【蒼穹のファフナー EXODUS】カノンが探していた未来

 今、一期放送終了後の冲方丁のインタビューを読み返すと、『HEAVEN AND EARTH』以降の設定やストーリーを理解するための手がかりが多数含まれていた。

 

一騎「もう島には、誰もいないのに」

一騎「みんないなくなった。
   いるのはもう、俺とおまえだけだ。
   生きよう、二人で」
『EXODUS』17話

 無数に存在する未来の中にカノンが望んでいた未来は存在した。だがそれは竜宮島の住人は全員いなくなり、カノンと一騎の二人だけが生き残っているという世界だった。冲方丁が当初、一期最終回として考えていたアイデアの一つを思い出した。

冲方丁「最初は、竜宮島が沈んで、一騎と総士が新たな楽園を探して、なんて予定もありました」
『NEWTYPE』2006年6月号

 だが、カノンは一騎と二人だけが生きる残るという未来を選ばなかった。

カノン「本当の望みかもしれないけど
    私の探していた未来じゃない」
『EXODUS』17話

 冲方丁は先のインタビューで「一騎と総士が新たな楽園を探す」という最終回をボツにした理由を語っていた。

冲方丁「でもやっぱり違う。滅ぼして、はい次、じゃなくて共存を描かなきゃダメだろうと」
『NEWTYPE』2006年6月号

 人間とフェストゥムの共存するための最初の一歩となったフェストゥムとなった甲洋が同化機能を消し、スレイブ型となった瞬間(※1)を見ているカノンにとって、最終的に到達すべき未来の姿とは冲方丁がインタビューの中で示した人間とフェストゥムと共存する世界だったのではないだろうか。

 

※1 一期20話、甲洋は「翔子はもういない」と言って泣いた。