「蒼穹のファフナー THE BEYOND」特報の感想 Part2

 特報を見た後、『EXODUS』で総士が転生した自分宛てに残したメッセージを読み直してみたところ、『BEYOND』を別の視点から見る手がかりがありました。

 

・総士が残したメッセージ

こそうし「僕は平和な島にいます。
      争いもなく、みんなが幸せに暮らしています」
『BEYOND』特報

 PVはこの台詞で始まるが、総士の残したメッセージの中には平和という言葉が12回出てきた。

総士「多くの犠牲によって勝ち取った平和

総士「竜宮島、戦乱で日本が消滅した後、
   平和という文化を残すために作られた人工の島」

総士「多くの犠牲によって勝ち取った平和
『EXODUS』1話

総士「異なる希望が出会うことが平和への道とは限らないことを」
『EXODUS』2話

総士「平和だけを受け継げる時代は過ぎ去った」
『EXODUS』4話

総士「それは確かに希望だったが、平和の道ではなかった」
『EXODUS』5話

総士「僕たちは平和のために戦ってきた。
   たとえどれほど短くとも、自分たちの平和がすべてだった」
『EXODUS』6話

総士「長く続く平和
   だが、そのために僕らが手にするのは、いつでも平和とは程遠い力だった」
『EXODUS』7話

総士「平和への願いがすべての始まりだった」
『EXODUS』8話

総士「どこかにある希望と平和の場所へ、2万人が帰り道をたどった」
『EXODUS』14話

 14話以外は総士自身が竜宮島にいた時に平和について話していることに注目。

 

 こそうしが親しくしていた人は総士の残したメッセージの中でいなくなったことが語られているはずだ。こそうしがいた場所を人は死の世界と言う。特報の中にがこそうしがゴルディアス結晶を見ているシーンがある。(特報の0:11

 その中で現実に存在しているのは、おそらくアルヴィスのコートを着た一騎(フェストゥム?)とこそうしの二人だけなのだろう。

 

こそうし「殺してやるー」
『BEYOND』特報

 こそうしが自分のいる島を「フェストゥムの世界=人間にとっての死の世界」だと理解しているのであれば、この言葉は島を攻撃した人間を全員、こそうしにとって平和な場所であるフェストゥムの世界に連れて行くことをも意味している。つまり、こそうし自身が “Dead Aggressor” (死の侵略者)になったことを意味している。

 かつて総士は「彼らの世界に触れるには、彼ら自身に触れるしかないということだ」(※1)と言っていたが、こそうしはフェストゥムに育てられられることでフェストゥムの世界に触れ、それを人間の言葉で表現できる存在になった。

 

 こそうしは総士の残したメッセージを聞いた時、自分は妹と一緒に暮らすことのできた総士としての人生を与えられていたことを知るのだろう。

総士「君の名を僕は知らない。
   もし君がこの機体と出会うなら、それが君の運命となる。
   僕の名は皆城総士。
   君がこれを聞くとき、もう僕はこの世にいないだろう」
『EXODUS』25話

 こそうしは皆城総士として人間の言う死の世界で生きていたわけだが、総士はすでにこの世にいない存在であるため、こそうし自身は生者でありながら、まわりの人と同じく死者として生きていたということになる。こそうしが島の外に出て、総士のメッセージを聞いた時、皆城総士はもうこの世に存在しない自分の親であり、自分が皆城総士とは別の存在であることを知ることになる。フェストゥムでありながら自己を獲得した者は乙姫、甲洋、操と三人いるが、それぞれ別の形で自己を獲得した。

乙姫「ううん、あたしも選んだよ。
   心を持つこと」
一期16話

甲洋「翔子。翔子は、もう、いない、翔子は」
一期20話

 操「ミール、俺はもう、戦いたくない」
『HEAVEN AND EARTH』

 一言で表せば、乙姫は心、甲洋は真実、操は反抗ということになる。こそうしはこの3つの段階を経た時、自己を獲得するのではないだろうか。『BEYOND』に引き継がれた内容とPVからこそうしは人間である総士が転生した存在であるため、乙姫とは異なり生まれた時から心を持ち、親である総士の残したメッセージを聞いた時に真実を知り、いずれそれを受け入れることになるだろう。最後の「反抗」だが、2018年8月に公開されたキービジュアルには以下の文章が記載されていた。

ここにいると定められたのなら、
僕はその運命に抗う

 『BEYOND』で最初に描かれるのはこそうしの「反抗」になるのではないだろうか。これが果たされた時にこそうしは自己を獲得するが、それは皆城総士という死者からこそうしという生者に生まれ変わることを意味する。つまり、こそうしは自己を獲得した時に命を得ることになるが、『BEYOND』ではこそうしを通して、フェストゥムが命を獲得するプロセスを描こうとしているのではないだろうか。

 

・総士の傷

 瀬戸内海ミールが移植されていたため、人間とフェストゥムの間をさまよっていた総士が自己を確立するために必要な痛みは一騎が与えた。その痛みは左目の瞼から頬にかかる傷とファフナーに乗れないという目に見える形で表現されていた。

 一方、フェストゥムによって妹と暮らすことのできた皆城総士として育てられたこそうしに対して、自己を確立するために必要な痛みを与えるのは、住んでいた島を廃墟と化したアルヴィスとマークニヒトにメッセージを残したこそうしの親である皆城総士だと思われる。総士と同じくこそうしが感じた痛みも目に見える形で表現されるのだろうか。

 

※1 『EXODUS』14話

 


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