『EXODUS』でやっと北極ミールが地球にやってきた経緯の一端が明かされたが、一期のアニメ本編では北極ミールがどのようにして人類を知り、地球にやってきたのかということについてほとんど描かれなかった。
・善意×善意=争い
ヘスター「人類は友愛のメッセージを宇宙に送り続けてきました。
このゴールデンレコードを始め、電波や光を使って」
『EXODUS』13話
人類は宇宙のどこかに存在しているかもしれない知的生命体に対して友好的なメッセージを送っていた。
【ミール】
3.北極ミール:人類が外宇宙探索機に人類存在のメッセージを送ったために来訪したミール。
ファフ辞苑3(※1)
ミョルニア「我々は宇宙を無に返すことでより高い次元へ移行させるからだ」
一期13話
北極ミールは人類が宇宙に送ったメッセージを受け取り、地球にやってきた。そして、人類に対して自分たちが良かれと思ったことを行った。つまり、人類もミールも未知の相手に対して善意に基づいた行動をとっているのだが、不幸なことにお互いの価値観が違いすぎるため、争いが起きてしまった。
・伝言ゲーム
Q17「あなたはそこにいますか」ということば
もともとは地球人が外宇宙に向けてはなった、古い無人探査船に搭載されていたプレートに刻まれていたことば。その探査船には地球の位置や地球人に関する情報が多く積まれていたという。宇宙を放浪していたフェストゥムがそれを捕獲して分析。人類という存在を知ると同時に、プレートに刻まれていたことばを、人類へのコミュニケーションツールとして記憶したのだ。
『蒼穹のファフナー Log-book』(※2)
人類は宇宙に「あなたはそこにいますか」というメッセージを送り、それを北極ミールが受け取った。そして、そのメッセージを解析して地球にやってきた。そして、北極ミールから生まれたスフィンクス型フェストゥムは人類に対して「あなたはそこにいますか」と発信し続けている。
総士「7年前、衛が修理した無線機、覚えてるか。
なにも知らなかった僕らは敵の声を受信し、そして、応答してしまった。
あの時から敵は僕らの存在を認知していたんだ」
ドラマCD『NO WHERE』
人類からもフェストゥムからも隠れている竜宮島ではフェストゥムの「あなたはそこにいますか」というメッセージを衛が修理した無線機で受け取り、子どもたちが返事をしてしまった。その結果、フェストゥムは竜宮島の存在と位置を知り、竜宮島にやってきた。
発信:人類 → | 受信:ミール | ||
発信:フェストゥム → | 受信:竜宮島 |
つまり「あなたはそこにいますか」という言葉は人類 → 北極ミール → フェストゥム → 竜宮島という伝言ゲームになり、人類が発した言葉だったにもかかわらず竜宮島にはフェストゥムからの言葉として届いた。
・言葉によるコミュニケーション
北極ミールはゴールデン・レコードを解析して「あなたはそこにいますか」という言葉が人類のコミュニケーションツールであることを知ったが、その時、おそらく相手から言葉が帰ってくることを知らなかった。北極ミールが地球にやってきた後、フェストゥムは人類に対して「あなたはそこにいますか」と話しかけていたが、その問いかけに返事をする人類の姿を見て、フェストゥムは言葉を発すると相手から返事が返ってくることを学んだのだろう。後にフェストゥムは相手からの返事を受け取ることで姿を隠していた竜宮島の居場所を知ることになる。フェストゥムが人類から言葉を使ったコミュニケーションを学ぶ様子は、後に来主操を通して描かれた。
操「あのね、空がきれいだって思ったことある」
史彦「空、ああ」
『HEAVEN AND EARTH』
史彦は操の問いかけに対して答えを返した。スフィンクス型フェストゥムだった時の記憶を持っているボレアリオス・ミールのコアである来主操はフェストゥム(ウォーカー)に対して同じ質問をした。
操「ねえ、空がきれいだって思ったことある。
なんだ、つまんない」
『EXODUS』24話
返事をしないフェストゥムに対して文句を言う操の姿はまさに人間そのものである。
※1 一期のバラ売りDVD、DVD-BOX、BD-BOX、究極BOXに掲載。