初志貫徹

 2015年12月26日、『EXODUS』26話を見終わった直後、私は「『EXODUS』を理解してやる」という目標を立てました。しかし、その目標はいつしか「『ファフナー』を理解してやる」に変わり、2024年9月3日、ついにその目標を達成しました。私が『ファフナー』を理解するのにかかった時間は8年8ヶ月でした。

 一騎の「総士を理解したい」=私の「『ファフナー』を理解したい」だったので、『ファフナー』を理解し終わった時、私は『THE BEYOND』12話後の一騎になりました。つまり、視聴者が一騎を理解するために必要なものは、一騎と同じ経験(自分とは違う考えを持つ他者を理解する)することだったのです。

 この文章を書いた後、総士の言葉を思い出しました。

総士「彼らの世界に触れるには彼ら自身に触れるしかないということだ。
   彼らがこの星で命に触れ、生と死を初めて知ったように」
『EXODUS』14話

 

【蒼穹のファフナー THE BEYOND】「デューン」と「七夕の国」

 『THE BEYOND』とフランク・ハーバート『デューン 砂丘の子供たち』、岩明均『七夕の国』を対比してみました。

 この記事にはフランク・ハーバート『デューン 砂丘の子供たち』と岩明均『七夕の国』のネタバレ内容が含まれています。

 

続きを読む

【物語の読み方】二つの物語

 たとえ同じ時間と空間に身を置いても、誰の視点で描くかによって、まったく別のものになる。
黒田龍之介『ロシア語だけの青春』(ちくま文庫)

 

 『EXODUS』は三人称(2151年の出来事)はと一人称(総士が語る物語)という二つの人称で描かれた物語でした。総士は自らの物語を人間の言語(言葉)で語ったので、視聴者は総士が『EXODUS』の中に残した総士の声を聞くことで、その内容を知ることができました。

 『THE BEYOND』も『EXODUS』と同じように三人称(2153年と2156年の出来事)と一人称(一騎が語る物語)という二つの人称で描かれた物語でした。一騎は自らの物語をフェストゥムの言語(行動)で語ったので、フェストゥムの言語(行動)を読めない視聴者はその内容を知ることはできません。しかし、視聴者がフェストゥムの言語(行動)を読めるようになった時、一騎が『THE BEYOND』の中に書き残した一人称の物語の内容を知ることができます。そして、その物語を最後まで読み終えた時、『蒼穹のファフナー』という物語が終わります。

 

 私にとって『蒼穹のファフナー』はまったく物語の終わりが見えない物語でした。しかし、物語の構造を見た瞬間、物語の終わりを知ることができました。