【蒼穹のファフナー】演出についての感想

  『蒼穹のファフナー』を理解するために、2年ほど前から台詞だけでなく、演出を読むということも行っていました。演出の意図が正確に読めるようになるまで、2年くらいかかりました。演出を読んだ感想を以下にまとめました。

 

●場所

 『EXODUS』を見た時、一期はどこで戦っているのか、全くわからないと感じていたことを思い出しました。『EXODUS』は竜宮島と島外派遣部隊という2つの場所での出来事を並行して描いていたため、戦っている場所を明確にするという意識があったのに対し、一期では戦っている場所を明確に示すという意識が薄かったのだと思います。

 

●アオリスト

 映像はあの時、あの瞬間の出来事を写し取ることができます。『蒼穹のファフナー』の脚本を作家である冲方丁が手掛けていることから、葉によって作られた物語を映像にすることによって、日本語では表現することのできない、アオリストという時制を使った作品になったように感じられました。アオリストとは古代ギリシア語やサンスクリット語にある「過去の一点的な、瞬時的な動作を表す時」(※1)に使う過去形です。

 

 

※1 池田黎太郎『古典ギリシア語入門』(白水社)から引用。