蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part6 の公開後に書いたものになります。2019年7月13日に開催された「『蒼穹のファフナー』シリーズ 15周年記念イベント~in 尾道~」で『THE BEYOND』第4~6話のPVは公開されなかったので、記事の内容には影響ありませんでした。
・島を出る前と帰ってきた後
一期で一騎と総士の関係は一騎が竜宮島で出る前と竜宮島に帰って来た後でひっくり返しになっています。一期と同じく『THE BEYOND』では、こそうしが海神島にいた時と偽りの竜宮島から帰って来た後でひっくり返しになっていますが、一騎とこそうしの行動とお互いの感情は一期からすべてひっくり返しになっています。
| 一期 | THE BEYOND | ||
| 島を出る前の関係 | 一騎と総士は 互いを理解していない |
一騎とこそうしは 互いを理解している |
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| 島からの出立 | 一騎は自分の意思で 島を出た |
マリスをこそうしを 島から連れ去った |
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| 島への帰還 | 一騎は自分の意思で 島に帰った |
一騎がこそうしを 島に連れ戻した |
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| 島に帰ってきた後の関係 | 一騎と総士は 互いに理解している |
一騎とこそうしは 敵対している |
一期の一騎と『THE BEYOND』のこそうしは14歳の時、一騎は総士と、こそうしは一騎と再会するが、長年、疎遠だったため、相手のことをよく知らない。その後の状況をまとめると以下のようになる
| 一期 | THE BEYOND | ||
| 再会 | 1話Bパート | 2話Bパート | |
| 相手に対する感情 | 一騎は総士を傷つけたので、総士から憎まれていると思っている | 一騎がこそうしの故郷を奪ったので、こそうしは一騎を憎んでいる | |
| 「俺に戦って死ねって言いたいんだろう、総士」(※1) | 「お前を殺してやる」(※2) | ||
| 相手を理解する | 10話ラスト | ? | |
| 主人公の行動 | 竜宮島を出る | 竜宮島に帰る? |
こそうしが相手を理解した後、こそうしが取る行動は一騎とは逆に「竜宮島に帰る」だと思われます。『THE BEYOND』の終着地点はこそうしが竜宮島に帰ることなので、一期(26話)の半分以下の12話になっていると思われます。
・リアルタイムの時間と作中の時間
- 2016年12月29日
『THE BEYOND』のティザーPVが公開され、こそうしが何者かにさらわれたことが明らかにされた。
『EXODUS』放送終了から1年後に明かされたが、作中では『EXODUS』から2年後。
- 2019年05月18日
『THE BEYOND』第1~3話の先行上映が開始。こそうしがさらわれてから3年後の物語であることが明らかにされた。
『THE BEYOND』のティザーPVから2年5ヶ月後に明かされたが、作中では3年後。
実際の時間経過と作中の時間経過のリンクを意識して情報公開を行っていたと思われます。『THE BEYOND』の7話~12話が2020年中に公開されるのであれば、『EXODUS』から5年後が舞台にした『THE BEYOND』は『EXODUS』放送終了(2015年12月)からほぼ5年後に当たる2020年に完結することになります。
・竜宮-”たつみや” と “りゅうぐう”-
海上にある時、竜宮島は “たつみやじま” と呼ばれ、人間が住んでいる島だった。こそうしは2歳の時、海神島から連れ去られ、以後、偽りの竜宮島で両親と妹の乙姫と暮らしていた。14歳になった時、こそうしは生まれ故郷の海神島に帰ってきた。しかし、こそうしが海神島に帰ってきたのは連れ去られてから3年しか経っていなかった。『浦島太郎』では故郷よりも海の中にある竜宮城で過ごした時間の方が時間が短かったため、浦島太郎が玉手箱を開けると老人になったが、『THE BEYOND』では逆に故郷(海神島)で経った時間は3年だったが、偽りの竜宮島では12年経過していた。『EXODUS』で竜宮島は海に沈んだが、こそうしが住んでいた偽りの竜宮島は “たつみやじま” ではなく、海の中にある “りゅうぐうじま”(※3)だったのだろう。
・生と死の循環を超える命
ミョルニア「たとえ成功したとしても
いずれお前の心は元のままではいられなくなる」
ドラマCD『THE FOLLOWER2』
