ミツヒロ「彼らは結局、ファフナーを動かす電池にすぎん」
剣司「電池だって」
咲良「上等だよ、あの親父」
一期18話
竜宮島の子どもたちはミールの遺伝子汚染から守るためにフェストゥムの因子を投与され、フェストゥムと戦うために作られた存在だが、ファフナーに乗って戦うことを決めるのはパイロットに選ばれた子どもたち自身であり、ファフナーに乗った後でも戦いを拒否することは可能だった。実際、咲良が同化現象で昏睡状態に陥り、衛がフェストゥムとの戦いで犠牲になった後、剣司はファフナーに乗ることを拒否したが、剣司の母、彩乃はそれを受け入れた。
彩乃「剣司、母さんねえ、正直言うと安心してるのよ。
あんたがそうやって戦わずにいられるかもって思うとね。
でもね、その代わり、
あんたの代わりに誰かがファフナーに乗るんだってことは忘れないで頂戴。
それでも戦いたくないって言うなら、母さんが、あんたを守ってやるよ」
一期23話
子どもたち自身、自らがファフナーのパイロットとして作られた存在であることを知った後も、表立ってそのことに対して異議を唱えたり、親に反抗するシーンは描かれていない。このことについて直接、親に言ったのは翔子と一騎のみである。
翔子「私たち、生まれた時から戦うことが決まってたんでしょ」
一期6話
一騎「あいつらを倒すために俺を育てたんだろ、父さん」
ドラマCD『GONE/ARRIVE』
もっとも翔子も一騎も、これは親に言ってはいけないことだとよくわかっているが、あえて親にぶつけた。
ミツヒロが子供たちに戦うための存在として作られたと明言する場面が、一期18話、すなわち一騎と総士の和解後であるというのが興味深い。一騎は総士の左目を傷つけたという負い目があるため、総士の指示通りファフナーに乗り、フェストゥムと戦うことになった。しかし、翔子と甲洋が相次いでいなくなった後の総士の態度を見て、一騎は総士が何を考えているのかわからなくなってしまった。そのため、一騎は総士を理解するために島の外に出て行った。この一騎の行動は子どもを戦うための道具として作った大人に対する島の子供たちの反抗、と見ることができるのではないだろうか。だとすれば、総士は一騎の同級生でありながら島の大人を象徴する存在であり、一騎が島の子どもたちを象徴する存在ということになる。
しかし、一騎が見た島の外の世界は戦いしかなかった。しかし、島の外の世界は過酷で、生きるための選択肢は二つしかなかった。
日野洋治「人類軍として戦うか、新国連のスタッフとして兵士たちのために働くか」
一期13話
ビリー「戦えるだけマシさ。戦えない人たちの方が多いんだから」
『EXODUS』12話
ビリーが言うようにファフナーに乗れる人は少ない。そのため、一時、新国連は捕虜となった一騎から採取した遺伝子を元にマカベ因子を作り、ファフナーに乗れる兵士を人工的に作り出した。
一騎は島の外に出た結果、島の外の世界の過酷な現実を知り、総士の左目を傷つけた事件の真相を知った時、一騎の反抗期は終わった。溝口さんと真矢が一騎をマークザインから救出したが、その時の一騎の口調は少し大人になっていた。
一騎「帰るのとは少し違います」
一騎「何も知らなかった時のようには、あの島をこと考えられなくて。
たぶん帰るっていうより、
俺がこれから行かないといけない場所なんです、竜宮島は」
一期15話
一騎の島への帰還が島の子どもたちの反抗期は終わったことを示しているかのように、一騎が島に帰ってくる一期16話で剣司、衛、咲良の3人もファフナーに乗ることを自分の意志で選んでいる。ちなみに総士と乙姫の他に査問委員会で証言しているのは、一騎、剣司、衛、咲良の4人である。
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