「蒼穹のファフナー」見直し時のメモ Part1

 6月に1日に1~2話のペースで『蒼穹のファフナー』を全話見ました。この作品を全話見るのは2015年7月~9月のニコ生以来です。『EXODUS』を最後まで見た後に見直すと、これまでとは少し違う視点で作品を見ることができました。あと今回初めてBlu-rayで全話見ました。全話見終わった後で気がついたけど、Blu-rayなら最終話だけでなく1話と2話もオンエア版を見るべきだった。

 1話見終わるごとにメモ書きしていったのですが、思ったよりも分量があったのでファイルを四分割しました。Part1は1話~10話です。

 『EXODUS』を最終話まで見た後の感想なので、『HEAVEN AND EARTH』及び『EXODUS』のネタバレ内容を含みます。

 

第1話「楽園-はじまり-」

 初めて主人公が登場した時、左手で鞄を持っているというのは印象に残る。(1話にはないオープニングでも一騎は鞄を左手で持っている)『EXODUS』8話で同じレイアウトのシーンがあるが、荷物を持つ手は描かれていなかった。残念!

 ちなみに総士は右手で鞄を持っている。ここでの注目点は二人とも同じ持ち方をしていること。

 

第2話「告知-いのち-」

 エルフの左腕を失ったことにより、一騎は嫌悪する右手で敵と戦わざるを得ない状況に追い込んだということかな。以下の文章を思い出した。

幼少時に皆城総士の左頭部を傷つけた一騎の右手。以来、右手で誰かを攻撃することを怖がっていた一騎。そんな一騎が初めてファフナーに搭乗し、フェストゥムに仕掛けた最初の攻撃を右手で行った事に総士は一瞬驚き、そして喜んでいた。久しぶりに総士と話した一騎の変性意識内において、封印されていた右が開放された瞬間である。
【一騎の右】ファフ辞苑8(※1

 

第3話「迷宮-しんじつ-」

真矢「これがこの間のクラス対抗戦の時の写真」
翔子「いいなあ、みんなで写真を撮れて。
   私も早く良くなって、みんなと写真撮りたいなあ」
一期3話

 学校に行けない翔子はみんなと一緒に写真を撮ることができなかった。

真矢「あたしだけいない。
   あたしが撮った写真だから、当たり前か」
一期17話

 友達と一緒に写真に写ることができない=仲間に入れない存在であることを意味している。真矢はハンデがあるため自分だけファフナーに乗れない状態が続いたが、それは学校に行けない翔子と重なる。つまり翔子亡き後、真矢が翔子のポジションに立つことになった。

 

第4話「逃航-ふなで-」

 4話では3話で一騎が見た少女(乙姫)が島を司っていることを描こうとしているが、ここまでの情報量で初見の視聴者に伝わったのかはわからない。私は14話~21話まで見た後に4話を見たので、乙姫についてはよく知っていたのですぐに理解できた。

 

第5話「約束-ちかい-」

 冒頭、ひとり山でロッククライミングをしている真矢を総士が引き上げるシーンがあるけど、総士は頭脳系のキャラにしては、珍しく運動神経がいいと思ったので印象に残った。『EXODUS』の放送が終わった現時点でも総士のシナジェティック・コードは未公開だけど、総士は最初の案では北極の決戦でファフナーに乗る予定だったので、それなりに運動ができる設定だったのは当然なのかもしれない。

 

 5話終了時点で描いた人間関係はこの二つのグループだと思う。

  一騎と総士
  真矢 → 一騎 ← 翔子 ←甲洋

 戦闘時の会話が中心の一騎と総士の関係はさっぱり見えないが、一騎に思いを寄せる真矢と翔子。翔子に思いを寄せる甲洋というのはきちんと描いていると思う。あと5話までに描くべきだったのは一騎と甲洋が子供の頃から仲が良かったということ。仲の良かった一騎と甲洋が翔子の死をきっかけに仲違いすることになるという展開になるので、絶対に描かなければいけない関係だった。

