「蒼穹のファフナー EXODUS」の個人的な感想

 『EXODUS』26話の放送から1ヶ月が経過。最終回放送後にこのブログに公開した分だけでも130KB近い文章を書いたので、少しだけ個人的な感想を書きます。

 

物語終盤に新しい要素をぶち込みすぎ。 物語の風呂敷をたたむことができずどっちらけ。

 実のところ、初見の感想は賛否の否に近いものでした。しかし、以下の2点からエンターテイメントの最終回とは少し違うものになるであろうことは予測していました。

  • 今の社会状況をある程度、反映させている。
  • 物語の土台にワーグナーの楽劇「神々の黄昏」と楽劇「パルジファル」がある。

 最終回はリアルタイムで視聴しましたが、最終回の情報量が多すぎる上に、正直、展開が早すぎて感情的についていけなかった。それならば、感情の思うがままに作品に文句を言うより、この作品で描こうとしたテーマを分析し、成功した部分と失敗した部分を切り分けた上で、最終的に判断した方がいいという結論に達しました。

ところが結果はある意味、制作スタッフの思惑の通りで、一筋縄ではいかない作品であることが判明。この1ヶ月で最終回を理解するために書いた文章は130KBを越えた。放送終了から1ヶ月が経過した現在も作品を完全に理解したとは言えない状態。最終回を見終わった後もずっとひきずっていた「もやもやとして釈然としない」という感情も物語の構造から納得してしまった始末。

 一期と『HEAVEN AND EARTH』では竜宮島とフェストゥムが共存する可能性を見い出し、『EXODUS』では竜宮島と新国連が共存する可能性を見い出すところまでを描いた。個人的に『EXODUS』ではさらにその先の人類とフェストゥムが共存する可能性を見い出すところまで描くと思っていたので、この部分に関しては完全に肩透かし食わされた。

 映像で表現することが難しい抽象的なテーマを扱っていたこともあり、エンターテイメントとして成立させることができなかった。そういう意味では失敗作だと思う。ただし、一期から描いてきた主人公二人の物語としては結論を出し、安易に人類軍との完全な和解という道(ヘスターを生存させたのは正解)を選ばなかったところは評価したい。その描き方について不満があるとはいえ、物語の落とし所としては割と妥当なところに落ちついたと思う。

 もう少しまとまりのある終着点が見たかったという気持ちがあるので、『EXODUS』に対する評価は現段階では保留。個人的にはこの次に描くであろう人類とフェストゥムの共存を提示するところまでは見たい。『EXODUS』は全体的に複雑で一見ではわかりにくい構造になっているので、もう少しシンプルなストーリーの方が視聴者に作品のテーマが伝わったと思う。特にこの作品における一騎と総士の祝福は本当にわかりにくかった。

 

P.S. 26話見終わっての感想はもう少し書きます。

 

2015年3月3日追記:
 『EXODUS』を見終わった後に感じた「もやもやとして釈然としない」は別の作品で経験したことがあると思ったのものの、なかなかその作品を思い出せなかった。が、やっと思い出した。「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」と「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」だ。ただし、2作品とも見た時に続編が存在することは知っていたものの、すぐには見られないという状態でした。