【蒼穹のファフナー EXODUS】永訣の火

 冲方丁が『EXODUS』17話「永訣の火」で描こうとしたものは何だったのだろうか。

 

※ぶらりずむ黙契録の最新記事は未読です!

 

カノン「自分の考えを持つことも諦めていた」
『EXODUS』3話

 2009年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』は主人公(碇シンジ)がヒロイン(綾波レイ)と世界のどちらかを選ぶ物語だった。それから6年後の2015年に放送された『EXODUS』第17話「永訣の火」も『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』と同じくヒロイン(羽佐間カノン)と世界のどちらかをを選ぶ物語だったが、選ぶ人は主人公(真壁一騎)ではなく世界の変える力を持つヒロイン自身だった。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』ではヒロイン自身(綾波レイ)の意思は尊重されず、ヒロインの生殺与奪は主人公(碇シンジ)に一任されていたが、『EXODUS』第17話「永訣の火」で生殺与奪の権利を握っていたヒロイン自身(羽佐間カノン)だった。これまでは主人公が握っていた生殺与奪の権利をヒロインが持ったということで『EXODUS』17話「永訣の火」は『エヴァンゲリオン破』の先を提示した作品だった。

 2019年に公開された『天気の子』は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』と同じく、主人公(森嶋帆高)がヒロイン(天野陽菜)と世界(東京)のどちらかを選ぶ物語だった。『エヴァンゲリオン:破』から10年後の作品であれば、ヒロイン自身が生殺与奪の権利を握った『EXODUS』第17話「永訣の火」とまで行かなくても、せめて主人公とヒロインの二人で選ぶ物語にすべきだった。しかし、『天気の子』は主人公にしか興味がなく、ヒロインの内面はほとんど描写されなかったため、主人公がヒロインと世界のどちらかを選ぶという物語としては残念ながら『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』よりも後退してしまった。

 

P.S. 新海誠の監督作品は『ほしのこえ』と『秒速5センチメートル』の2作品のみ視聴。『君の名は。』は未見です。

 


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