 そして、この時の真矢はあくまでヒロインの友人役。この後、翔子と甲洋が相次いでいなくなり、そのことが原因で一騎と総士の関係が悪化した時、真矢がその二人の仲介役を担い、それと同時にヒロインに昇格。一期終盤、一騎と真矢はちょっといい雰囲気だったものの、フェストゥムに総士が奪われ、最終的に帰還を約束していなくなったので、一騎と真矢の距離は開いてしまった。『HEAVEN AND EARTH』で総士が帰還。しかし、『EXODUS』は一騎と真矢は価値観の相違から距離が開いた状態でスタート。一緒に旅する中、互いの価値観を認めたため二人の距離は少し縮むものの、最終的に一騎が人の理を外れても生きることを選んだために別離。『EXODUS』終了時で真矢は20歳なのに、波乱万丈な人生だなあ。「20歳か。ファフナーに乗ったのが14歳。もっとゆっくり大人になりたかった」(※2)という真矢自身の言葉が頭に浮かんだけど、この後、真矢は新国連の捕虜になるという大きな出来事が待っていた。

 

第6話「翔空-ぎせい-」

総士「あまり、関わらない方がいい」
一騎「総士」
総士「もう友達のままではいられないんだ」
一期5話

 5話までで戦っているのは一騎と総士のみなので、この時の総士の言葉の意味を同級生が理解し始めるようになるのが6話なんだと思う。『RIGHT OF LEFT』を知っていると総士の言葉の意味がよくわかるので、『RIGHT OF LEFT』での総士の内面描写の補完はうまいと思う。

 

 そして、この物語の起点は翔子の自己犠牲による死。結局、翔子の考えを真矢と甲洋が引き継ぎ、『EXODUS』終盤で新国連と竜宮島の考え方の違いを理解する上で大きな意味を持つことになる。

 

 2回連続で単独では飛べないエルフが海の上で戦うというのは描写が難しいと思った。ゼクスは内蔵武器のマインブレード、レージングカッター、デュランダルで戦っていたけど、どの武器も『EXODUS』で効果的に使われていた。あと、ルガーランスが初登場。

 

第7話「家賊-おやこ-」

 史彦「メモリージングを始めた時期は同じだと言うのに」

要澄美「こうなることは承知していたわ。
    でもね、子どもをこんなふうに戦わせて自分たちだけ生き残るなんて。
    そんなの、そんなの、納得できません」

 千鶴「やはり彼にも染色体に変化が見られました」

 やっと大人の会話が具体的なものになった。このことから6話までは視聴者に対しても情報を伏せていたことがわかるけど、設定を理解した上で見直した時に疑問符が頭に浮かぶ台詞回しというのはやはり問題がある。

 

 次回予告を見て思い出したけど、アルヴィスとは別のアーカディアン・プロジェクトの島のコアは少年だった。『EXODUS』で出てくる第三アルヴィスのコアとボレアリオス・ミールのコアは少年で、竜宮島と海神島に根付いたアショーカは少女。ということは、フェストゥム側のコアが少年で、人類側のコアが少女ということになるのかな。

 

第8話「確執-こうよう-」

狩谷「この島にもフェンリルがあることは確認しています。
   すぐにでも放ち、島を消滅させるべきです。
   何をためらっているんですか。
   あいつらを一気に殲滅できるチャンスです」
史彦「退避が完了していないうちに、かね」
狩谷「味方が同化して敵になるよりはマシだと思いますが」

 この部分の狩谷先生の台詞を聞いていると竜宮島よりも新国連側の考えに近いと思った。特にラストの言葉は『EXODUS』のこの台詞を思い出した。

ダスティン「同化された仲間を助けようとして、より多くの部隊が壊滅する」
『EXODUS』9話

 狩谷先生はなかなか合理的な考え方をしているけど、そこまで割り切れない人間が多い故に「交戦規定アルファ」が生まれたのだろう。

 

