「蒼穹のファフナー」第10話~第12話の感想

 『蒼穹のファフナー』の第10話~第12話のセリフを書き起こした時の個人的な感想をまとめたものです。CDドラマ、映画『HEAVEN AND EARTH』、『蒼穹のファフナー EXODUS』の内容にも触れています。話数全体の感想ではありません。

 

第10話「分解-すれちがい-」

 広登の放送室立てこもり事件を機に、後に乙姫の同級生となる後輩組が登場する回。(里奈は9話ラストで出ていたけど)二期で後輩組の成長を見た後だと感慨深い。

 

総士「僕に必要なのはこの左目の代わりになるものだけだ」
一期10話

 総士は一期1話同様、一騎の罪悪感を利用しているのね、嫌な奴だ。

 

狩谷「皆城君との話を聞いちゃった。彼の左目…」
一騎「俺がやったんです。子供の頃ここであいつの左目を奪ったんです。
   なんで、そんなことしたのか。
   せめてあいつの目の代わりになろうと思って」
一期10話

 やっと一騎が総士を傷つけたのは自分だと話してくれた。現在連載しているコミック版では小説版と同じく、最初の戦闘時に総士の左目を傷つけたのは一騎だとはっきり描いているけど、物語の起点なので一番最初に描くべき内容。

 

 ワルキューレの岩戸へ行った時の一騎の独白

一騎「君はあの時俺をここに呼んだんだろ。
   総士と一緒に戦ってくれって、君に言われた気がした。
   総士は、外の世界で何を見たんだ」
一期10話

 3話で一騎がワルキューレの岩戸へ行った場面の説明が来た。無言じゃ視聴者には伝わらない。

 

 『EXODUS』との絡みでは放送室に立てこもった広登を説得する羽佐間先生の言葉が印象に残った。

容子「いろいろと秘密にしていたことは謝るわ。
   でもそれは、あなたたちに平和の大切さを知ってほしかったからなの。
   この島に住むまで、先生たちは戦争しか知らなかった。
一期10話

 『EXODUS』13話の広登の言葉を思い出した。

広登「俺もお前も、島が平和を与えてくれた。
   だから世界を憎まずにいられたんだ。
   俺は、俺が知っている平和を世界に広めたい」
『EXODUS』13話

 

一騎「どこへ向かうんですか、先生」
狩谷「新しい楽園よ」
一期10話

 1話の一騎「総士、俺たちはどこへ行くんだ」、総士「楽園で」という噛み合わない会話を思い出すけど、ここでの会話は成立しているので狩谷先生の言葉にあまり違和感を感じない。

 

第11話「旧新-じんるいぐん-」

 前任脚本家の最後の単独脚本。6話くらいまでに比べるとかなりマシになったと感じる。

狩谷「私はあなたに島を守るんじゃなくて世界を守ってほしいと思ってるの」
一期11話

 皮肉にも二期の一騎の役割は「世界の戦士の象徴」。一騎は狩谷先生の望んだ役割を演じることになりそうです。

 

一騎「俺を騙したんだな。あんたの目的はファフナーだったんだろ」
一期11話

 7話~9話で真壁司令と総士がファフナーを失うことだけは避けたいと言っていたけど、一騎自身の手でファフナーを一機失うことになったというのは皮肉。

 

 10話の二人の会話の延長で、狩谷先生はこれから行く先こそ楽園だと一騎に告げる。

狩谷「約束通りあなたを楽園に連れっててあげるわ」
一騎「楽園なんて、俺はただ…」
狩谷「少なくともこれから行く場所は私にとって楽園なのよ」
一期11話

 

総士「それとも僕から逃げたいと言ってたか」
一期11話

 話している相手が真矢だから本音を言ったんだろうけど、総士はそんなに一騎を自分の支配下に置きたいのかね。

 

総士「あいつなら僕をわかってくれると思った」
真矢「一騎君だって、あなたのことそう思ってたに決まってるじゃない」
一期11話

 一騎も総士も言わなくても相手がわかってくれると思い込んでいたことが原因。特に総士は一騎に甘えすぎ。

 

第12話「不在-あせり-」

 12話から脚本クレジットに冲方の名前あり。ここから設定を説明するようになったため、台詞の分量が一気に増えた。

 戦闘シーンはこの回からあるべき姿で描かれている、戦闘前に総士がパイロットに作戦を説明し、CDCとシステムが連携して戦闘が行われる。敵への攻撃方法について衛の提案した内容に対し、総士の「お前のイージス装備で敵を食い止められなかった場合、全員が危険な状態に」という台詞で、総士のもう友達を失いたくないという気持ちを強く感じた。

12話でやっと変性意識についての解説が入った。

史彦「人によってはシナジェティック・コードの形成に伴い、
   精神に著しい変化をきたす」
総士「羽佐間や春日井にもその兆候はありました。
   しかし、まさかあそこまで変わるとは」
総士「一騎は日常的に自分を否定し続けていたから、
   ファフナーに乗っても心が変わらないというわけですか」
一期12話

 一騎はこの時点では変性意識なし。ここのセリフで「ファフナーに乗るとなんか性格が違うの?」と感じられた翔子と甲洋の変性意識をうまく説明したと思う。

 

 とはいえ、一期12話で一番重要な台詞はこれ。

史彦「積極的な自己否定の先にあるのは、絶対的な肯定だ。
   いつか一騎と君がそこに辿り着けることを、願っている」
一期12話

 『EXODUS』で一騎と総士の絶対的な肯定を描いたのは驚いた。ということは、『EXODUS』開始の時点で一騎と総士は人間的に行き着くところまでたどり着いているわけで、あとは限られた時間の中で二人は何を残すのかだと思う。