「THE BEYOND」を理解し終わった後の感想 Part5 の続きです。
●死ぬか生きるか、それが問題だ
クロノスがマークレゾンの尻尾に巻き付かれ、同化されそうになった時、操には二つの選択肢があった。このままマークレゾンに同化されていなくなるか、それともフェンリルを使って自分の意思でいなくなることを選ぶか。前者を選べば、新しいコアが生まれることなく、この世からボレアリオス・ミールのコアという存在がいなくなってしまう。しかし、後者を選べば、コアは残って、新しいコアが生まれる。操は新しいコアが生まれることを、つまりボレアリオス・ミールのコアを残すことを選んだ。
操が残したコアは輝夜が回収し、竜宮島に根付いた。生まれ変わったボレアリオス・ミールのコアは「竜宮島で生まれて羽佐間容子の子供――翔子のように育ちたかった」(※1)という操の願い通り、容子が育てことになるのだろう。
●親になる
親とは子どもの望みをかなえようとする存在である一方、子どもは親とは別の考えを持つ人間である。
こそうし「これをお前が流せ。
僕が皆城総士だ。
お前が知ってる誰かはもうどこにもいない。
文句は言わせないぞ。
僕はお前に勝ったんだ」
一騎「お前の言う通りにするよ、総士」
『THE BEYOND』12話
一騎が何も言わずにこそうしの「皆城総士の灯籠を流してほしい」という望みをかなえたということは、一騎はこそうしは自分とは違う考えを持つ人間であると認めたことになる。この時、一騎はこそうしの親になった。
●追体験
一期26話、体を失った総士の心は無の中に行くことになったが、一騎は無の中に行くことができない。総士は一騎にこの世に帰ってくることを約束した。
総士「僕の体は、もうほとんど残っていないんだ、一騎」
総士「僕は一度、フェストゥムの側に行く。
そして、再び、自分の存在を作り出す。
どれほど時間が掛かるかわからないが、必ず」
一期26話
『THE BEYOND』12話、一騎は旅に出ることになったが、真矢は一騎のいる場所には行けない。一騎は真矢に竜宮島に帰ってくると約束した。
真矢「私じゃ一騎君のいる場所には行けないから、
ここで帰る場所を守ってるね。
たまには帰ってきてね、竜宮島に」
一騎「約束するよ」
『THE BEYOND』12話
一期は総士が一騎の元に帰ってくることを約束して無の中へ行き、一騎がこの世に残るという形で物語が終わりましたが、『THE BEYOND』では一騎が真矢の元に帰ってくることを約束して旅立ち、真矢が竜宮島に残るという形で再現されました。
2009年12月末に『HEAVEN AND EARTH』の製作が発表されるまで、一期26話の先を描くという話は一切出ていなかったので、それまでに一期を見た人は一期終了時の一騎と同じ感情――総士が帰ってくると信じて待つ――を体験していました。これまで、この感情は2009年12月末までに見た人しか体験できないものでした。しかし、『THE BEYOND』を最後まで見ることによって、誰でも一期終了時の一騎と同じ感情――帰ってくると信じて待つ――を体験できるようになったのです。
これは『THE BEYOND』終了後の真矢が、一期~『HEAVEN AND EARTH』で総士の帰りを待つ一騎と同じ感情を体験することになったことを意味しています。真矢はこの経験を通して、一期26話の1年後から『HEAVEN AND EARTH』までの一騎の考えを知ることになるのでしょう。
※1 アニメージュプラスの 平井久司がイラスト寄稿!『ファフナー THE BEYOND」監督が語る裏話 から引用。