【蒼穹のファフナー THE BEYOND】旅

織姫「行きなさい。
   そしていつか島を目覚めさせて」
『EXODUS』26話

溝口「長い旅に出てた気分だ」
『THE BEYOND』12話

 織姫は半ば強制的に竜宮島の人々を竜宮島の外に出した、つまり旅に出しました。竜宮島の人々は竜宮島から離れたことで、真実を受け入れられるようになり、竜宮島で経験した悲しみは別のものに変わりました。

 

 ゲディ・リー『ゲディ・リー自伝 我が奇妙なる人生』(シンコーミュージック)には家族の死を受けれるための言葉が紹介されていました。

愛する人の埋葬からおよそ6ヶ月経つと、墓石の除幕式が行われ、いまこのときから悲しみは思い出に変わると告げられる。
ゲディ・リー『ゲディ・リー自伝 我が奇妙なる人生』第2章

 『THE BEYOND』12話ではこの言葉を思い出す行動がいくつか描かれていました。

 

 咲良は竜宮島から去る時、母、澄美と別れた。竜宮島に帰ってきた後、咲良は芹が作った澄美の墓に触れた時、澄美は思い出になっていた。

咲良「ただいま、母さん」
『THE BEYOND』12話

 

 保は一期で衛と千沙都を失った。竜宮島に帰ってきた後、保は自宅に飾ってあった写真を覆っていた砂を拭った時、衛と千沙都は思い出になっていた。

保「ただいま」
『THE BEYOND』12話

 

 量平は広登の死を知った直後、竜宮島を去った。竜宮島に帰ってきた後、量平は店に飾ったった広登のポスターを広げた時、広登は思い出になっていた。

 

 ゲディ・リー『ゲディ・リー自伝 我が奇妙なる人生』には以下のような言葉も紹介されている。

悲しみから追憶に向かう時が来たのだ。
ゲディ・リー『ゲディ・リー自伝 我が奇妙なる人生』第28章

 こそうしは一騎に総士の灯籠を渡すという形で、一騎に追憶に向かう時が来たことを告げた。

こそうし「これをお前が流せ。
     僕が皆城総士だ。
     お前が知ってる誰かはもうどこにもいない。
     文句は言わせないぞ。
     僕はお前に勝ったんだ」
『THE BEYOND』12話

 一騎は総士の灯籠を流した後、甲洋と一緒に旅に出た。つまり、こそうしは一騎に総士の灯籠を渡すという形で、織姫が『EXODUS』26話で竜宮島の人々に対して行ったのと同じことを一騎に対して行ったのである。『THE BEYOND』12話後の一騎の旅は総士を思い出にするための旅でもあるのだろう。