「蒼穹のファフナー」5巻(講談社)

 雑誌で読んでいるのですが、単行本でまとめて読んだ感想。確認事項があったので、1巻から読み直した。

 

 翔子の誕生日(9月20日)は一騎の誕生日の前日(9月21日)、真矢の誕生日は11月11日で11という一騎を象徴する数字を2つも持っている。しかし、二人とも一騎に近いところにいながら、その思いは届かなかった。

 

 コミカライズ5巻はTVアニメの5話後半から7話前半までの内容。ドラマCDの内容も追加して人間関係を積み上げ、TVアニメでのウィークポイントをきれいに潰したコミカライズを読むと、この物語は翔子の死をきっかけに動き出すことがよくわかる。また、一騎はフェストゥムとの戦いを機に疎遠になっていた総士と言葉を交わすようになり、それとともにまわりの人間とも積極的に関わっていくようになった。しかし、うまくいきはじめた時、翔子がいなくなってしまった。その結果、仲の良かった甲洋と対立し、総士との関係も崩れていく。物語を一騎の視点で描いて行くのであれば、表面上の事件だけではなく、一騎の内面も描くべきだった。一騎は思っていることを台詞で話すキャラではないので、まわりにいる同級生とのエピソードを積み重ねていくしかない。

 

 体が弱くて学校に行けないという翔子の置かれていた状況と一騎との出会い(ドラマCD『NO WHERE』参照)からやむを得ないんだけど、友達から関係を始めようとする一騎に対して、翔子の一騎への思いは一方的且つ重すぎる。この一方的且つ重すぎる愛で思い出すのが、映画『トーク・トゥー・ハー』(2002年、ペドロ・アルモドバル監督)の看護士ベニグノ。この映画は公開時に映画館で一度見たきりですが、生理的嫌悪感を感じてしまった重い愛。そういえば、真矢も翔子と同じく相手の気持ちを考えずに自分の気持ちを押し付けるタイプ。ただし、真矢が相手に押し付ける気持ちは愛ではなく、守りたいという保護欲。(ドラマCD『STAND BY ME』では咲良からは「なんであんたが保護者ずらしてんのよ」と突っ込まれていた)結局、翔子と『EXODUS』時の真矢の一騎に対する気持ちは一方的なので、なかなか一騎には届かない。

 

P.S. 今回、初めて特典をコンプリート。近くにWonderGOOがないので、入手できたらラッキーくらいな感じ。車で来ることが前提の立地なので、駅から歩いて店まで行くのは大変。直営店でも特典の付かない店もある。

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