「蒼穹のファフナー」を見直した感想(2020年5月)

 2020年5月2、3日から2020年6月30日までYouTubeで一期が配信され、全話見直しました。その時のメモです。この記事には『THE BEYOND』の内容が含まれています。

 

・理由

千鶴「受け入れられません」
総士「どうしてですか
   春日井の提案に僕は賛成です
千鶴「どうしてもです」
総士「シミュレーションには限界があります」
千鶴「でもそれは」
一期7話

 模擬戦を行いたいという甲洋の提案に対して、千鶴は総士が納得できる理由を示すことができない。一期7話から脚本は改善されたが、理由を説明しないという悪い部分が残っていた。

 

・答えない

  一騎「先生、あの人って誰なんです」
  狩谷「……。
     こんな時に」
一期11話

 ここでは答えられない質問には答えないという形に変化していた。『THE BEYOND』2話、一騎も答えられない質問には答えていなかった。

こそうし「ああ、やっぱり。
     平和でしょ、この島」
  一騎「……。
     あなたはベノンの人間、それともエスペラント」
『THE BEYOND』2話

 

・有限実行

  里奈「私、羽佐間先輩みたいに自分勝手じゃありませんから」
  真矢「それ、どういう意味?」
  里奈「えっ、羽佐間先輩って命令を無視して
     マークゼクスを壊したって聞いてますよ」
一期10話

 里奈は翔子の行動を批判していたが、10年後、この言葉通りの行動を取ってしまった。

  里奈「ダメ、みんな離れて」
セレノア「何をしている」
 美三香「里奈先輩、やめて。
     里奈先輩」
  里奈「ごめん、暉」
『THE BEYOND』1話

 翔子の時とは異なり、彗が里奈を引き寄せて救出した。

 

 

・総士と一騎

総士「島から出て行く者に興味はありませんよ」
一期10話

総士「僕は帰ってくるとは考えていません」
一期12話

 総士は一騎は島を出ていく一騎を止めなかった。そして、一騎を信じていなかった。それに対して、一騎はこそうしを止めようとした。それは一騎がこそうしを信じていたからに他ならない。

一騎「行くな。
   お前が導く未来がある」
『THE BEYOND』第7~9話PV

 

・父親

ミツヒロ「大きくなったね、真矢」
一期18話

  一騎「大きくなったな、総士」
『THE BEYOND』2話

 一騎はこそうしと会った時、ミツヒロが真矢に会った時と同じ言い方をしていた。これは一騎がこそうしの父親であることを表している。

 

・本音

史彦「一騎は一人でも行くつもりだ。
   皆城総士のかたきを討つために」
一期24話

真矢「北極に敵がいるって本当かなあ」
一騎「行って、確かめてくる」
一期24話

 一騎は父、史彦には本音を言ったが(ドラマCD『GONE/ARRIVE』参照)、真矢には本音を言っていない。

 

・理由

一騎「最初に言っておく。
   俺は飛んだこと、ないからな」
総士「心配するな。
   僕たち二人なら飛べるさ、そう思うだろう」
一期3話

 思うだけでは空は飛べない。一期26話で冲方丁がこの場面の回答を提示している。

総士「離陸した後は僕が操縦する。
   飛べるか、一騎」
一騎「飛べるさ、俺とおまえなら。
   そうだろう」
一期26話

 総士は自分が操縦すると言わなければならなかったのだ。

 

・壁

一騎「俺が止める。
   そのための強い器が欲しい」
『THE BEYOND』6話

 『THE BEYOND』では一騎がこそうしの壁になろうとしているが、一期で一騎は剣司の壁だったが、なかなか越えられない壁だった。

剣司「今日こそお前に勝つからな! 逃げるなよ」

 遼「総士は、どっちに賭ける? ちなみに剣司は十三連敗」
『RIGHT OF LEFT』(※1

 剣司が一騎に勝ったのは母、彩乃と衛を失った後だった。ただし、一騎はこの時、体の右半分は同化現象で動かない状態だった。

剣司「ははは、今の咲良が見てたら驚いたろうなあ」
一期24話

 一騎が主人公の立ちはだかる壁であり、剣司は一騎の同級生では唯一、好きな人と結婚し、子どもを授かったキャラクターであることから、一期~『EXODUS』の真の主人公は剣司だった。剣司の父、竜司は「剣司が生まれてまもなく、戦死している」(※2)ことから、一騎が剣司が越えるべき父親の役割を担っていたということになる。その一騎が理解したいと追いかけているのが総士であることから、総士がとてつもなく大きな存在であることがわかる。

 

・台詞回し

 『EXODUS』と『THE BEYOND』を見た後なので、全体的に台詞が長いと感じました。今の冲方丁ならもっと簡潔な台詞回しにしてしまうだろうと思った場面がいくつかありました。

 

 

※1 冲方丁『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』(2013年、ハヤカワ文庫JA)から引用。

※2 『蒼穹のファフナー DVD-BOX』、 『蒼穹のファフナー Blu-ray BOX』のブックレットから引用。