「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第1~3話の感想 Part5

 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part4 を書いた後に書いた内容をまとめました。この記事にはパンフレットのネタバレ内容が含まれています。劇場先行上映だったこともあり、気になるけど考えるのを後回しにした内容が多すぎます。

 

・打ち上げ花火

 一騎がこそうしに真実を告げた日は、偽りの竜宮島の夏祭りだった。一騎はこそうしとともにファフナーに乗った後、ルガーランスを天に向けて放ち、偽りの竜宮島の偽装鏡面を内部から壊したが、それは竜宮島の祭りの最後に打ち上げられる花火のようだった。

 

・追体験

 こそうしは一騎と合流した後、すぐにファフナーに乗り、偽りの竜宮島を去った。こそうしが連れてこられたボレアリオスの甲板から島は見えず、そこからは島が攻撃される音が聞こえるだけだった。つまり、こそうしは自分の目で直接、キービジュアルで描かれた光景、すなわち破壊された後の島の姿を見ていない。

ちらし表

 なぜ一騎はこそうしに破壊された偽りの竜宮島を見せなかったのだろうか。

2118
フェストゥムの攻撃により、関東一円壊滅。
日本に対し、人類軍による核攻撃を実施。北海道の半分と沖縄を残し消滅、事実上、日本国が世界から消える。
『EXODUS』公式サイト SPECIAL/CHRONOGY

 日本はフェストゥムと人類軍の攻撃によって一部を除いてすべて消滅した。偽りの竜宮島が攻撃されている様子も破壊された後の島の様子も見ることができなかったこそうしは、38年前、一瞬で国土が消滅するさまを目の当たりにした祖父母の世代と同じ体験したということになる。

 

・フェストゥムがファフナーに乗る

総士「対フェストゥム専用、思考制御、体感操縦式、有人兵器ファフナー。
   選ばれた者しか動かせない僕らの切り札。
   敵の一部を内蔵し、その力を人類の物とする」
『EXODUS』1話

 人類はファフナーに乗り、フェストゥムに近い存在となることで、やっとフェストゥムと互角に戦うことができるようになった。一方、北極ミールが人類と触れ合った結果、人間の姿をしたフェストゥムが現れるようになった。

 マスター型フェストゥムであるイドゥンは人間を攻撃するには人間の道具を使った方が有利であるため、新国連からファフナーを奪い、竜宮島を攻撃した。ボレアリオス・ミールのコアはフェストゥム側のファフナーであるマークニヒトを使うために人間の姿をしたスフィンクス型フェストゥムを作り(※1)、マークザインの中に封じられていたマークニヒトを奪い、竜宮島を攻撃した。

それに対して、マリスの持つ美羽の記憶から作られたレガートは元人間の兵士を率いる立場であるため(※2)、イドゥンやスフィンクス型フェストゥムの来主操とは異なり、あえて人間と同じようにファフナーに乗って人類と戦っているように見える。

 美羽と取引をして竜宮島に助力することになったボレアリオス・ミールのコアである来主操は、イドゥン、人間の姿をスフィンクス型フェストゥム、レガートといったフェストゥムとは異なり、人間と同じくフェストゥムと対等に戦うためにファフナーに乗っているように見える。

 

・ファフナー=ウルトラマン?

真矢「あれってファフナーに乗るっていうよりファフナーになるって感じ」
一期19話

 ファフナーは “乗る” ので “なる” という感覚であり、人間はファフナーに乗ってやっとで敵であるフェストゥムと互角に戦える能力を得るのと同時に大きさもにもなることから、ファフナーはロボットに乗るというよりはウルトラマンに変身するという感覚の方が近いのではないだろうか。一方、ロボットとロボットの操縦者という関係に近いのはウォーカーのコアの欠片から生まれたフロロ(※3)とウォーカーである。このペアは『ジャイアントロボ』の草間大作とジャイアントロボを思い出させる(※4)。

 

・クロッシング

 『THE BEYOND』1話、セレノアが里奈にクロッシングで侵入。その後、システムでつながっている全員をクロッシングで同化しようとした。しかし、それに先立つこと2年前、自らの意思でジークフリードシステムにクロッシングしようとしたフェストゥムがいた。

総士「クロッシング?
   マークニヒト、マークザインまで。
   封印された機体だ、いつまで取り付く。
   クロッシング拒否。
   みんなに干渉させない。
   それが今、僕がいる理由だ」
『EXODUS』2話

 システムにクロッシングしようとしたマークザインとマークニヒトに悪意はなく、『THE BEYOND』1話のセレノアとは異なり、外部からクロッシングしようとしたフェストゥムの接続をシステムの搭乗者が拒否することができた。

 フェストゥムの読心能力に対抗するために生まれたクロッシングというシステムは2145年に実戦投入されたティターンモデルから使われたが、フェストゥムがクロッシングを知ったのはジークフリード・システムを奪った2146年である。フェストゥム側からシステムにクロッシングしてきたのは2151年であるが、この時はシステムの担当者が拒否することができた。それから2年後の2153年※5)に行われた第五次蒼穹作戦時、フェストゥムによってクロッシングが完全に突破されてしまった。フェストゥムはクロッシングを知ってから5年で理解し、7年で完全に見破ったということになる。

 

 

※1 来主操はマークニヒトのコックピットに乗った時、「このために俺を人の姿にしたの」とつぶやいている。

※2 『THE BEYOND』第1~3話のパンフレットのレガートの項に「人間の戦い方を学習しており、もっぱらソルダート化された元人間の兵士を指揮している」という一文がある。

※3 『THE BEYOND』第1~3話のパンフレットの【ウォーカー】の項から引用。

※4 『ジャイアントロボ』は漫画とドラマは未見。見たことがあるのは『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』だけである。

※5 『THE BEYOND』第1~3話のパンフレットのSTORY/第1話「蒼穹作戦」の冒頭に第五次蒼穹作戦の行われた年が記載されている。