「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第1~3話 パンフレットの感想

 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の公開時に販売されたパンフレットのネタバレありの感想です。パンフレットではアニメを見ただけではわからない設定が多数、明かされていました。

 

・続編

松本まりか
『EXODUS』収録最終日に、中西Pから新作を予定している!と聞いて(後略)
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 やっぱり『EXODUS』は『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』だったじゃないですか(※1)。『THE BEYOND』の公式サイト内、先行上映直前 キャストコメントに載っている内容ですが、ネタバレ防止のため『THE BEYOND』前は読みませんでした。

 

・エレメント

 KEYWORDの項に載っている[エレメント]の説明を読んだ後、「お前らがケイ素、ケイ素ってうるさいから、名前をつけてやったぞ」という冲方丁の心の声が聞こえて来た(笑)。

 

・総士の後継者

真壁一騎
ファフナーに乗ると「無限のクロッシング」であらゆる者の痛みを背負ってしまうため、戦うたびに眠りにつく(存在と痛みを調和する)。
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 ファフナーを運用する時に必要なジークフリードシステムは総士のあと、剣司と彗が引き継いだ。一騎はジークフリードシステムでパイロット全員の痛みを背負うという部分を戦っている者すべての痛みを背負うという形に拡大した上で、総士の後を継いだ形になっている。一騎は竜宮島のミールに自分が果たすべき役割についてこう語っていた。

一騎「俺には平和は作れない。
   でも、敵と対話できる人たちがいる。
   彼らを守るために俺の命を使いたい」
『THE FOLLOWER2』

 その結果、竜宮島のミールから「生と死の循環を超える命」を与えられたが、その命は戦いのためのものであるため、一騎の日常生活は奪われてしまった。里奈のSDPの代償は眠りであり、一騎と同じく日常生活をすべて奪われた。

里奈「どんだけ眠くてもファフナーに乗れば目が覚めるって
   ずっと乗ってろっての」
『EXODUS』13話

 もっとも冲方丁はインタビューで一騎は日常には不向きな人間だと指摘していた。

冲方丁:(一騎は)どうしても非日常向きの人なんですよね。日常では多分、料理を作っておしまい。あとはのんびり海を見ているだけっていう何もしない人(笑)
INTERVIEW『蒼穹のファフナー』スタッフ座談会(※2

 のんびり海を見ている時間が眠っているのに変わっただけなので、一騎の中ではあまり変化がないのかもしれない。

 

・彗と里奈

 『THE BEYOND』1話、クロッシングから侵入してきたセレノアの支配下から逃れられない里奈は仲間を守るためにフェンリルを起動した。しかし、爆発する寸前、彗が里奈をコックピットに引き寄せたため、里奈は助かった。

鏑木彗
里奈とは婚約しており、西尾家を継ぐかが目下の悩みどころ。
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 『HEAVEN AND EARTH』で里奈は戦闘中に助けてくれた剣司に惚れたが、すでに咲良という彼女がいたので失恋。『THE BEYOND』1話で彗が里奈を助けたことで里奈は彗に惚れ、『HEAVEN AND EARTH』とは逆に関係が進展したということなのだろう。

 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part1 の「一期とEXODUSの関係」で書いたがように、『THE BEYOND』1話は『HEAVEN AND EARTH』に位置する作品である。

 

・家族

 レガートとセレノアというフェストゥムが人間の真似をして、こそうしの親を演じていたことからわかるように、『THE BEYOND』におけるフェストゥム側のテーマには “家族” も含まれていると思われる。

御門零央
美三香とは婚約しており、美三香の家で食事をする事も多く、二人で台所に立つこともしばしば。
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

水鏡美三香
零央とは婚約しており、絶賛料理修行中の身である。
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 『EXODUS』から一挙に5年経過したこともあり、鏑木彗と西尾里奈だけでなく、御門零央と水鏡美三香が婚約していた。こそうしの親だったレガートとセレノアは夫婦を演じているだけだったが、こそうしは海神島で鏑木彗と西尾里奈、御門零央と水鏡美三香を見て、人間の家族というものを知るのではないだろうか。ワーグナーの楽劇『ジークフリート』でジークフリートが森で動物がつがい、やがて子どもが産まれる様子を見て、ミーメに自分の母のことを尋ねるシーンを思い出した。

 

・竜宮島の二人のコア

第二話「楽園の子」
 竜宮島のキールブロックで、総士は乙姫にそっくりな容姿の2人の少年少女に出会う。
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 竜宮島のコアは2人とも少女だと思っていたので、パンフレットを読んでびっくりしました。絵だけでは性別のわからなかった。

 

 これまでの物語に登場した女性のコアは皆城乙姫、皆城織姫、ルヴィ・カーマの3人で、すべて人間が所属するミールのコア。男性のコアは来主操とマレスペロというフェストゥム側のコア。来主操はボレアリオスというフェストゥム側のミールのコアだが、美羽との取引(※3)に応じたため、それ以降、竜宮島と行動を共にしている。マレスペロは海神島のコアだったが、人類軍によって島の住民は殺され、自身は新国連に利用された。新国連の支配下から脱出した後は人類に敵対するフェストゥムとなった。以上のことを踏まえると、二人いる竜宮島のコアは、少女が人間側のコア、少年がフェストゥム側のコアを象徴しているようにも見える。竜宮島のコアと兄妹でだった皆城総士という名の人間は二人存在しているが、一人は人間に育てられ、もう一人はフェストゥムに育てられた。

美羽「戻って総士、彼らを選ばないで」
『THE BEYOND』ティザーPV

 最初に公開されたティザーPVで美羽はこそうしにこう訴えていたが、こそうしがフェストゥムを選んだ場合、竜宮島のミール、ゴルディアス結晶が保存している竜宮島の記憶、アルタイルがすべてフェストゥムのものとなり、竜宮島のコアは少年一人になるのかもしれない。

 

 『EXODUS』で竜宮島は眠らせたアルタイルと共に海に沈んだ。そのため、今の竜宮島には竜宮島ミールとアルタイルという二つのコアが存在している。そのため、竜宮島のコアは二人いるのかもしれない。

 

 

※1 「蒼穹のファフナー EXODUS」の個人的な感想 を参照。

※2 『EXODUS』blu-ray BOXのブックレットに掲載されたインタビューより引用。

※3 美羽は「世界中のみんなが平和になって、だれも悲しくて痛くなくなったら、美羽を食べていいよ」という条件で、ボレアリオスミールのコアである来主操に助けを求めた。もっとも操は『THE BEYOND』3話で「いつまでたっても美羽を食べられない。平和になったら食べてもいいって言ったのに」とぼやいていた。