2020年7月3日からBS11で再放送されている一期8話~14話を見た時の感想をまとめました。『EXODUS』までのネタバレが含まれています。
・古い価値観
狩谷の部下1「いいのか溝口さんに報告しなくても」
狩谷の部下2「どうせ俺たちの考えはわからんよ。
古い人なんだからな」
一期8話
アルヴィスの上層部の考えは古いという批判はあながち嘘ではない。一期(2146年)から5年後の2151年、総士は竜宮島に閉じこもるという考えを否定。新国連と対話する道を選んだ。
総士「ただ閉じこもり、自ら対話の道を拒むと言うなら、
今の僕はその選択を、この島のあり方を否定する」
ドラマCD『THE FOLLOWER2』
事実、公蔵は竜宮島を古き世界と表現していた。
公蔵「古き世界から去ることを決めた」
ドラマCD『THE FOLLOWER2』
・漁夫の利
蓬莱島のコア「あなたはそこにいますか」
狩谷の部下2「やめろ、俺の心を読むな」
狩谷の部下1「どうした」
蓬莱島のコア「そうっか、お前たちが招かれたもう一つのアルヴィスか」
一期8話
蓬莱島のコアの姿をしたフェストゥム(イドゥン)は狩谷の部下の心を読み、竜宮島の情報を得た。ミツヒロからの指示に従い、蓬莱島の情報を得ようとした狩谷がフェストゥムに竜宮島に情報を与えたということになる。狩谷は一期23話でイドゥンに「憎しみ」という感情を教えたことを考えると、新国連のスパイだった狩谷を一番うまく利用していたのはイドゥンということになる。
・判断力
真矢はフェストゥムに襲われているアルヴィスの職員を見た時、即座に助けられないと判断し、その場を去った。真矢は自分の感情に左右されず、客観的に物事を見た上で状況判断できる人間ということになる。総士はそれを知っていたので、シュリーナガルでの判断を真矢に委ねた。
総士「信用できないと思ったら、即、撤退しろ」
『EXODUS』5話
・退島した理由
島民1「春日井さんち、ご夫婦で退島したそうよ」
島民2「いくらファフナーの責任をとるからって出て行くこともないのにね」
一期9話
春日井夫妻が退島した理由は、翔子の時に流れた噂と同じく「ファフナーを壊したから」になっていた。
史彦「お前たちが新国連に情報を流していたことはわかっている」
一期9話
この時、アルヴィスは一般の島民に対して春日井夫妻の真実の姿を明らかにしなかったということになる。
・新国連の世界
人類軍は軍隊であるため、自由意志ではなく「命令」が支配している社会だった。
カノン「それはできない、命令だからな」
カノン「遊びはそれからだと命令されている」
カノン「いいかカノン、上官命令だ」
一期11話
一騎に言った「命令」という言葉から、狩谷が所属しているのはアルヴィスではなく、人類軍であることを暗に示しているのではないだろうか。
狩谷「戦いなさい、真壁。
これは命令よ」
一期11話
・狩谷と道生
狩谷はアルヴィスでパイロット候補生に対して、上官の命令には疑問を抱かず、黙って従うべきという態度で接していた。
狩谷「作戦内容を説明する必要はない」
真矢「先生いつも質問には答えてくれるじゃない」
狩谷「ここは学校じゃない」
一期4話
狩谷「パイロット候補生は待機中だ。
勝手に持ち場を離れるな。
おい、こら」
一期6話
狩谷はアルヴィス内でも黙って上官の命令に従う人類軍の兵士として行動していた。
一方、道生は人類軍の兵士でありながら、黙って上官の命令に従うのではなく、自分で考えて行動していた。人類軍では誰もが使っている「任務」と「規則」という言葉を逆手に取って理由を作り、狩谷を任務だといって収監し、規則通り一騎の手を拘束した上で、部屋の外で一騎と話をした。
道生「皆城公蔵と親しくなりすぎていたことは調べがついているんだ」
狩谷「それは」
道生「みーんな疑ってるぜ、ダブルスパイじゃねえかってな。
これも任務でな、悪く思うなよ」
一期11話
道生「よう、久しぶりだな、真壁一騎。
狭い部屋でわりいなあ。
ちょっと外の空気でも吸うか」