総士「これだけは言っておく。
   羽佐間のような無謀な行動を二度と許す気はない」
甲洋「あっ」

 この総士の言葉で甲洋は翔子のあの行動は翔子自身の考えによるものだと知ったんだろうなあ。なので、この後、甲洋は総士の命令に文句を言わずに従う。

総士「ファフナーを失う危険があれば、救助を中止する」
甲洋「俺の実力次第ってことだろ」

 つまり総士へのわだかまりはなくなったところで、甲洋は同化されたということか。一期20話を見ると一騎へのわだかまりもないので、甲洋は翔子をめぐる総士の行動を理解したのと同時に一騎の戦闘も理解したということになるのだろう。

 

総士「ならば甲洋、俺はお前に命令する」

総士「島を頼みたい。
   前線に立ってくれるか」
『EXODUS』23話

 甲洋に対して総士は8話では「命令する」と言っているけど、『EXODUS』だと「頼みたい」に変化し、言い方が柔らかくなっている。

 

第9話「同化-わかれ-」

 翔子、次いで甲洋が舞台を去ることにより、物語は大きな転換点を迎えた。甲洋はいずれ戻ってくるが、それは遠い未来の話。ここで「翔子-真矢-甲洋」という三人組が崩壊。真矢は翔子の後を次いでこの作品におけるヒロインとなり、以後、一騎と総士とともに物語を動かす側に回る。甲洋と同時にファフナーのパイロットになった咲良が物語を動かす側になり、それに伴い剣司と衛も表に出てくることになる。そして、後に乙姫の同級生になる後輩組もこの辺りから顔を出し始める。物語は皆城兄妹を軸に本格的に動き始める。

 

 この話で春日井夫妻が退島処分となったが、島から出ること=新国連のスパイも解職ということで、退島と同時に新国連からもお払い箱になったのだろう。『EXODUS』で島の外の世界の様子を見た後だと、島の外で生きていくのは本当に大変だと思う。

 

第10話「分解-すれちがい-」

 『EXODUS』放映前、1クール目では数少ない明るいエピソードで好きだったんだけど、今となってはとても悲しく、重苦しい話になってしまった。灯台で「絶対、東京でアイドルになるー!」と言う弓子の台詞を聞いたら涙が出てきてしまった。

広登「でもさ、でもさ、この島から出られないのが嫌なんだよ。
   なんか、なんか、檻の中にいるような気がしてさ。
   一度でいいから外の世界を見てみたいんだよ」

 島から出られないと言われば、島から出て外の世界を見たくなるのが人間というものなのだろう。

 『EXODUS』では最終的に竜宮島の島民が全員、島をを出たわけだけど、これを決めたのは一騎、総士、真矢、カノンの4人。(※3)一騎、総士、真矢は一期(総士は一期以前だが)と『EXODUS』で島の外に出て、外の世界を見た。一方、カノンは元人類軍の兵士で、島にやってきて住み着いた。つまりこの決断に参加した人は全員、島と外の世界(人類軍)を見た上で、島の平和を捨てて島を出ることを決めたということになる。一期のメンバーで島の外の世界を見る機会がなかった剣司と咲良はこの決断に参加していない。広登の言葉に通り、若者にとって竜宮島は島は檻のようなものだったのかもしれない。

 

※1 一期バラ売りDVD8巻のリーフレット及びblu-ray BOXのブックレット参照。

※2 『EXODUS』21話、真矢の台詞。

※3 『EXODUS』BD/DVD11巻付属のドラマCD『THE FOLLOWER2』を参照。

 

P.S. アニメを見直した後にコミカライズの4巻を読んだのですが、4話の戦闘がうまく補われていて脱帽。16話以降はあまり書くことはないと思っていたにもかかわらず、4000字を越えた時にファイルを分割することを決めたのですが、最終的に三分割することになるとは思いませんでした。

 


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