【蒼穹のファフナー】島を出て行った一騎-補足

 2015年8月に書いたものの、2年近く非公開にしていた【蒼穹のファフナー】島を出て行った一騎に対する補足記事です。

 この記事と合わせて【蒼穹のファフナー】島を出て行った一騎を公開にしましたが、『EXODUS』の1クール目と2クール目の間に書いた記事ということが重要なので、記事の日付は2015年8月20日となっています。

 長年、非公開にしていた理由ですが、この記事を書いた直後の2015年8月24日に冲方丁の逮捕(後に不起訴)という事件があり、それから1ヶ月ほど後に怒涛の『EXODUS』2クール目の放送が始まってしまい、結果的に公開する時期を逸してしまったというところです。

 

 『EXODUS』放送終了後、一期から『EXODUS』を一騎の物語として見ると、総士は一騎の父の役割を演じ、真矢が一騎の母の役割を演じていたように見える。(※1)そして父と母の支配から逃れ、精神的に自立して大人になるという物語だった。【蒼穹のファフナー】島を出て行った一騎を書いたのは『EXODUS』の1クール目と2クール目の間だが、この時点で一期で一騎に与えられていた役割を正確に見抜いていたということになる。

 一騎は総士の言われるがままにファフナーに乗りフェストゥムと戦い始めるが、次第に総士の考え方に疑問を抱くようになった。その疑問が頂点に達した時、一騎は島を出ることを選ぶが、その行為は親に対する反抗期そのものだった。島の外で世界の真実と総士の左目を傷つけた時の事実を知ったことで、一騎は自己を確立し、総士と和解した。一島に戻ってきた後の一騎は精神的に自立してしまったので、実の父、史彦は一騎をコントロールすることができなくなっていた。北極に戦いに行きたいという一騎に対して、史彦はこう言うしかなかった。

史彦「そうだ、一騎。
   俺がお前たちを送り出す。
   戦いを望む者をすべて」

史彦「島の復旧が済むまで待て。
   それから、俺がお前を北極に届ける準備をしてやる」
ドラマCD『GONE/ARRIVE』

 

 『EXODUS』での一騎はいつまでも子ども扱いする保護する母として描かれた真矢から離れ、子どもより先にいなくなる父として描かれた総士の後を引き継ぎ、一騎自身が親になったところで物語は終わった。大人になることの要素の一つである結婚という役割は同級生の剣司と咲良に振られたが、その二人は一期16話で一騎が島に帰ってくる時に、自分の意志でファフナーに乗ることを選んだ子どもたちである。

 

※1 それ故、一騎は父と離れることなく一緒に暮らし続け(おそらく『EXODUS』終了以降も)、ドラマCD『FOLLOWER2』では総士と真矢のように親の考えに異議を唱え、親から自立する姿は描かれなかったのだろう。

 


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