【蒼穹のファフナー EXODUS】記憶

 2018年12月6日ニコニコ生放送一挙の感想で一旦公開したものの削除した「瀬戸内海ミール」に加筆修正して独立した記事にしました。『THE BEYOND』のPVの内容にも触れています。

 

・瀬戸内海ミール

 日本で発見された瀬戸内海ミールは三分割され、アーカディアン・プロジェクトで作られた3つの島が保有した。しかし、蓬莱島と海神島は新国連に編入後、消滅した。蓬莱島と海神島が所有していた瀬戸内海ミールの行方は『蒼穹のファフナー EXODUS Blu-ray BOX』付属のブックレットで明かされている。

 

●蓬莱島

アヴァロンの名で新国連編入後、消滅。コアはイドゥンに同化されていた。 フェストゥム/■ミール/第二アルヴィス(※1

前作で破壊された島。島のミールは皆城総士が乗るマークニヒトの中で眠っている。
冲方丁「作品コンセプト キャラクター概要 主要キーワード」(※2

 マークザインが竜宮島に渡った後、人類軍はマークニヒトを作ったが、起動実験中、イドゥンに奪われた。北極での戦いの後、マークニヒトはマークザインの中に封印されたが、来主操が封印を解いて使用した。マークニヒトに乗っていた来主操は竜宮島を人類軍の核攻撃から守るために立ち去り、その後、竜宮島が所有することになった。マークニヒトはフェストゥムによって使われたため、同化された人間の思念が残っていた。マークニヒトの格納庫では姿を表し、人間にも感じることができた。

総士「機体に残留する思念でしょう」
 保「大勢に囲まれてる気分だ」
『EXODUS』3話

総士「静まれ、亡霊ども」
『EXODUS』7話

 

●海神島

人類軍の攻撃で住民は滅び、無人のまま漂流している。島のミールは、新国連が奪い取って支配し、グレゴリ型となって、アザゼル型を操り、パペットを生み出す。
冲方丁「作品コンセプト キャラクター概要 主要キーワード」(※3

 グレゴリ型は衛星軌道上にあるベイグラントのコアであるため、世界中のどこにでも移動可能。パペットに監視させているアショーカの元には何度も現れた。グレゴリ型についてミツヒロは「同化された人間の心が幽霊のようにさまよう」(※4)と説明していた。『EXODUS』13話でグレゴリ型はマークニヒトの格納庫のように殺された人の思念と一緒に一騎と真矢の前に現れた。

 衛星軌道上にあるベイグラントには存在と無の地平線が存在しており、竜宮島のゴルディアス結晶やマークニヒト内と同じく、殺された人々の思念が残っている。

グレゴリ型「あいつらはたくさんの心を作っては消した。
      僕がいた島の人たちもみんな殺した。
      でもそのたびに力が育った」
『EXODUS』22話

 

●竜宮島

 竜宮島は地球からその存在を消すことで、新国連への編入もフェストゥムからの攻撃されることのない平和な時代を築くことができた。しかし、移住した住民の多くは人類軍の核攻撃による後遺症を抱えており、一期1話の時点で入植者の85%は死亡していた(※5)。だが、竜宮島での死は島の外の世界とは異なり、家族や友人が看取り、墓地に埋葬され、毎年行われる夏祭りで弔われていた。そのため、竜宮島のミールは人間の思念ではなく、人間とフェストゥムが生きていた時の記憶を保管するようになった。

西尾「ゴルディアス結晶の成長とファフナーが倒した数が一致した」
立上「人の命も。
   4名の帰還者の死亡後も体積が増大。
   計算ではさらに1名分」
西尾「堂間の息子が帰ったと里奈が言った。
   敵も味方も消えた命の分だけ成長する」
『EXODUS』17話

 

 瀬戸内海ミールは人間とフェストゥムが生きていた証を記憶するようになったが、新国連に編入後に滅ぼされた蓬莱島、海神島と平和が長く続いた竜宮島のミールが記録しているものは大きく異なっている。

 

・北極ミール

 真壁紅音は北極ミールを祝福した結果、真壁紅音の記憶を持つフェストゥム、ミョルニアが生まれた。それは偶発的にせよ、北極ミールはいなくなった人間の記憶を持つフェストゥムを作り出したことを意味していた。ミョルニアは自分の中にある真壁紅音の記憶を通して、最終的に人間の記憶というものを理解した。

ミョルニア「ここを構成する物質は私と関連していない。
      ただ、かつてここにいた記憶に導かれたのだろう」
   乙姫「やっぱりあなたは人の記憶というものがどんなものかもう理解しているんだ」
一期24話

 ミョルニアの存在を通して、北極ミールはおぼろげに人間がいたという証である記憶というものを理解していたのではないだろうか。蒼穹作戦で北極ミールは砕け散り、その欠片から7つのミール変異体が生まれたが、その中のボレアリオス(フローター)、アショーカ、ベイグラントの3つは北極ミールが学んだ人間の記憶というものを覚えていた。

 

●ボレアリオス(フローター)

 ボレアリオスは北極ミールに同化された後、その体を作り直していた総士を保護していたことから、スフィンクス型フェストゥムの来主操が竜宮島に差し向けられた。来主操とアルヴィスが話し合ったが、交渉は決裂。一騎が来主操を説得して「戦いたくない」という気持ちをボレアリオス・ミールに伝え、美羽が直接、ボレアリオスのコアに竜宮島のミールと島のコアである皆城乙姫の経験を伝えた結果、新しく生まれたコアは竜宮島と同じく人の姿をしていた。ボレアリオスのコアはスフィンクス型フェストゥムの来主操が生まれ変わった存在で、竜宮島のコアと同じく前の来主操だった時の記憶を持っていった。ボレアリオスはフェストゥムだけの群れでありながら、アルヴィスと対話したので、北極ミールよりも竜宮島ミールからの影響の方が大きい。

