【蒼穹のファフナー】男と男、男と女

 『蒼穹のファフナー』は一騎と総士という全く違う価値観を持つ「男と男」が時には対立しながら、相手の価値観を理解する物語でした。これを「男と男」ではなく、「男と女」でやった物語が、細川智栄子あんど芙~みん『王家の紋章』(秋田書店)です。

 21世紀にこのテーマを「男と女」でやるとDVになってしまうのですが、『王家の紋章』は50年前の作品(1976年連載開始)であること、そして何より作者が女性だからこそ、描くことができたのだと思います。

 『王家の紋章』では「男と女」が相手の価値観を受け入れるまで、単行本で30巻くらいかかっているのですが、『ファフナー』も含め「全く違う価値観を持つ者が理解し合う」というテーマを描くには、それなりの長さが必要なのだと思います。

 

P.S.
 私は昔から『王家の紋章』の面白さは価値観のぶつかり合いにあると思っている人なので、フェストゥムを『王家の紋章』のメンフィスに、人類と『王家の紋章』のキャロルに置き換えたら、『ファフナー』の理解度が一気に上がってしまった。

 

【蒼穹のファフナー THE BEYOND】誰もいなくなった後

 実は 【蒼穹のファフナー THE BEYOND】誰もいなくなった を書いた時、私の心の中にまだ一騎と真矢はいた。それから2ヶ月後、一騎と真矢が私の心の中から完全にいなくなったことで、一期のファフナー・パイロットは全員、いなくなった。いなくなるということは記憶になるということである。私は『EXODUS』17話、カノンと織姫の会話を思い出した。

カノン「この島はいなくなった者たちのことを決して忘れないんだな。
    私も島のことを忘れない。
    どんなに遠く離れても、
    ここに私がいたすべての記憶が残り続けてくれる。
    遠い未来までずっと」
 織姫「私も忘れない、あなたのこと」
『EXODUS』17話

 私も彼らがいたことを決して忘れない。

 

【蒼穹のファフナー THE BEYOND】子離れ

 『THE BEYOND』の一騎は史彦の子であるのと同時に、こそうしの親という立場だった。

 『THE BEYOND』のラストで一騎が甲洋と一緒に竜宮島から旅立ったが、史彦と一騎という親子関係では、子どもが家を出ることで「親と子」という関係から「私とあなた」という関係に変わった。一方、一騎とこそうしはという親子関係では、親が家を出ることで「親と子」という関係から「私とあなた」という関係に変わった。つまり、史彦と一騎は違う形で子離れしたということになります。

 

 史彦と一騎のように子どもが進学や就職で家を出る形での子離れはよく見かけますが、一騎とこそうしのように親が家を出る形での子離れは見かけません。しかし、友人がこの形での子離れをしていたことを知り、この形での子離れもありだったのです。