一騎と真矢にとって竜宮島とは変わらない世界、つまりフェストゥムの無の中と同じく時間のない世界だった。真矢に一騎がマークザインに乗ることは死に近づくこと、つまり時間が生まれることを意味していた。そのため、真矢は一騎が竜宮島を出ることを恐れていた。
真矢「ずっと戦いだけが居場所だったから。
でも、今はここに一騎君の居場所があるし、大丈夫だよ」
カノン「剛瑠島で働くのもファフナーに乗ったのも、
一騎の居場所を守るためか」
『EXODUS』3話
変化は時間のある場所で生まれる。そのため、一騎は真矢が変わることを恐れていた。
一騎「遠見は十分戦った。
みんなと島に帰ってほしい。
美羽ちゃんは俺たちが」
『EXODUS』10話
真矢にとっては一騎=竜宮島であり、一騎にとっては真矢=竜宮島だった。真矢も一騎も竜宮島が変わることを恐れていたということになる。
『EXODUS』で真矢は自らの意思で竜宮島の外に出ることを選んだ。
真矢「はい、志願しました」
『EXODUS』5話
一騎には真矢が竜宮島の外に出ることは止められなかった。一騎は真矢が竜宮島の外に出ても変わらないことを望んでいたため、真矢の代わりに自分が変わろうとした。だが、真矢は一騎の申し出を断った。
一騎「遠見、暉から聞いた。
みんなを助けるためにやったって。
遠見一人に背負わせる気はない。
また同じことになったら、次は俺がやる」
真矢「そんなのやだよ」
『EXODUS』15話
一騎「そんな自分にならなくていい。
また遠見に痛みを負わせた。
もう戦いに出なくていい。
全部俺がやるから」
真矢「大丈夫。
あたし、大丈夫だよ、一騎くん」
『EXODUS』19話
真矢自身が変わることを選んだとしても、一騎が真矢が変わらないことを望み、自分が人間と戦えば、真矢が変わらずに済むと信じていた。
史彦「人類軍は我々が引き受ける。
質問は」
一騎「必要なら、俺が人類軍と戦う」
『EXODUS』25話
それ故、人を殺めてしまった真矢に一緒に島に帰ろうと言った。
一騎「遠見の居場所はここじゃない」
真矢「えっ」
一騎「島に帰ろう、一緒に。
生きて戻ろう」
『EXODUS』19話
真矢は一騎が昏睡状態にある時、新国連の捕虜として過ごしたダーヴィン基地で変わることを選んだため、一騎は真矢が変わったことに気がついていない。一騎はダーヴィン基地から帰ってきた真矢にこれまでと同じように話しかけた。
一騎「おかえり、遠見。
広登は」
『EXODUS』25話
一騎にとっては真矢=竜宮島であることから、一騎は竜宮島が変わることを望まず、変わったことにも気がついていないということになる。
真矢は一騎が竜宮島に居続けること、つまり変わらないことを望み、一騎も真矢の望みを受け入れた。
一騎「あのさ」
真矢「だーめ」
一騎「なにも言ってないだろう」
真矢「一騎君はお留守番。
真壁のおじさんにも溝口さんにも言われたでしょう」
一騎「わかってる」
『EXODUS』5話
真矢がシュリーナガルに旅立った後、竜宮島のコアが目覚め、状況は変化した。一騎は竜宮島の外に出ること、つまり変わることを選んだ。
一騎「行くよ、俺も」
一騎「お前が行くなら、俺も行く」
『EXODUS』6話
真矢はシュリーナガルでマークザインの姿を見て悲しんだ。
真矢「全部のリミッター外したまま乗ったんだ。
一騎君、ごめんね、あたしじゃ守れなくて、ごめんね」
『EXODUS』9話
一騎は真矢が変わることを受け入れられなかったが、真矢は一騎が変わることを最初からある程度、受け入れていた。
真矢「なんで、一騎君を止めなかったの」
一騎「一騎を乗せたことで、言い訳はしない」
真矢「ごめん、どうしようもなかったよね」
『EXODUS』10話
一騎の変化は髪を切るという形で表現された。
真矢「一騎くん、髪切ったんだ」
一騎「えっ、ああ」
真矢「今気づくなんておかしいね」
一騎「変か」
真矢「似合うよ」
『EXODUS』19話
真矢が一騎が変わることを受け入れたことは「似合うよ」という言葉で表現されていた。真矢が髪を切った一騎の姿を受け入れた=一騎が変わることを受け入れたということになる。真矢にとっては一騎=竜宮島であることから、真矢は竜宮島が変わることを受け入れたということになる。
一騎と真矢の二人は竜宮島の外を見ることで、自分が変わることを受け入れた結果、フェストゥムの無の中と同じく、時間のない世界だった竜宮島に時間が生まれたのである。竜宮島に時間が生まれたことで、竜宮島のコアは竜宮島の住人を守るために、竜宮島を去らせるというこれまで取ったことない行動を取ったのではないだろうか。