 

●アショーカ

 アショーカは人の記憶というものは理解していたが、おそらく生と死の違いを理解していなかった。

エメリー「わたしは、弟がミールに願ったから生きられた。
     あなたが弓子の命を願ったように」
一期26話

 アショーカは死んでしまったが生き続けてほしいという人間の望みを聞いた時、人格を持たないフェストゥムの体に死んだ人間の記憶を宿すという形で望みをかなえた。つまり、死者であるエメリーと弓子を実体化させてしまった。しかし、その体はフェストゥムなので、この世に存在できる時間は短かった。しかし、竜宮島のミールと触れたせいか、エスペラントとエメリーがいなくなった後、人の形をしたコアが誕生した。

 

ナレイン「我々のミールの祝福を受ける気はないかね。
     命の果てを越えて生きるために」
『EXODUS』18話

 ナレインは死してもなお生き続けるというアショーカの祝福の内容を知っていたが、部分同化実験を行った時にフェストゥムの世界を垣間見たのかもしれない。

 

●ベイグラント

 ベイグラントを所有していた新国連は人格を持つフェストゥム、パペットを作り出した。しかし、海神島のミールとコアを使って、衛星軌道上にあるベイグラントを支配していたため、瀬戸内海ミールと北極ミールの両方を持つミール変異体だった。人類軍内の不満分子を集めるパペットとして作られたディランは用が済んだ後、へスターによって記憶を消されたが、なぜか感情は残っていた。

ディラン「なんだ、この感情は。
     ギャロップも新国連も、世界のすべてが憎い」
『EXODUS』24話

 ナレイン将軍を監視するためのパペットだったミツヒロはヘスターとベイグラントのコアによってその記憶は消された。しかし、一騎の言葉に触発され、ミツヒロは記憶の保管庫であるベイグラントの存在と無の地平線に残っている記憶に触れ、自分の過ちを思い出してしまった。

  一騎「お前の心は今どこにいる、ミツヒロ」
ミツヒロ「俺が、アイを、殺した」
『EXODUS』26話

 

 「蒼穹のファフナー THE BEYOND」特報 及び「蒼穹のファフナー THE BEYOND」 PV を見ると、こそうしは竜宮島のいなくなった人々と一緒に暮らしていた。アルタイルを眠らせるために海中に沈んだ竜宮島は瀬戸内海ミール(海神島)と北極ミール(ベイグラント)の両方を持つベイグラントのコアの支配下にあるのだろう。ベイグラントは『EXODUS』24話で海に変貌したウォーカーを同化し、自らの支配下に置いて使役していたが、「蒼穹のファフナー THE BEYOND」ティザーPVにもウォーカーの姿があった。

 瀬戸内海ミールと北極ミールの両方を持つベイグラントのコアは瀬戸内海ミールを使っている竜宮島のゴルディアス結晶の中にある竜宮島の死者の記憶を読むことができるのではないだろうか。こそうしが一緒に暮らしている人々はアショーカが作ったエメリーや弓子と同じく、ゴルディアス結晶が保存している死者の記憶を人格を持たないフェストゥムの体に宿すことで実体化した死者なのかもしれない。「蒼穹のファフナー THE BEYOND」 PV でこそうしの妹は結晶化した後、砕け散る姿があった。

 アルヴィスが瀬戸内海ミールと北極ミールの両方を所有するベイグラントのコアと戦うのであれば、瀬戸内海ミール同士が争うという一面もあるが、それはおそらく必然なのだろう。

 

・一騎-生ける死者-

 総士は生きている時にフェストゥムを祝福したため、体を作り直してこの世界に帰ってきた後も生きている者だったので、最終的には死があった。しかし、一騎が島の祝福を受けた時、一騎はすでに死んでいたために、島の祝福を受けてこの世に帰ってきた時は「生ける死者」とも言うべき存在になってしまったのではないだろうか。 そういえば織姫は一騎が島の祝福を受けた後、「もう戻れない」(※6)と言っていた。

一騎「俺を、母さんみたいにするのか」
『EXODUS』24話

 もはや自分が生きていないことを自覚していた故に、一騎は島のミールにこう問いかけたのではないだろうか。そう、一騎は生きていない自分が島の祝福を受けた場合、ミョルニアのような死者の記憶を持つフェストゥムに近い存在になることがわかっていた。皮肉なことに島の祝福を受けた一騎はアショーカが死者にフェストゥムの器を与えたエメリーや弓子、ベイグラントが作り出したパペットに近い存在になってしまったのかもしれない。

 

 

※1 『蒼穹のファフナー EXODUS Blu-ray BOX』付属のブックレットのフェストゥム/■ミール/第二アルヴィスの項から引用。

※2 『蒼穹のファフナー EXODUS Blu-ray BOX』付属のブックレットから引用。

※3 『蒼穹のファフナー EXODUS Blu-ray BOX』付属のブックレットから引用。

※4 『EXODUS』6話

※5 この数字は『アニメージュ』2005年1月号に掲載された「XEBEC 能戸プロデューサー秘話『FAFNER』という物語について」から引用しました。

竜宮島への入植者は7000人ほどでしたが、今は2000人を下回っています。その2000人もその後生まれた子供を含めてのもので、入植した方々の85%はいません。

 この記事は『蒼穹のファフナー Blu-ray BOX』付属のブックレットにも掲載されています。

※6 『EXODUS』24話

 


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