abemaTVでEXODUSを配信 その1

 2016年9月29日から10月18日までabemaTVで『EXODUS』が配信された。1話から通して見直したいと思っていたものの、一人で見るには気力の必要な作品なので、いい機会でした。1話から14話までのメモです。

 

第1話「来訪者」

 Aパートの人類軍のハワイでの戦闘で何が起こったのかは、ソフトに収録されている長尺版を見ないとわからない。人類軍によって核を落とされた後、ハワイで一緒に戦った兵士の間でもさまざまな考えが生まれ、内部分裂が始まり、最終的にアルゴス小隊とペルセウス中隊に分かれてしまった。人類軍の行動が新たなる戦いと同時に進化をもたらした。『HEAVEN AND EARTH』以降、竜宮島の役割は人類とフェストゥム、内部分裂した人類軍の調停者へと変化した。

 

総士「僕らの最後の時間が始まった」

 初見時は総士の同級生全員のことを指していると思ったけど、最後まで見た後、「僕ら=総士と一騎」ということに気がついてしまった(笑)

 

第2話「希望の名は」

 芹がフェストゥムを切ったら4体に増殖したけど、『EXODUS』第13話での咲良のSDPによるトルーパーの増殖もフェストゥムの持つ能力だということに気がついた。

 

第3話「対話の代償」

 一期で総士と仲直りする前の一騎は自分の本音をすべて真矢にぶつけていたが、『HEAVEN AND EARTH』で総士が帰ってきた後、一騎が本音を言う相手がおそらく真矢から総士に変わった。その結果、真矢には一騎の本心が見えにくくなり、余命の件もあって一騎との心の距離が開いてしまったという感じなのかな。一騎生誕祭の時に真矢とカノンはともに一騎から一歩引いた感じで演じたと言っていたが、カノンは真矢に遠慮して引き、真矢は自分には立ち入れない問題(余命三年)があるので一騎から一歩引いた結果、カノンと真矢は二人とも一騎からは距離を置いた状態になってしまった。

 エメリーが後の弓子と同じ存在だということを意識して見た。美羽は幼すぎてかわいそうになるが、生まれ持った大きな力故に常に託される側なのだろう。ふと冲方丁『光圀伝』(角川書店)の光圀の晩年を思い出した。

 

第5話「新世界へ」

カノン「お前が勝手に島を出ないよう、わたしが見張ってやる」
 一騎「そっか、勝手に行けばいいのか」

 一騎は人の話を聞かないと言われるけど、このシーンを見て、話は聞いているけど、興味のあるものにだけ反応する人なのだと思った。この続きの会話を聞くとそれがよくわかる。

カノン「行くなと言ってるんだ」
 一騎「冗談だよ」
カノン「真矢もレギュラー・パイロットから外れる。
    これが最後の任務になるだろう。
    お前も真矢ももっと平和な時間を過ごすべきだ。
 一騎「うん。世界をどう祝福するか」
カノン「えっ」

 カノンのアドバイスを一騎は見事にスルーしている。

 

第6話「祝福のとき」

ミツヒロ「ただのグレゴリ型だ。
     同化された人間の心が幽霊のようにさまよう」

ナレイン「我々のミールに寄生する存在だ。
     人に危害を加えることはない」

 グレゴリ型の実体は別の場所にあり、アショーカを監視していただけなので、人に危害が加えない。確かにミツヒロとナレインの言うとおりの存在である。

 

総士「だが、こうして未知の希望のために僕たちは命を使うことを選んだ。」

 一騎と総士は希望のために自分の命を使ったけど、別の形だった。この言葉には「場合によっては命を使うことも辞さない」という転生した自分へのメッセージをも含んでいるけど、それが運命だとしても重い。

 

第8話「平和を夢見て」

 6話のラストから続いているけど、親しい人と一緒に寝るというのが印象に残った。

  ・美羽と弓子:弓子が目を覚ました時、傍らに美羽はいなかった。
  ・織姫と芹 :芹が一緒に寝ようと横になったら、織姫に蹴り飛ばされた。
  ・一騎と総士:クロッシング状態ではあるものの、目が覚めるまで二人は一緒に眠っていた。

 三組のペア、親子も含めてすべて同性と寝ていたのが気になるところ。し目覚めるまで一緒に眠ることができたのは一騎と総士だけ(笑)。

 

 思えばこの回のサブタイトルは竜宮島からシュリーナガルへ行くまでの間、一騎が見た夢そのものだったことに気がついた。(一騎が見た夢の内容は冲方丁が『「蒼穹のファフナー EXODUS」スペシャルイベントー痛みー』で話していた。『EXODUS』BD/DVD12巻の特典ディスクで見られる)

 

第9話「英雄二人」

 見終わった後、思い出したのはこの台詞だった。

総士「対話も戦いも代償は付きまとう。
   それが世界の変わらぬ問いかけであり、
   答えは僕らの命そのものだということだと」
『EXODUS』3話

 まさにこの言葉を体現した回だった。

 

