【蒼穹のファフナー EXODUS】作品を読み解くヒント

 2017年7月22日に行われた冲方サミットでの『シュピーゲルシリーズ』に対する発言、冲方丁の小説『十二人の死にたい子どもたち』の中に『EXODUS』で気になった部分を読み解くヒントが隠れていた。

 

・対

 『EXODUS』の構成は一期と対になっている部分が多いのだが、冲方サミット「テスタメントシュピーゲル完結したよーー!!」でシュピーゲル・シリーズの質問コーナーがあり、そこでキャラクターの名前の由来について聞かれ、名前の決め方について以下のように話していました。

冲方丁「大人たちの名前は対にしてますね。
    (中略) 対になると人間、覚えやすいので。
    登場人物を覚えてもらうための工夫でもありますね」
編集者「規則性をもって」
冲方丁「そうそう。増えてくるんですけどね、規則を作ると」

 『EXODUS』では対になっているものが多いのだが、この発言からそれも意図的に行っていたと考えられる。

 

・VOLUNTAS

 『EXODUS』8話でザインをシュリーナガルまで運んだキャリー・スラスターの名前はラテン語の”VOLUNTAS”。この単語をWiktinoryを見ると英語で will, free will, choice(意思、自由意志、選択)を意味している単語だった。

 冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』(文藝春秋)を読んでいたら、自由意志という単語が出てきてびっくりした。

「もちろん自由意志で決めて下さい」
サトシがやんわりと答えたが、メイコはかえって怪訝そうな顔になるばかりだった。
「あの、それってどういうことですか?」
「自分の意志で決めていいということです」
冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』(文藝春秋)

 自由意志という単語は日本語としては一般的ではないため(私はRushの「Free Will」という曲でこの言葉を知った)、小説ではこの単語を使ったキャラクターがその意味を説明している。冲方丁の別の作品で自由意志という言葉を使っていることから、『EXODUS』で使われた”VOLUNTAS “は自由意志をラテン語訳したものと見ていいだろう。