道生「あっそうそう、悪く思わないでくれ。
これも規則でね」
一期12話
道生は黙って上官の命令に従うのではなく、自分で考え、納得した上で上官の命令に通り行動していた。
・人類軍とフェストゥム
狩谷は竜宮島を攻撃すれば、竜宮島を守るために人類軍を攻撃すると考えていた。
バーンズ「ファフナーを出して来ると思うかね」
狩谷「攻撃されれば当然」
一期14話
人類軍が竜宮島を攻撃した時、総士は竜宮島を守るために人類軍を攻撃したいと考えていた。
総士「あなたは戦いもせず、それでも指揮官ですか」
史彦「君はパイロットたちに人を殺せと命令できるのか。
今はまだ何の打撃も受けていない」
一期14話
狩谷が人類軍と同じ考えを持ち、総士がフェストゥムを象徴している存在であることから、人類軍とフェストゥムは同じ考えを持っていたということになります。
・未来を語る
洋治「さあ、かつて真壁紅音だった者よ。
この機体をぜひ君からアルヴィスの子供に渡してやってくれ」
一期14話
日野洋治がミョルニアにこう言った時、北極ミールはミョルニアという存在を制限していた。
フェストゥム「我々はお前の存在を制限した」
一期15話
ミョルニアは未来に起こること-北極ミールが自分を同化することを望み、自分はそれを拒まないーを知っていたため、日野洋治に未来を予言する言葉を返した。
ミョルニア「我々は私を真壁一騎に会わせないだろう」
一期14話
ミョルニアの望みとは自分が存在し続けることではなく、人間から学んだことを北極ミールに伝えることだった。
ミョルニア「我々と一つになるはずだったもう一つのミールの存在によって
私は私になりつつある。
それはお前がお前になりつつあるのと同じだ。
私はそれを我々に伝えねばならない」
一期15話
北極ミールはミョルニアの話を聞いた後、ミョルニアを同化しようとした。
ミョルニアは自分の役割を果たした後だったため、抵抗しなかった。そのため、あっという間に同化された。
・フェストゥムの進化
ミョルニアは自分という存在がなくなることを受け入れていたが、フェストゥムがモルドヴァ基地を攻撃しているため、日野洋治を一人にすることはできなかった。
洋治「この機体をぜひ君からアルヴィスの子供に渡してやってくれ」
洋治「どうした。
なぜ行こうとしない」
ミョルニア「まもなく我々がここに来る。
お前は一人だ」
一期14話
この後、ミョルニアは真矢が日野洋治に一緒にいる姿を見た後、一騎の元に向かった。
ミョルニア「日野洋治、お前はもう一人ではない。
私は行く」
一期14話
北極ミールの元に帰ることを決めていたミョルニアは真矢に日野洋治を託したということになる。
日野洋治は日野洋治を一人にしたくないというミョルニアの行動を次のように分析したが、ミョルニアには理解できなかった。
洋治「君は、私の命を心配してくれているのか」
ミョルニア「命」
一期14話
日野洋治はミョルニアに「命」という言葉を教えたが、ミョルニアにはこの言葉の意味が理解できなかった。しかし、2年後、ミョルニアがこの言葉の意味を理解したが故に、自らの存在を犠牲にして竜宮島ミールのコアの命を守るという行動をしたのではないだろうか。
ミョルニア「私とミールの同期を。
私がコアの生命を維持する」
『HEAVEN AND EARTH』
北極ミールにミョルニアを同化したことで、ミョルニアが学んだ知識を自分の物とした。ミョルニアの自分の命よりも他人の命を大切にする、自分が守れなくなった時は他人に託すという一連の行動から、フェストゥムの中に自分を犠牲にして仲間を守るという戦い方が生まれたのではないだろうか。
暉「仲間を守ってる」
咲良「盾を潰すよ」
『HEAVEN AND EARTH』
・叫べ
一期15話のサブタイトルが『THE BEYOND』の新オープニングテーマ「叫べ」の出典だと思われます。昔、冲方丁が『蒼穹のファフナー』のノベライズの各章のタイトルを、angela「fly me to the sky」の歌詞から採っていたことを思い出しました。