ミョルニアは一騎に竜宮島のミールとの調和に成功した時の代償を告げ、一騎はこれを受け入れた。『THE BEYOND』1話で操が「(一騎は)もうすぐ空をきれいだと思わなくなる」と言っていたことからわかるように、ミールとの調和によってこの世に存在している一騎は戦うことによって感情を失いつつあった。一期の放送終了後に発売された『蒼穹のファフナー BGM & ドラマアルバム II』のブックレットに掲載されている冲方丁のインタビュー(※4)に『THE BEYOND』での一騎の状態を説明していると思われる文章があった。
結晶化して永遠になれば、人格は全部保存されるから――つまり変化がなくなるということ。記憶がコンピューターのデータと同じになるわけですよね。感情が消えて、直感的なものが消えて、全ての思考が計算になる。
『蒼穹のファフナー』文芸統括&シナリオ 冲方丁インタビュー
一騎はハバロフスクでの戦闘終了時、精神的には20歳の状態で永遠にこの世に存在し続けるものになったということになる。以前、「(一騎は)20歳で止められた存在になったと思われる」(※5)と書いたが、『THE BEYOND』の一騎はまさにこの状態だった。
・竜宮島の滅び
カノン「ゴルディアス結晶を奪われることで始まる島の滅び」
『EXODUS』17話
カノンはおそらくフェストゥムにゴルディアス結晶を奪われた場合、エインヘリヤル・モデルに改装したファフナーが使えなくなり、フェストゥムによって竜宮島が滅ぼされる未来を見たと思われる。織姫が時が来るまでアルタイルを竜宮島で眠らせることにしたが、それはアルタイル争奪戦を先送りにしただけなので、『THE BEYOND』においてもカノンのこの言葉は有効である。竜宮島はアルタイルともに海の底に沈んでいるので、この後、アルタイルを手にした者がゴルディアス結晶も手に入れることになる。つまりマレスペロがアルタイルを手に入れるということはゴルディアス結晶も手に入れることを意味し、その時はそれはカノンの言葉通り、竜宮島が滅びを迎えることになる。
・総士とこそうし
総士「一つになろう、一騎」
一期15話
こそうし「お前を殺してやる」
『THE BEYOND』2話
一騎に対する台詞が総士とこそうしの立場を表明した言葉になっている。
総士が「一つになろう、一騎」と言った時、一騎とは仲がよく、父親の言葉(※6)で精神的に追い詰められた総士は一騎と一緒にいなくなろうとした。総士が一騎に対して取った行動はフェストゥムそのものだった。一方、こそうしにとって一騎とは故郷を破壊した張本人であるため、一騎に対する憎しみから「お前を殺してやる」と叫んだ。一騎を自分とは別の存在だと認識しているこそうしの行動は人間そのものである。しかし、こそうしは2歳~14歳までフェストゥムに育てられたため、「敵に祝福を与え、仲間にする」(※7)というフェストゥムの価値観を理解した人間ということになる。
・こそうし-総士が望んだ人生?-
一期で長く続いた平和を破った最初の戦闘終了後、総士は家族全員(父、母、義姉)を失った(※8)。『THE BEYOND』で長く続いた平和を破った最初の戦闘終了時、偽りの竜宮島から連れ出されたこそうしは家族全員(父、母、妹)を失った。しかし、一期と『THE BEYOND』で総士の家族の生死はひっくり返しにされている。
| 一期2話 | THE BEYOND 3話 | ||
| 父と母 | 人間 | こそうしの視点では人間 | |
| 父と母の安否 | 母は同化、父は戦死 | 父と母は生きているが、引き離された | |
| 姉妹 | 義姉:人間 妹:フェストゥム |
妹:フェストゥム |
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| 姉妹の安否 | 義姉:死亡 妹:生きているが話せない |
妹:一騎がこそうしの目の前で同化した |
こそうしは一期2話の総士と同じ状況でマークニヒトに出会ったことから、一騎がいないため左目を傷つけられることなく、同級生と同じく14歳までフェストゥムの存在しない世界で平和に暮らしていたが、竜宮島に敵が襲来した時にファフナーに乗ることのできた総士のように見える。総士自身、竜宮島にフェストゥムが襲来した時、ファフナーに乗って戦うことを望んでいた。総士とこそうしは別の人格を持つ人間だが、精神的には年齢よりも幼く見えるが頭がよく、島の外の世界とファフナーに興味を持っているというこそうしの性格から、父親に抑圧された総士の本心を体現した人物になっている。
※3 これを書いた後に2018年11月8日に放送されたRCCラジオの『ラジプリズム』の「語ってみた。」を聞いたのですが、「りゅうぐうじま」と連呼されていました(笑)。
※4 『蒼穹のファフナー CD-BOX』(2009年、2016年アンコールプレス)のブックレットにも掲載されている。
※5 【蒼穹のファフナー EXODUS】ずれた時間を参照。
※6 一期15話、総士の総士の台詞。ぼくはこの島のコアを守るために生きてるんだって、父さんに言われた。
自分や他の誰かのために生きてちゃいけないんだって。