【蒼穹のファフナー EXODUS】フェストゥムの形をした人間 Part1 の続きになります。『THE BEYOND』のネタバレを含むので、ページを分けました。
・人の形をしたフェストゥム
幼い頃、総士が一騎を同化しようとしたが、その行為の意味がわからず、一騎が総士を傷つけたところから物語は始まった。この時、一騎が人間を、総士がフェストゥムを象徴していた。『EXODUS』終了時、フェストゥムを象徴していた総士は人間と同じように親はいなくなるが子が生まれるという形で永遠に存在するとことになった。一方、人間を象徴していた一騎はフェストゥムと同じように本人が変わることはなく永遠に存在し続けるという形になった。
総士はフェストゥムが人間を理解したことを象徴するかのように、『HEAVEN AND EARTH』で肉体を取り戻して帰還した後の総士が感情豊かになった。一方、人間がフェストゥムを理解したことを象徴する一騎は竜宮島のミールとの調和を選んだ結果、一騎自身が永遠に存在することになった。しかし、その代償は戦い続けると一騎は感情を失う(※1)というものであり、いずれすべての感情を失ってしまうと思われる。
結晶化して永遠になれば、人格は全部保存されるから――つまり変化がなくなるということ。記憶がコンピューターのデータと同じになるわけですよね。感情が消えて、直感的なものが消えて、全ての思考が計算になる。
『蒼穹のファフナー』文芸統括&シナリオ 冲方丁インタビュー(※2)
おそらく最終的に一騎はこの言葉通りの存在になるのだろう。その結果、乙姫、織姫、来主操といったコアよりもフェストゥムに近い存在になり、最終的にイドゥンやミョルニアのような「人の形をしたフェストゥム」(※3)になってしまうのではないだろうか。
・ミョルニアと乙姫
『EXODUS』は一騎はミョルニア、総士が乙姫と同じ状態になったところで終わったが、『THE BEYOND』でこの二人がどうなったのか見てみよう。
| 一騎 | 総士 | ||
| EXODUS 終了時 | HAEのミョルニア | 2133年の乙姫 | |
| THE BEYOND 2話 | 一期24話のミョルニア | 一期開始時の乙姫 |
『EXODUS』から『THE BEYOND』2話の間に5年の年月が経過しているが、人間としての心を失いつつある一騎はミョルニアの人生を遡るかのようにフェストゥムに近くなっていき、偽りの竜宮島に閉じ込められている14歳になったこそうしは、ワルキューレの岩戸に閉じ込められていた一期開始時の乙姫と同じ状態になっていた。この後、乙姫は自分の意思で岩戸を出たが(※4)、こそうしは真実を教えると言った男(一騎)に連れ去られる形で偽りの竜宮島を出た(※5)。
フェストゥム側はアザゼル型が宇宙から新たなるミール、アルタイルを呼び、かつて北極ミールが地球に到来した瞬間からやり直そうとしているが、人間側は竜宮島が中心となってフェストゥムと人間が共存する世界を目指していた。『THE BEYOND』におけるフェストゥムと人間の時間の進み方の違いは一騎と総士によって表現されている。ミョルニアの人生をさかのぼっている一騎がフェストゥムを象徴し、赤子として生まれ少年に成長したこそうしが人間を象徴している。
ミョルニアはイドゥンに同化されたが、ミールと拮抗し、その存在を取り戻した。そして、竜宮島へ行き、乙姫と会った後、ミョルニアが竜宮島の人間と話した状況と、こそうしが偽りの海神島から連れ去られ、海神島に向かう輸送艦の中で竜宮島の人間と話し始めた状況をまとめた。
| 一期24話 | THE BEYOND 2、3話 | ||
| 経緯 | ミョルニアが竜宮島を訪れ、 乙姫と会った |
こそうしは偽りの竜宮島で一騎に会った後、 海神島に連れ去られた |
|
| 話した場所 | ひとり山山頂 | 輸送艦、脱出艇の格納庫 | |
| 話す相手 | 史彦 傍らに乙姫がいた |
美羽 一騎は不在 |
|
| 相手に対する感情 | ミョルニア:感情はない 史彦:敵意 |
こそうし:敵意 美羽:寄り添う |
|
| 話す内容 | ミョルニアが史彦に北極ミールについて話す | こそうしが美羽から瀬戸内海ミールの話を聞く |
一期でミョルニアが対話した相手は乙姫ではなく史彦だったように、『THE BEYOND』でもこそうしと対話したのは一騎ではなく美羽だった。一期と『THE BEYOND』を比較すると、状況、男女の立ち位置がすべてきれいにひっくり返しにされている。
乙姫とミョルニアが会ったのはこの一度だけだった。乙姫はこの後まもなく同化されていなくなり、ミョルニアは甲洋ともに竜宮島を防衛した後、竜宮島を去った。ミョルニアはその後、砕け散った北極ミールから生まれたボレアリオス・ミールに捕らえられたが、竜宮島のファフナーがボレアリオス・ミールの母艦を攻撃した時に開放された。そして、ミョルニアは竜宮島に向かい、新しく生まれたコアの命を支えたが、コアに同化されていなくなった。ミョルニアと乙姫はフェストゥムであるため、この二人の関係はミョルニアが乙姫の子も同化されることで一つになるというフェストゥム的な結末を迎えたが、こそうしと一騎は人間であるため、フェストゥムのように一つになることはなく、個を持った二人の人間として存在し続けるのだろう。
※1 ドラマCD『THE FOLLOWER2』、ミョルニアの「いずれお前の心は元のままではいられなくなる」という言葉の意味は『THE BEYOND』1話で明かされた。蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part7「生と死の循環を超える命」を参照。
※2 『蒼穹のファフナー BGM&ドラマアルバム II』ブックレットから引用。このインタビューは『蒼穹のファフナー CD-BOX』のブックレットにも掲載されています。
※3 一期24話、千鶴は「マスター型。人の形をしたフェストゥム」と言っていた。
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