【冲方式】ストーリー創作塾、【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾

 冲方丁が自らの作品を題材に物語の作り方について書いた2冊の本がある。それは『【冲方式】ストーリー創作塾』(宝島社、2005年)と『【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾』(宝島社、2009年)だ。2冊とも文庫化する度にタイトルを変更しているので、ややこしいことになっています。

 別の本だということをわかりやすくするため、Amazonの販売ページにリンクしてあります。

 

・【冲方式】ストーリー創作塾(2005年)

 オリジナルと文庫化された時のタイトルは以下の通りになります。

  2005年:【冲方式】ストーリー創作塾(宝島社)
  2008年:冲方丁のライトノベルの書き方講座(宝島社文庫)
  2011年:新装版 冲方丁のライトノベルの書き方講座(このライトノベルがすごい!文庫)

 この本で扱われているのはすべて小説で『マルドゥック・スクランブル』、『カオス レギオン』、『蒼穹のファフナー』3作品。二度目の文庫化となる『新装版 冲方丁のライトノベルの書き方講座』には冲方丁の新規のインタビューが掲載されていますが(※1)、『ファフナー』についてのコメントはありません。

 ノベライズ版『蒼穹のファフナー』のためのキャラクター設定(一騎、総士、真矢、翔子、甲洋、咲良、剣司、衛、乙姫、史彦)と最初のプロットと最終プロットが掲載されています。

 

・【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾(2009年)

 オリジナルと文庫化された時のタイトルは以下の通りになります。

  2009年:【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾(宝島社)
  2013年:「アニメ&マンガ」ストーリー創作の極意(宝島SUGOI文庫)

 前作『【冲方式】ストーリー創作塾』ではすべて小説を題材にしていましたが、こちらではタイトル通り、冲方丁が手掛けた漫画とアニメが取り上げられています。扱われているのは『ピルグリム・イェーガー』(漫画)、『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』(アニメ)、『シュヴァリエ』(アニメ&漫画)の3作品。

 『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』の最初のプロットと脚本の一部(物語冒頭部分)が掲載されています。『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』(ハヤカワ文庫JA)に収録されている脚本と比較すると、ハヤカワ文庫版にはカットされている部分があるので、こちらに収録されたバージョンの方が古いと思われます。また、巻末に中西豪プロデューサーとの対談があります。この対談を読むとファフナーの一期でシリーズ構成を担当していたことがわかります。

 

 『【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾』はまとまっていて読み物としても面白いのですが、『【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾』は脱線が多い上に絶対的にとっちらかり気味。ただし、漫画の原作やアニメのシリーズ構成の仕事と役割について知ることができます。

 『【冲方式】「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾』に掲載されている『RIGHT OF LEFT』のプロットの日付が05/0107になっていますが、オフレコ扱いだったとはいえ、2005年1月29日に開催された「ライトノベルめった斬り! トークセッション」で『RIGHT OF LEFT』について話していたことを思い出しました。『NEWTYPE LIBRURY 冲方丁』(2010年、角川書店)には『HEAVEN AND EARTH』の初期プロットが掲載されています。

 

※1 インタビューは全25ページで、取り上げているのは「マルドゥック」シリーズ、「シュピーゲル」シリーズ、「天地明察」三作品。さらにライトノベルを書くのを辞めた理由についても話しています。