【物語の読み方】他者を理解する

 高校の論理国語で取り上げられているのは評論文のみで、文学作品は一切取り上げられていません。しかし、私は物語を論理的に読む方法も学ぶべきだと考えています。

 物語を評論文と同じように論理的に読めるようになると、物語から受け取るものが「自分の感情を揺さぶる感情」と「登場人物の感情」から「登場人物の考え」に変わります。相手を理解するために必要なものは、相手の感情ではなく相手の考えです。論理的に物語を読む方法を学ぶと、自分の感情や考えに左右されずに、他者の考えを知ることができるようになり、自分とは違う考えを持つ他者を理解することができるようになります。

 私は『蒼穹のファフナー』を通して、論理的に物語を読む方法を学んだ結果、キャラクターの考えと感情を知ることができました。

 

【蒼穹のファフナー THE BEYOND】世界を祝福する

 2024年5月29日、『蒼穹のファフナー』を理解し終わりました。以下に感想をまとめました。

 

●物語の終わり

 私は一騎と総士を理解すれば、物語は終わると思っていたので、このブログの中で「終わった」という言葉を使いました。しかし、物語を終わらせるためには一騎と総士だけなく、真矢を理解する必要があったのです。

カノン「我々はお前によって世界を祝福する」
『EXODUS』24話

 この言葉の意味を理解し、一騎が祝福した世界を見た時、物語が終わりました。

 

●THE BEYOND

 『THE BEYOND』で描かれたものは「真実」でした。この真実の中には過去の真実も含まれています。

 『THE BEYOND』は一騎が親になる物語でした。一騎は血縁関係のある子を持っていないため、母、紅音の姿をしたミョルニアから受け取ったマークザインから降りた時、親になりました。そのため、『THE BEYOND』は一騎がマークザインから降りた後から物語が始まりました。

 

●主人公

 私はずっと「『蒼穹のファフナー』の主人公は誰なのか?」という疑問を抱えていました。最終的な答えは「物語の主人公は一騎。視聴者のアバターとしての主人公は真矢」となりました。

 

●心残り

 『EXODUS』は総士の心残りを解消するための物語でした。『BEHIND THE LINE』は一騎の心残りを解消するための物語であり、『THE BEYOND』は真矢の心残りを解消するための物語でした。

 

●鍵

 『THE BEYOND』12話には物語を理解するための鍵が、『BEHIND THE LINE』には物語を理解し終わった時に使う鍵が含まれていました。

 

「蒼穹のファフナー」を見直した感想(2024年4~5月)

 『THE BEYOND』の分析が一段落ついたので、一期を全話見直しました。感想は一期と『THE BEYOND』を対比させたものになりました。

 

●真矢と甲洋

 一騎と甲洋の関係は一期6話の翔子の死を契機にこじれましたが、世界が平和になった時、竜宮島にフェストゥムがやってくる前の平和だった時の状態に戻りました。

「なあ……甲洋は、来年になったら、どうする?」
何となく答えを予想しながら、訊いた。
「島を出るよ」
「そうか」
「お前も多分、そうするんだろ? 一騎?」
「ああ」
冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章3

史彦「お前は、どこかへ行くのか」
一騎「甲洋と一緒に世界を見てくる」
『THE BEYOND』12話

 

 『THE BEYOND』で総士がいなくなった後の一騎の行動と一期26話で総士がいなくなった後の一騎の行動を対比すると以下のようになります。

   「THE BEYOND」12話 一騎は総士の灯籠を流した(=一騎は総士と別れた)
一騎は甲洋と一緒に竜宮島から旅立った
   一期26話 一騎は総士と別れた
一騎は真矢と一緒に竜宮島に帰った

 一期26話で総士がいなくなった後、一騎のそばに甲洋はいなかったので、一騎は真矢と行動しました。一方『THE BEYOND』12話で総士がいなくなった後、一騎のそばに甲洋はいたので、一騎は甲洋と行動することを選びました。つまり、真矢は総士の位置にいるキャラではなく、甲洋の位置にいるキャラクターだったのです。そのため、一騎と真矢の関係は、『THE BEYOND』12話で竜宮島にフェストゥムがやってくる前の平和だった時の状態に戻ったのです。

「(前略)帰ってきてよ。私……多分ずっと、ここにいるから」
冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章2

真矢「私じゃ一騎君のいる場所には行けないから、
   ここで帰る場所を守ってるね。
   たまには帰ってきてね、竜宮島に」
『THE BEYOND』12話

 

【物語の読み方】物語と情報

 togetter に『蒼穹のファフナー』に存在する二つの視点(人間とフェストゥム)を理解するヒントがありました。

結末をあえて読み手に委ねる手法を「ちゃんと描かないのは不誠実」と捉える人が多くなった?「作者が決めたものを味わいたい」

 『ファフナー』は視聴者に未来を委ねるという形で終わっていますが、これは『ファフナー』を「物語」として見た時の終わりです。一方、『ファフナー』を「情報」として見た時、一歩先の未来を見ることができます。

 人間は『ファフナー』を「物語」として見ていますが、フェストゥムは『ファフナー』を「情報」として見ています。『ファフナー』は一つの物語の中に「物語」と「情報」の双方を内包することによって、人間とフェストゥム双方の物語になったのです。

 

 冲方丁はフェストゥムの思考を以下のように表現しています。

冲方「感情が消えて、直感的なものが消えて、すべての思考が計算になる」
『蒼穹のファフナー BGM&ドラマアルバム II』ブックレット

 それでは人間はフェストゥムと同じように『ファフナー』を「情報」にすることはできるのか? 人間が論理的に物語を読む方法を学び、『ファフナー』を論理的に読めるようになった時、『ファフナー』を「情報」にすることができます。なお、『ファフナー』を「物語」として見た時よりも「情報」として見た時の方が、より多くのことを知ることができます。

 

【物語の読み方】卒業試験

 『蒼穹のファフナー』の卒業試験は一騎、総士、真矢、カノンについての問題でした。問題は3問あり、それらを α、β、γ とすると、以下のような構成になっていました。

     一騎 総士 真矢 カノン
  α  ー  ○  ○  ○
  β  ○  ○  ○  ○
  γ  ○  ○  △  ○

  ○は作中にヒントあり、△は作中にヒントなし

  α には一騎についての問題がありません。γ の真矢についての問題には、物語の中に問題を解くためのヒントがありません。しかし、台詞と映像を論理的に読み解いていくことで、答えを導き出すことができます。α、β、γ の問題をすべて解くと、一騎、総士、真矢、カノンを理解したことになり、『蒼穹のファフナー』から卒業することができます。