「メカスマインパクト」の感想

 メカスマインパクトでマークザイン、マークニヒト、マークアレスを見比べた時の感想です。

 

・マークニヒト

 マークニヒトは腰が低く、手が大きく、長いという部分が印象に残りました。「手」で思い出したのは以下の文章でした。

 印欧基語には「手」を意味する語がなかった(「足」はある).手という器官はまことに活動的であり,意思力の延長,その奉仕者であるが,また一方甚だ非理性的なことをしでかしかねない器官なので,言語上タブー(いわゆる禁忌語ーー訳者)であったらしい.
シャルル・ギロー『ギリシア文法[改訳新版]』(文庫クセジュ)

 この文章の中に出てくる「意思」という言葉はラテン語の voluntas という単語が使われ、「理性」という言葉はフランス語の Raison(※1)という単語が使われた。

 人間を象徴する一騎が乗るファフナーを運搬した CCTS の名称は VOLUNTAS だった。感情のないフェストゥムは、感情に左右されることなく。理性によって物事を判断し、行動している。

 マークニヒトのパイロットである総士はフェストゥムを象徴していることから、フェストゥムは「意志」と「理性」とは正反対ペアの「感情」を欲している、と考えることができるのかもしれません。

 

・マークアレス

 マークアレスで印象に残ったのはハイヒールの形をしている足元でした。再ザルヴァートル化したマークレゾンの足元もハイヒールの形をしていました。

 

 マークレゾンのベースとなったマークフュンフのパイロットの広登は、島の平和を世界に広めることを望んでいました。

広登「島がくれた平和を世界に広めるのがアイドルとしての俺の使命だ」
『EXODUS』14話

 一方、マークアレスのベースの機体となったマークツェンのパイロットの暉は、志半ばで亡くなった広登の後を継ぎました。

 暉「世界中に竜宮島の平和を知ってほしい」
『EXODUS』25話

 マークレゾンは竜宮島の意思を継いだレガート、セレノア、マリス、ケイオス・バートランド、ノエル・グランデ、メイ・アーナンドが乗る艦とともに世界を旅することになりました。マークアレスは『EXODUS』で島の平和を願った一騎(※2)とともに、世界を旅することになりました。つまり『THE BEYOND』終了後、マークアレスとマークレゾンは広登と暉の望み通り、世界を旅することになったのです。

 Wikipediaのハイヒールのページの以下の一文が目に止まりました。

ルイ14世は背を高く見せるために愛用していたなど、前近代から近代初期にかけては男女を問わず履かれていた。ナポレオン戦争が始まり各国で国民軍が創設されると、戦場を駆け回るために男性は機能的な靴を選ぶようになったため、ハイヒールは女性の履物と見なされるようになった。

 マークアレスとマークレゾンのハイヒールは戦場を駆け回ることのない時代、つまり平和の象徴なのかもしれません。

 

 

※1 新国連が強奪したマークフュンフをベースにして開発したザルヴァートル・モデルの名がマークレゾンだった。

※2 一騎は七夕の短冊に「島が平和でありますように」と書いた。