○皆城織姫
乙姫が経験したこと全て、あらゆる知識を受け継いでいる。その上で、乙姫とは異なる人格と感情を持っている。
「作品コンセプト キャラクター概要 主要キーワード」冲方丁(※1)
総士の妹であり、竜宮島のコアである乙姫が転生して生まれた織姫は別の人格を持っていたが、親である乙姫の記憶をすべて保持していた。総士はフェストゥムに同化された後、体を取り戻してこの世に戻ってきた後、総士は竜宮島のコアに近い存在(※2)になり、乙姫と同じく同化されていなくなった後、転生してこそうしが生まれた。だが、竜宮島のコアとは異なり、こそうしは親である総士の記憶を引き継がなかった。
なぜ、こそうしは総士の記憶を持っていなかったのだろう。
・ミールのコア
○ミール
フェストゥムを用いて周囲を同化し、情報を集積する。
「作品コンセプト キャラクター概要 主要キーワード」冲方丁(※3)
コアはミールの一部であることから、おそらくコアも情報を集積するという性質を持っており、コア自身の経験も含め、竜宮島のミールが集めた情報を自分自身の記憶として保持しているのだろう。乙姫がミールに生と死を教えたため、コアは死と生を繰り返す形でこの世に存在し続けることになった。乙姫と同じく織姫も竜宮島のコアであるため、親である乙姫の記憶も含め、ミールが集めた情報をすべて保持していた。
ボレアリオス・ミールは美羽を通じて竜宮島のミールのコアの経験を知り、新しく生まれることを選んだ。その結果、ボレアリオス・ミールには人の形をしたコアが生まれた。コアは自分が生まれる前、ボレアリオス・ミールがフェストゥムを通じて得た情報については知っており、スフィンク型フェストゥムの来主操が経験したことについても話していた。
操「人が生み出す火か。
焼かれるのはやだな」
『EXODUS』22話
だが、来主操自身、ボレアリオス・ミールにコアが生まれ変わる前の記憶は持っておらず、残っているのは感情だけだった。
操「君はあまり好きじゃない。
前のコアと戦ったからかな」
『EXODUS』23話
・皆城総士
総士はフェストゥムに同化されたが、肉体を取り戻してこの世に帰ってきたが、竜宮島のコアと同じく永遠の存在になってしまった。総士は同化されていなくなったが、その後、子どもがうまれた。つまり、竜宮島のコアと同じように、死と生を循環してこの世に存在し続けることになった。しかし、総士は情報を保持し続けるミールのコアでないので、総士の子どもは親の記憶を一切引き継がなかったのだろう。こそうしが親の記憶を引き継がなかったのは、親である総士がフェストゥムではなく人間だったからではないだろうか。
新しい世代は「白紙の状態からやり直し、前の世代が歩んできたすべての道程を、ふたたびたどり直さなければならないのである」。
カント「人類の歴史の憶測的な起源」原注(※4)
竜宮島のコアはフェストゥムだが、総士は同化された後、この世に帰ってきた時の肉体はフェストゥムのものだが、その心は人間であることに変わりはなく、そのため、総士の子どもは人間の子どもと同じように親の記憶を引き継がなかった。竜宮島のミールのコアである乙姫と織姫、ボレアリオス・ミールのコアである来主操が「人の形をしたフェストゥム」(※5)だとすれば、総士はさしづめ「フェストゥムの形をした人」ということになる。
総士「僕は人間として生き、命を終える」
『EXODUS』14話
一度フェストゥムの世界を体験した総士は人間として生きて死ぬことにこだわっていた。総士はフェストゥムの側へ行って帰ってきたことで永遠の存在となってしまったが、最終的には総士が人間として死にそして生まれたことが、今後、フェストゥムに大きな影響を与えるのは間違いない。
※2 『EXODUS』公式サイト内、SPECIAL/CHARACTER/皆城総士の第1話時点 情報を参照。
※4 カント著、中山元訳『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 』(光文社古典新訳文庫)より引用。
※5 一期24話、ミョルニアを見た千鶴は「マスター型。人の形をしたフェストゥム」と言っていた。
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