お盆

 カノンの命日が8月15日だと能戸総監督がツイートし、冲方丁はブログに8月18日に開催されるイベントの日程はカノンのいなくなった日に合わせてきたと書いていましたが、竜宮島のお盆は文字通り、生と死が交差する。

 

 カノンは灯篭流しを見た後、喫茶楽園でいなくなったが、竜宮島に帰ってきた死者があの世に帰る時にカノンも一緒にあの世へ行ってしまったように感じる。そう、『EXODUS』25話、キールブロックで広登が暉を迎えに来て二人で去っていったように。

 

 一方、フェストゥムに中枢神経を同化され、昏睡状態に陥っていた甲洋はお盆に意識を取り戻し、この世界に帰ってきた。だが、その時の甲洋はすでに人間ではなくフェストゥムだった。お盆は故人がこの世に帰ってくるというが、文字通り、人間としてはいなくなった、つまり死者である甲洋がこの世に帰って来たということになる。

ファフナーには一期から英語で “Dead Aggressor” (死の攻撃者、侵略者)という副題がついているが、人間がフェストゥムの側へ行くことは、人間の言葉で “死” を意味しているのだろう。
【蒼穹のファフナー EXODUS】変容

 人間から見るとフェストゥムとは死者であり、フェストゥムはゾンビのように死者でありながら生きている存在である。

 

弓子「それでは今年度のU計画を発表します。
   1500通りの風習から最適パターンを抽出。
   実現可能なプランを設定しました」
一期20話

 竜宮島では海に向かって灯篭流しを行っているが、弓子の言葉から実行可能なものを選んでいるので、死者が元いた場所に送るという元の意味は含まれていない。しかし、『EXODUS』で 竜宮島で亡くなった人の記憶はゴルディアス結晶のあるキール・ブロックにあるということが判明。祖の結果、竜宮島は巨大な要塞艦上にあり、海からキールブロックに入ることは可能であるため(※1)、亡くなった人は海を通って、竜宮島のあの世であるキールブロックとこの世を行き来していると解釈することができる。もっとも、キールブロックに防護服なしで入ったのはフェストゥム(織姫と総士)と死期の近い人間(カノン)のみであり、生きている人間がキールブロックに入る時には防護服が必要である。

 

※1 一期23話、ジークフリード・システム内の囚われた総士を救出する時、マークザインは海中からキール・ブロックに入った。