「蒼穹のファフナー THE BEYOND」特報の感想 Part2の続きになります。時間の経過とともに少しづつ考え方が変わりつつあるため、書いた順番に並べてあります。
・島の記憶
弓子「美羽は島の大気になったミールの中で生まれ育ったの。
あの子の血の中には島の大気と同じものが流れているわ。
だから、島の記憶の一部を見ることができる」
ドラマCD『THE FOLLOWER』(※1)
ドラマCD『THE FOLLOWER』で描かれた内容だが、美羽は島の記憶を見ることができる。
美羽「あたしに撃たせないで」
『THE BEYOND』特報
もしかしたら第5次蒼穹作戦に参加したメンバーの中で竜宮島の記憶の一部を見ることのできる美羽には、戦闘時にこそうしと一緒に暮らしているかつて竜宮島で生きていた人々が姿が見えたのかもしれない。2017年12月に公開されたPVと2018年8月に公開された特報では日野夫妻の存在が強調されているように感じたが、その中にはすでに亡くなっている美羽の両親の姿があったのかもしれない。
『EXODUS』ではディアブロ型がファフナーを乗っ取ることで同士討ちという状況に持ち込み、人類軍の戦意を喪失させるという戦略を使っていた。(人類軍はそれに対抗するために交戦規定アルファを規定し、アルゴス小隊という専用の部隊を作った)その策が人間に対して極めて効果的なことを学んだフェストゥムは、エスペラントである美羽の力を封じるため、アルヴィスがこそうし奪還を図った時、同士討ちとなる場にこそうしを閉じ込めたのかもしれない。
『EXODUS』では物語開幕早々、視聴者は交戦規定アルファの発令により人類軍がハワイに核を落とすという同士討ちを見せつけられた。しかし、TV放映版はダイジェストだったこともあり、新国連の世界の厳しい現実を描いたものとして、作品から距離を置いて見ることができた。しかし、『THE BEYOND』ではアルヴィスが同胞である竜宮島のいなくなった人々を攻撃するという同士討ちの姿を見せられることになるかもしれません。また、特報には同化結晶に覆われる乙姫の姿があった(特報の0:19~0:20)ことから、視聴者はおそらく一度いなくなったキャラクターのいなくなるシーンを再び見ることになるのだろう。
・マークニヒト
マークニヒトはフェストゥム側のファフナーであるため、マークニヒトと一体化できるのはフェストゥムの世界を理解している者のみということであるならば、フェストゥムに育てられたこそうしはマークニヒトと一体化することができるのかもしれない。さらにこそうしが美羽と同じく存在と無の境界線にある人間の記憶を見ることができるのなら、総士は感じることしかできなかったマークニヒトの中にある同化した人間の記憶を竜宮島のゴルディアス結晶と同じように戦うための力として使うことができるのかもしれない。つまりマークニヒトが持っている力を最大限に引き出すためには、フェストゥムの世界を理解しているパイロットが必要ということになる。
「蒼穹のファフナー THE BEYOND」PVの感想 Part4
これを書いた後に発売された『蒼穹のファフナー EXODUS』BD-BOXのブックレットにマークニヒトに設定が追加されていた。
○蓬莱島……前作で消滅。
前作で破壊された島。島のミールは、皆城総士の乗るマークニヒトの中で眠っている。
冲方丁「作品コンセプト キャラクター概要 主要キーワード」(※2)
やはり『THE BEYOND』の鍵は『THE FOLLOWER』(※3)で描かれていた美羽が見た死者の世界、すなわちフェストゥムの世界にある。島の記憶の一部を見ることのできる美羽は生まれる前に亡くなった父、道生と会話をしていた。しかし、総士はマークニヒトに同化された人々の存在を感じることしかできなかった。
総士「同化された人間の思念、これほどか」
総士「静まれ、亡霊ども」
『EXODUS』7話
フェストゥムに育てられたこそうしは、美羽と同じようにいなくなった人々の記憶を見ることができるのだろう。こそうしがマークニヒトの中にある蓬莱島のミールが同化した人々の記憶を見て、その記憶を力に変換した時、マークニヒト本来の力を発揮できるのではないだろうか。マークニヒトは人類軍が作ったファフナーだが、最終テスト時にイドゥンに奪われ、イドゥンが使用した。一騎と総士がマークザインの中に封じたが、スフィンクス型フェストゥムである来主操がマークザインの中から引っ張り出して使用した。来主操がマークニヒト搭乗時に新国連が竜宮島に核攻撃をしたため、来主操はマークニヒトのコックピットから飛び出し自分の身を使って核攻撃を止めた。肉体を取り戻した総士がマークニヒトのコックピットにいた。その後、島のコアである織姫の名により総士はマークニヒトに乗った。しかし、総士はマークニヒトを動かすことができたというレベルに過ぎず、その力をフルに発揮するためにはフェストゥムの思考を持つパイロットが必要ということなのだろう。
・人々の思いを背負う
2118年に日本が受けた被害は深刻で、そのときの影響により竜宮島への入植人口は7000人ほどでしたが、今は2000人を下回っています。その2000人もその後生まれた子供を含めてのもので、入植した方々の85%はすでにいません。 能戸隆『FAFNER』という物語について(※4)
一期開始の時点ですでに亡くなっていた入植者は5950人ほど。その後、フェストゥムとの戦闘で亡くなった人がいるので、こそうしのいる島の住人は6000人くらいということになる。
総士が背負ったのはL計画に参加した8人と自分の指揮下にいた17人の計25人(※5)。これに対してこそうしは住んでいた島が破壊された時に島にいた6000人くらいの住民の思いを一気に背負うことになった。
総士「彼らの生きる意志、前線で戦う者たちの痛み……その全てを、僕に背負えるだろうか」
『RIGHT OF LEFT』(※6)
かつて総士はこう言っていたが、こそうしは総士とは比較にならないほどの重荷を背負わされることになるのだろう。
ちなみに海神島にはシュリーナガルからの避難民が5027人(※7)、竜宮島からの移住者が2000人弱ということで合計7000人前後ということになり、竜宮島に入植した時の人口と同じくらいということになる。
・ドラマCD
『THE BEYOND』のPVの内容を見ていくと、ドラマCD『THE FOLLOWER』(※8)は『THE BEYOND』の前振りであり、作品を理解するための重要な手がかりになることは間違いない。それだけに『EXODUS』のBD-BOXに収録されなかったのが残念である。
※1 『EXODUS』のDVD/BDの4巻に同梱。『EXODUS』のBD-BOXには未収録。
※2 『蒼穹のファフナー EXODUS』Blu-ray BOXのブックレットより引用
※3 ドラマCD『THE FOLLOWER』は『EXODUS』DVD/BDの4巻に同梱。『EXODUS』のBD-BOXには未収録。
※4 『アニメージュ』2006年1月号に掲載された「XEBEC能戸プロデューサーの秘話」より引用。この記事は『蒼穹のファフナー Blu-ray BOX』のブックレットにも掲載されている。
※5 蔵前果林、真壁一騎、羽佐間翔子、春日井甲洋、要咲良、近藤剣司、小楯衛、カノン・メンフィス、日野道生、遠見真矢、堂馬広登、立上芹、西尾里奈、西尾暉、御門零央、鏑木彗、水鏡美三香。
※6 『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』(2013年、ハヤカワ文庫JA)より引用。
※7 『EXODUS』21話で総士は「5027名の生存者」と言っている。
※8 ドラマCD『THE FOLLOWER』は『EXODUS』DVD/BDの4巻に同梱。『EXODUS』のBD-BOXには未収録。
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