「蒼穹のファフナー」第22話の感想

 現在、GYAO!で一期が週2回(月・木)のペースで配信されています。一期22話を見た感想です。『究極BOX』のブックレットに収録されたインタビューでの冲方丁の発言やPalcyで配信された第三十六歌(後半)宣 モルドヴァ 言の内容を踏まえたものになっています。

 

・剣司の言葉

 一期21話で咲良は同化現象に襲われて倒れたが、『HEAVEN AND EARTH』の剣司の言葉が頭に浮かんだ。

剣司「もう一つ、ファフナーは乗れば乗るほど同化現象に襲われる。
   けどまあ、昔と違って早々動けなくなったりしねえよ」
『HEAVEN AND EARTH』

 好きな人が同化現象で倒れ、昏睡状態に陥ってしまった剣司の言葉だけに重みが違う。

 

・カノン

 人類軍兵士だった頃のカノンは竜宮島とともに自爆せよという命令に対して「これでやっと、本当にいなくなれる」とつぶやいたことからわかる通り、いなくなりたい人だった。つまり、カノンは総士と一騎に連なるキャラクターだった。人類軍の竜宮島を殲滅する作戦が失敗した後、竜宮島に置き去りにされた人類軍の兵士は全員、竜宮島が引き取った。カノンは羽佐間容子に引き取られ、竜宮島生まれのパイロットと一緒に戦うことになった。だが、フェストゥムの因子を持たないカノンは竜宮島生まれのファフナー・パイロットと同じになれず、疎外感に悩まされるようになった。カノンは総士と一騎だけでなく、翔子と真矢の連なるキャラクターでもあった。一期での命題である「いなくなりたいという思い」と「疎外感」を克服したことから、一期で最も成長したキャラクターということになる。しかし、この作品はあまりにも厳しい世界なので、成長が著しいキャラクターは成長しきった後、すぐにいなくなってしまう。

 

・総士の望み

総士「ジークフリードシステムとファフナーの二重の負荷がかかっても、
   18時間は活動できる」
乙姫「それが一番大切な人達と一緒にいられる幸福な時間」
総士「そうだ」
一期22話

 一期では唯一、総士が自分の望みを語った場面。しかし、この後、総士はイドゥンによって北極に連れ去られてしまったため、この望みはかなわなかった。一期の総士は望みが何一つかなえられなかった。

 

・命令

史彦「誰かの言葉を命令と勘違いしたか、それとも」
一期22話

 コミカライズでカノンは命令がすべてという人間であることが補足されていた。

カノン「『私』はもうここにはいない
    『命令』が『私』だ」
第三十六歌(後半)宣 モルドヴァ 言

 

・カノンのSDP

 『究極BOX』のブックレットのインタビューで冲方丁がSDPについて説明していた。確かに『EXODUS』7話ではSDPが発動する前、パイロットは自らの望みを言葉にしていた。

 芹「島を、島を守るんだ。
   乙姫ちゃんの島を」

零央「もっと早く動け。
   もっと、早く。
   もっと」

 彗「武器がない、誰か武器を」
『EXODUS』7話

 カノンのSDPはもしかしたらこの言葉から生まれたのかもしれない。

カノン「私はここにいることを、この島にいることを、選びたい」
一期22話

 カノンがここ(竜宮島)にいることを望んだが故に、瀬戸内海ミールはカノンに竜宮島滅亡の危機から救うための力を与えたのだろう。