「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第4~6話の感想 Part9

 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第4~6話の感想 Part8 の公開後に書いたものになります。『THE BEYOND』第4~6話の感想はこれで一旦終了ということになります。

 

・里奈と一騎

 里奈は『EXODUS』24話で暉を失い、一騎は『EXODUS』26話で総士を失った。

 操「一騎はいなくならないよ」
『THE BEYOND』1話

 生まれ変わった総士(こそうし)という守るべき者がいるため一騎は死ねない。しかし、守るべき者がいない里奈は『THE BEYOND』1話で皆を守るために死を選んだ。しかし、機体が爆発する直前、彗が里奈を引き寄せたため、里奈は死ななかった。しかし、体は生きているものの、心が仮死状態であるため、昏睡状態に陥ってしまった。

 ”体は生きているが、心が死んでしまった” 里奈は、自分の記憶の中から一番幸せだった時代-2151年、エメリーが竜宮島にやってくる直前-を再現し、その中に閉じこもってしまった。

総士「僕の体は、もうほとんど残っていないんだ、一騎」

総士「僕は一度、フェストゥムの側に行く」
一期26話

一騎「総士はどこにいるんだ」
 操「無の中」
『HEAVEN AND EARTH』

 体を失った総士はフェストゥムの側に行くことを選んだが、総士が行ったのはフェストゥムの無の世界だったことから、心が仮死状態にある里奈が閉じこもっている世界もフェストゥムの無の世界ということになる。そして、”体は生きているが心を失う、つまり、心が死につつある” 一騎は、ゆっくりとフェストゥムそのものになりつつある、ということなのではないだろうか。

 

・容子と真矢

 一騎はこそうしの目の前で妹、乙姫の姿をしたフェストゥムを同化することで真実を教えたが、こそうしから「殺してやる」と言われてしまった。一騎は海神島に帰還後、真矢にこそうしのことを一任した。

一騎「あいつを頼む」
『THE BEYOND』4話

 こそうしは海神島に連れ戻された後、アルヴィス内で暮らしていたが、美羽はこそうしと一緒に暮らしたがっていた。最初は難色を示した真矢だが、最終的に真矢は美羽の願いをかなえ、こそうしは遠見家で暮らすことになった。こそうしが遠見家で暮らし始めた頃、真矢にとってこそうしは単なる同居人に過ぎなかったが、こそうしが真矢に「また、あのファフナーに乗りたい」と申し出た後、真矢とこそうしの関係は変わった。真矢はこそうしをファフナーに乗せるために行う訓練の責任者となったことで、こそうしの同居人から教育係へと変化した。真矢とこそうしに間に血の繋がりはないため、真矢は翔子とカノンを幼女に迎えた容子と近い立場になった。

真矢「見送る人の気持はわかります。
   死を背負ってほしいわけじゃないんです。
   自分がここにいたことを忘れてほしくないだけ」
『THE BEYOND』6話

 

・メモリージング

「基礎的な睡眠学習(メモリージング)は六歳からだが、大半は十三歳からだ」
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章6

 こそうしは海神島に連れ戻された時、精神的に4~5歳だったが、遠見家で暮らし始めた時は精神的に6歳、ファフナーに乗る訓練を始めた時は精神的に13歳になっていたのではないだろうか。

 こそうしは真実を知るために、まずアルヴィスに籠もって本を読んで勉強することから始めた。だが、こそうしはマリスの真実の姿を知り、ルヴィの話を聞いた後、アルヴィスを出て、遠見家で暮らすことを選んだ。そして、偽竜宮島にいた時と同じように学校に通うようになり、彗、零央、美三香からファフナーに乗るための基礎訓練を受け始めた。

「体を動かしたい、勉強したい、と思うように仕向けられるってこと。たとえば、基礎体力作りや、本格的な闘争のための訓練まで、自主的に行ったり……」
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』二章4

 海神島に連れ戻された後のこそうしの行動がメモリージングされた竜宮島の子どもたちの姿そのものだったということになる。

 

・一騎と真矢、レガートとセレノア

 マリスがこそうしが連れ去り、偽竜宮島で暮らしている時、一騎と真矢、レガートとセレノアの2組の男女のペアは同じ行動を取っていた。

    一騎: 海神島の外でこそうしを探し、おそらく時々、海神島に帰っていた
  レガート: 偽竜宮島の外でベノンの指揮官として働き、時々、偽竜宮島に帰っていた
 
    真矢: 海神島で母、千鶴と姪、美羽と暮らしている
  セレノア: 偽竜宮島でこそうし、フロロと暮らしている