第11話「変貌」

彗「もし姉ちゃんが戻れば、また家族一緒になるのかな。
  来い」

 彗は姉を引き寄せようとした。しかし、L計画のファフナーパイロットは全員、同化現象により結晶化していなくなったので、遺体は残っていない。その結果、姉のお守りが引き寄せられたが、それが姉という存在を表していた。

 

第12話「戦場の子供たち」

チェスター「カマル司令官が反抗したら」
ダスティン「俺の仕事だ」

 14話冒頭のカマル司令暗殺の伏線がこんなところにあった。1月にニコ生一挙で見た時に気がつかなったのがちょっと悔しい。

 

一騎「俺も出る」
総士「ダメだ、力を温存しろ」
一騎「人が襲われてるんだぞ」
総士「ここにいる人々を守るためだ」

 出撃したがっている一騎を見てと変わったと思った。一騎はファフナーに乗ってフェストゥムと戦い始めた頃、こんな気持ちを抱いていた。

一騎「敵を破壊して喜んでる自分が、嫌になる。
   よくやったって褒められるのが怖いんだ」 ドラマCD『NO WHERE』

 「敵に対して飽くなき闘志を抱き、ザインの底なしの力を放ちたいと欲求にかられる」(※1)や「マークザインのリミッターを外してからは、マークザインという強大な力と一体化することによる万能感と、 その力を他者のために使いたいという救済意識が前面に出てくるようになる」(※2)といった変性意識の影響なのだろうか。

 

広登「なにもしないのか。
   亡くなった人の遺品を集めるとか」

 この世界では同化やワームスフィアに飲みこまれていなくなる人が多いため、遺体が残るほうが稀だ。(9話で一騎が同化を肩代わりした結果、同化されて死亡した人の遺体が残ったが、人類軍は奇跡と呼んでいた)そのため『EXODUS』では遺体が残らなかった人が存在したという証は遺品で表現されている。道生の銃、カノンの帽子、暉がシュリーナガルの子どもからもらったお守り、弓子の指輪、エメリーの弟の靴、総士のシナジェティク・スーツと転生した子ども。織姫は記憶が次のコアへ引き継がれるため、その自身の記憶が生きた証。広登のビデオカメラは家族ではなく里奈の元へ行き、家族の元に遺体が帰った。一番象徴的に描かれたのは彗の引き寄せにより姉のお守りを取り戻した結果、彗の両親が彗の姉の死を受け入れたこと。

 

第13話「闇の中の未来」

咲良「海の中は同化能力が半減。
   島を同化するには空から取り付くしかない。
   こっちの戦場に乗る以外ないのよ、フェストゥム」

 初見時、突然咲良がフェストゥムについて説明するので驚いた場面。ウォーカーの正体を知った後に聞くと、完全にミスリードを誘う台詞だった。

 

 初見時、カノンが見た未来はすべてミスリードだと思ったのですが、最後まで見たら荒廃したブルク(日付は2151年12月1日)とアビエイターと単騎で戦うザインは真実だった……。Cパートでカノンが見た破壊されたファフナーと墓標が並ぶという未来はカノンが一騎と生きことを選んだ時の島の姿なのだと思う。完全に騙されました。

 『EXODUS』14話の予告はテレビ放映版でした。ソフトには『EXODUS』14話のサブタイトルが入ったものが収録されています。

 

第14話「夜明けの行進」

 冒頭、Aパート、ラストで人が殺されているので、どうしてもそのシーンが印象に残りがち。しかし、初見は一騎生誕祭だったので、衝撃のラストを見ずに済んだ。その結果、初見時に物語の力点がどこにあるのかを見極められたのは幸いだった。

 

 ミツヒロ「グレゴリ型ですね。
      同化された人間の思念体です」

 グレゴリ型について説明するのは常にミツヒロの役割だった。『EXODUS』6話でもミツヒロが「ただのグレゴリ型だ。同化された人間の心が幽霊のようにさまよう」と説明していた。グレゴリ型について深く突っ込まれないように、あえてミツヒロに説明させているようにも見える。

 

  総士「君も抑制剤を」
エメリー「ミールのそばにいるから念のためにって」

 エメリーが「念のために」とは言っているものの、これもある意味、ミスリードだった。エメリーは弟の願いによって生まれた存在であるものの、完全に人そのものだった。また、エメリーは家族がすべて亡くなっていてるので、いなくなる前のエメリーをよく知る人がいない。子どもということもあり、弓子とは違い、違和感を感じた人はほとんどいなかったと思われる。

 

エメリー「感じます。あなたはフェストゥムにとって抜くことのできない棘。
     痛みを教える存在だとわたしたちのミールが言ってます」
     (中略)
エメリー「あなたは永遠の存在だとミールは言っています。
     彼らに痛みを与え続けるため、この世に居続けると」

 総士がこのエメリーの言葉通りの存在になった場合、どのような形でフェストゥムの中に存在し続けたのかが少し気になる。

 

※1 『EXODUS』DVD/BD1巻リーフレットより引用

※2 『蒼穹のファフナー EXODUS』公式サイトのSPECIAL/CHARACTOR/真壁一騎の変性意識より引用。

 


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