「蒼穹のファフナー THE BEYOND」ティザーPVの感想 Part2

 「蒼穹のファフナー THE BEYOND」ティザーPVの感想 その1の続きになります。

 

・総てを守る者

 総士は島のコアから二度、問われた。

乙姫「一騎と真矢、両方危険になったらどちらを優先する?」
一期19話

織姫「真矢と世界、どちらを助けるの?」
『EXODUS』22話

 総士は乙姫には「全員だ」答え、織姫には「両方だ」答えた。総士は選択を迫られた時、片方だけを選ぶことは許されず、両者を選ばねばならない存在なのだろう。では、こそうしは何を選べと問われるのだろうか。そのヒントは『EXODUS』26話のラストにある。

こそうし「ねえ、あの向こうにはなにがあるの?」
  一騎「世界とお前の故郷が」
こそうし「世界……故郷……」
『EXODUS』26話

 一騎と真矢、真矢と世界と問われ、前者は総士が必ず守るものであり、後者をどうするのかを問われていた。もし、こうそしが「世界と故郷」を問われるのならば、後者の故郷をどうするのかが問われるのだろう。

 

・人とフェストゥムの間

 -真実を知りたいか-
『BEYOND』ティザーPV

 『蒼穹のファフナー』のロゴの下にはDead Aggressor(死の攻撃者、侵略者)という文字が書かれているが、今やフェストゥムは侵略者というより誘惑者だ。

 瀬戸内海ミールの遺伝子を持つ総士は半同化状態にあり、自己を確立する前は人とフェストゥムの間をさまよっていた。総士は父から個として存在することを否定された時、フェストゥム側の思考に捕らわれ、一騎を同化しようとした。『BEYOND』のティザーPVの中で美羽が「戻って総士、彼らを選ばないで」と呼び掛けていたが、こそうしは人の心を持ち、人の姿をしているが、その肉体はフェストゥムに属している。そのため、総士と同じく自己を確立するまでは、人とフェストゥムの間を揺れ動く、不安定な存在なのかもしれない。

 フェストゥムにとって総士という存在は「抜くことのできない棘」(※1)であるが、その一方で総士に与えられた役割が「人とフェストゥムの架け橋」(※2)であるとすれば、総士と同じくこそうしも自分の目で直接フェストゥムの世界を見る必要があるのかもしれない。『EXODUS』で総士自身がこう言っていた。

総士「彼らの世界に触れるには彼ら自身に触れるしかないということだ」
『EXODUS』14話

 

・一期と対になる物語

 『EXODUS』終了時、一騎と総士の関係の最終到達地点について、蒼穹のファフナー EXODUS 第26話-6「一騎と総士の物語は本当に終わったのか」でこう書いた。

二人の物語は循環し、互いに傷つけ合う前の状態に戻ったとも言える。

 ただし、一期では総士がすべてを知る者であり、一騎はなにも知らない状態で総士と共に戦う者だった。しかし、『EXODUS』終了時に二人の立場が逆転。一騎がすべてを知る者となり、転生した総士がなにも知らない状態でニヒトに乗り、いずれ一騎と共に戦うことになる未来を感じさせて物語は終わった。最初に書いた一騎と総士の関係の最終到達地点がどんな場所であるかについて、蒼穹のファフナー EXODUS 第26話-15「一騎と総士-生と死と…」でこう書いた。

 一騎の望みとは総士を傷つけることなく、一緒に大人になること。(中略)一騎の望みは過去の時間の中にあるので、同じ形で取り戻すことはできない。フェストゥムが一騎に与えることができたのは、生まれ変わって一騎が傷つけていない状態の総士と共に過ごす時間だった。

 『BEYOND』はおそらくこの一騎の望みが成就した直後から始まるのだろう。

 

 一期と『EXODUS』でさまざまな要素が対になっていたが、それは『BEYOND』でも継続されると思われる。一期冒頭と『BEYOND』では『EXODUS』同様、キャラクターの立ち位置が入れ替わっている。

          一期  BEYOND
  守る者     総士   一騎
  守られる者  こそうし  乙姫

 『BEYOND』のティザーPVの内容から一期と対になっていると思われる項目は以下の通り。

  • 一期と『BEYOND』で総士と一騎の役割が入れ替わり、守られる側となった総士は一期における乙姫のポジションについた。
  • 一期では乙姫が敵に奪われることはなかったが、その代わり人類軍による占領という形で一時、島(竜宮島)が敵に奪われた。『BEYOND』のティザーPVには「奪われた皆城総士を奪還する」という文字があるので、一期とは逆にこそうしが敵に奪われるが、島(海神島)は奪われない。(こそうしは海神島のコアではない)
  • 一期の総士は乙姫を守りきったが、一騎はこそうしを守ることができなかった。
  • 一期で総士は一騎に傷つけられた結果、つまり他人の力で個を得たが、ティザーPVにある「ここにいると定められたのなら 僕はその運命に抗う」という言葉から、こそうしはそらく自分一人の力で個を得ることになると思われる。

 

 一期では姉、弓子によって守られる側だった真矢も一騎と同様に『BEYOND』で役割が入れ替わっている。

         一期  BEYOND
  守る者    弓子   真矢
  守られる者  真矢   美羽

 

 『BEYOND』のティザーPVに出てきた要素をまとめてみると、『EXODUS』で一騎は総士と同じ道を行くことを選んだが(※3)、皮肉なことに真矢とは二度と交わることのない道だったことがよくわかる。普通なら史彦と千鶴のように互いに配偶者を失い、子育てが終わってから関係が始まる可能性もなきにしもあらずだが、一騎と総士はすでに人の理をはずれた存在であり、その関係は永遠のものとなっているため、一騎と真矢の道が交わり、共に人生を歩む可能性は限りなく低い。

 

・総士の残したメッセージ

総士「22世紀は人類にとって戦いの時代となった。
   遠い宇宙から来た未知の存在フェストゥム。
   人類の理解を越えた力を持つ彼らがこの星に現れてから40年、
   世界の大半が戦場と化した」
『EXODUS』1話

 総士は転生後の自分に宛てたメッセージの中で「彼らがこの星に現れてから40年」と言っているが、フェストゥムが地球に姿を現したのは2114年だが、総士がこのメッセージを録音したのは2151年11月のことである。

 

※1 『EXODUS』8話、エメリーは総士に「あなたはフェストゥムにとって抜くことのできない棘」であり、「痛みを教える存在だ」と言っている。

※2 『EXODUS』8話、織姫は総士に「人と彼らの架け橋になるために」と言っている。

※3 『EXODUS』25話、一騎は総士に「お前が選んだ道を、俺も選ぶよ」と言っている。

 


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