蒼穹のファフナー EXODUS 第26話-16「エメリーと弓子-死を生きる」

 蒼穹のファフナーEXODUS 第26話-15「一騎と総士-生と死と…」 で書いた内容を踏まえたものになっています。

 

※『蒼穹のファフナー EXODUS』DVD/BD 4巻に付属しているドラマCD『THE FOLLOWER』の内容を含みます。

 

 『EXODUS』には総士や一騎のように祝福することなく、一度いなくなった後に生きた人がいる。エメリーと弓子だ。

エメリー「わたしは、弟がミールに願ったから生きられた。
     あなたが弓子の命を願ったように」 『EXODUS』26話

  弓子「今こうしているのは私であって、もう私ではないの」
エメリー「えっ」
  弓子「美羽とあなたたちのミールが最後の機会を与えてくれたんでしょうね」
エメリー「そうか。
     私たちのミールが美羽にコアの一部を託したのを感じました。
     美羽はそれを使って」
ドラマCD『THE FOLLOWER』

 エメリーはおそらく家族とともにいなくなったが、弟が持っていたミールの欠片(後のアショーカ)に願ったからエメリーは生きることができた。それと同じように美羽がミールに願ったから弓子は一度いなくなった後に生きることができた。しかし、弓子はエメリーとは違い、シュリーナガルでフェストゥムが襲来した直後に自分という存在はいなくなり、美羽が望んだので生きていることと自覚していた。

 祝福をしてフェストゥムや島のミールとの間での調和で得た生には制限がないが(総士も一騎もファフナーに乗って戦っている)、アショーカが与えた生には制限がある。

エメリー「弓子さん。
     あなたの心が薄れてどこかへ消えていく」
  弓子「完全には消えないわ。
     あなたたちのミールが存在を与えてくれているから。
     代わりに今の私は、命あるもの以外なにも感じ取れないけど。
     でも、こうして話ができる」
ドラマCD『THE FOLLOWER』

 『EXODUS』10話で弓子は銃を手で持とうとしたが、触ることができずに落とした。そして「美羽の父親の物だからお守りに持ってきたけど、今の私には使えないのね」と言って、その銃を真矢に渡している。

 

 総士と一騎はフェストゥムや島のミールとの間での調和で得た生で、生きている時には実現不可能だった望みをかなえている。一方、弓子にも生きている時には自身が望んでもできないことがあった。

弓子「美羽が何に喜んでいるのかもわからないのよ」
ドラマCD『THE FOLLOWER』

 弓子が生前、やり残したこととは美羽を理解することだった。

弓子「今は美羽が理解できるもの。
   わかってあげられないことの方が、ずっとつらかったわ」
『EXODUS』19話

 アショーカの力で得た生で弓子は美羽のことがわかるようになり、シュリーナガルから竜宮島へ戻る旅で美羽をもっと理解していく。

弓子「やっとわかってあげられた。
   あなたの力の素晴らしさを」
『EXODUS』26話

 弓子は美羽が望んだがゆえに存在していたが、弓子自身の願いがかなった時に役割を果たしていなくなった。

 

 エメリーもまた弓子と同じく弟が持っていたミールの欠片(後のアショーカ)に願ったために、一度いなくなった後に生きることができた。

ナレイン「ある時、彼女がいた町が戦場となった。
     彼女の弟がミールのかけらを通して殺戮をやめるよう訴えたそうだ」
  史彦「フェストゥムとも対話したのか」
ナレイン「そうだ、敵は去った。
     代わりに彼女の弟と家族がミールに同化された。
     なぜ彼女だけ生存したかは不明だ」
『EXODUS』2話

 弓子はいなくなった直後に自身が一度いなくなった存在であると自覚していた。ナレインの言葉を見ると、エメリー自身、おそらく一度いなくなったことすら自覚していなかったとと思われる。なお、エメリーがいつ弟が望んだゆえに生きている存在であることに気がついたのかは、作中で描かれていない。

エメリー「弟は体が弱くて外に出られず、
     大きくなったらこれを履いて世界中を歩きたいと言っていました」
『EXODUS』5話

 弟の望みで生きたエメリーはその弟の願いをかなえる存在でもあった。エメリーは弟が持っていたミール、すなわちアショーカと共に世界を旅した。『EXODUS』で描かれたハワイからシュリーナガルへ。シュリーナガルからシベリアを横断して太平洋へ。そして、アショーカが海神島に根付いた時、エメリーは弟から託された役割を終えた。

エメリー「私たちの命はこの島のミールとともにめぐり続ける。
     またたくさん、お話しようね」
  美羽「エメリー」
『EXODUS』26話

 エメリーはアショーカが安住の地を得た後、役割を終えたためにいなくなったが、美羽に約束した通り、おそらくアショーカのコアとして転生したのだろう。

 

 竜宮島回覧板 EXODUS第1号(※1)で『海神島「願いを叶える場所』」となっているが、海神島に根付いたミール、アショーカが願いをかなえる存在なのだ思う。

 アショーカが望みをかなえるというとこの場面を思い出した。

  美羽「美羽、大きくなればできるのに…」
エメリー「そんなふうに成長してはダメ。
     たくさんのものを失うから」

  美羽「でもね、美羽まだ小さいからお話できないの」
ナレイン「最初のコンタクトでアルタイルに接触したのか」
エメリー「でも、対話するには美羽が幼いから
     ミールが美羽を成長させようとしたの」
  弓子「何ですって」
エメリー「美羽が望んだから。
     でも大丈夫、私が美羽を守る。
     ここにいるみんなが」
『EXODUS』7話

 美羽がアショーカを経由して最初にアルタイルと接触した後、美羽は成長することを望んだ。エメリーは美羽の望みを阻止しようとしたが、アショーカはこの後すぐに美羽の望みをかなえてしまった。

 

※1 竜宮島回覧板 EXODUS第1号より引用。