「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第1~3話の感想 Part9

 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part8 の公開後に書いたものになります。『THE BEYOND』第4~6話の新情報が出ると思われる一騎生誕祭の前に公開することにしました。

 

・捕らわれた人と迎えに行く人

 一期、『EXODUS』、『THE BEYOND』でこの三人のいずれかが敵に捕らえられ、この三人のいずれかが迎えに行っているが、すべて違う組み合わせになっている。

    一期 EXODUS THE BEYOND
  捕われた人 一騎 真矢 こそうし
  迎えに行った人 真矢 総士 一騎
    総士
竜宮島で待っていた
一騎
昏睡状態
真矢
後方支援で参加
  捕えている組織 新国連(人間) 新国連(人間) ベノン(フェストゥム)
  捕えられた状況 自分の意思で竜宮島を出て行ったが、人類軍に捕らえられた 竜宮島に戻る直前、アルゴス小隊に捕らえられた 自分の意思とは関係なく、マリスによって連れ去られた
  迎えに行った場所 モルドヴァ ダーウィン 北極

 一騎と真矢は人間に捕らえられ、こそうしはフェストゥムに捕らえられたが、いずれも敵対する同族に捕らえられるという構図になっている。敵に捕らえられた状況は一期(竜宮島を出ていった後)と『EXODUS』(竜宮島を帰る直前)、一期(自分の意思で島を出た)と『THE BEYOND』(自分の意思によらず)がそれぞれ対になっている。

 

 一期で真矢はモルドヴァに行く前、「本当に来てほしい人は、あたしじゃないよ、きっと」(※1)という本心をつぶやいていたが、この言葉通り、真矢の顔を見た一騎が呼んだ名前は総士だった。

真矢「一騎君、よかった無事で」
一騎「ほんとに、ここに、いるのか」
真矢「いるよ、ここに、いるよ」
一騎「ありがとう、総士は」
一期15話

 『EXODUS』ではアビエイターとの戦いで力尽きた一騎が昏睡状態に陥っている時、総士が真矢を迎えに行った。死を覚悟した真矢が呼んだ名は一騎だった。

真矢「さよなら、一騎君
『EXODUS』23話

 一期と同じく、迎えに行った人(総士)は相手(真矢)の名を呼んでいるが、捕らわれていた人(真矢)からは名前を呼んでもらえない。

総士「遠見
真矢「勝手なことして、ごめんなさい」
総士「泣かれるのはいつも僕か」
『EXODUS』23話

 一期では捕らわれた人(一騎)と迎えに行く人(真矢)の関係は台詞で表現していたが(※2)、『EXODUS』では捕らわれた人(真矢)と迎えに行く人(総士)の関係は輸送機内の座席の位置で表現されていた(※3)。

 

・マリスと刈谷

 「属していた組織から敵組織に寝返り、主人公を連れ去った」というマリスの行動を見ると、マリスと対比すべき人物は刈谷由紀恵ということになり、『THE BEYOND』1話=一期11話という構図になるのではないだろうか。

     一期  THE BEYOND
  裏切り者 刈谷由紀恵 マリス
  所属先 竜宮島(人間)から新国連(人間) 海神島(人間)からベノン(フェストゥム)
  連れ去った人 こそうしとパイロット候補生 一騎
  襲撃してきた場所 旧ベトナム(※4 ハワイ
  襲撃してきた敵 フェストゥム アルヴィス(人間)
  最終目的地 モルドヴァ 北極

 

・アルヴィスの世代交代

 『THE BEYOND』でアルヴィスは奪われたこそうしを取り返した後、偽りの竜宮島を完全に破壊した。これまで専守防衛に徹していたアルヴィスが敵に攻撃を仕掛けたことも含め、『THE BEYOND』ではこれまでのアルヴィスからは考えられない行動を取っていた。なぜ『THE BEYOND』でアルヴィスは変化したのだろうか。

   真矢「あなたは平和を捨てた人。
      あたしの父も。
      あたしもそう。
      生きるために。
      誰かを助けるために。
      それ以外の人たち全部犠牲にできる人」
『EXODUS』23話

   一騎「でも、敵と対話できる人たちがいる。
      彼らを守るために俺の命を使いたい」
ミョルニア「そのために多くの犠牲が出るとしても同じ選択をすると言うのだな」
   一騎「きっとそうすると思う」
ドラマCD『THE FOLLOWER2』

 『THE BEYOND』でのアルヴィスの行動は『EXODUS』で島の外の世界を見た一騎と真矢がたどり着いた考えを反映したものであり、それはアルヴィスの意思決定を行う上層部の世代交代が始まっていることを意味している。それを象徴するかのように『THE BEYOND』3話、Rボートで史彦の横に立っていたのは溝口ではなく剣司だった。

 

※1 一期13話。

※2 一期13話、真矢の台詞「本当に来てほしい人は、あたしじゃないよ、きっと」。

※3 一期は台詞ですべて台詞で説明していたが、映像作品の脚本の書き方を理解したのか『EXODUS』では台詞ではなく絵で説明している多数ある。

※4 テレビ東京・あにてれ にある蒼穹のファフナー/これまでのお話の11話に旧ベトナムの某所と記載されている。