてのものだが、ここで初めて一騎と総士=真矢と翔子という関係性が示されていた。一期16話放送後に発売されたドラマCD『NO WHERE』で真矢と翔子の関係が一騎と総士と対になっていることが明らかにされた。
小楯夫婦が経営している銭湯の名は竜宮湯である。
風呂の壁絵は富士山ではなくその名の通り、竜宮城が描かれていた。『EXODUS』26話で竜宮島が海に沈んだので、名前の通り、竜宮島(たつみやじま)が竜宮城(りゅうぐうじょう)になってしまった。
一期12話で山野辺一記単独脚本は終了。一期7話以降、エピソードを詰め込んだ結果、ストーリ展開に多少まどろっこしい部分があるにせよ、抽象的な台詞は減りました。一期4~6話の脚本がうまく描けず、一期7話からテコ入れされたように感じます。