「蒼穹のファフナー」を見直した感想 Part6(BS11)

 2020年7月3日からBS11で再放送されている一期1話~7話を見た時の感想をまとめました。『THE BEYOND』のネタバレが含まれています。

 

・ファフナー

総士「あいつや他のパイロットに自己犠牲をさせないために、
   ファフナーを大事にするということを、
   ファフナーを失えば待っているのは島の住民の悪意だということを、
   教えこまないといけないんだ」
ドラマCD『NO WHERE』

 「ファフナー=パイロット」であることから「ファフナーを壊さない=パイロットも傷つかない」ということになり、パイロットはファフナーの中が一番安全ということになる。それはシュリーナガルからハバロフスクへ向かう途中で冬が訪れた時、竜宮島のファフナー・パイロット全員がファフナーの中で眠っていたことからも明らかである。

 『THE BEYOND』で保が言葉にしていた

 保「ザインの中が一番安全だから」
『THE BEYOND』5話

 

・竜宮島の外に出る

 2137年、一騎の世代が竜宮島の外の世界に興味を持ち、謎の声と交信しようした。この時、一騎たちは5~6歳だった。

フェストゥム「あなたはそこにいますか」
    子供「あっ」
    子供「やっぱ本物だ」
    子供「答えてみる?」
    子供「よし」
    全員「せえの」
一期1話

 それから9年後の2146年、一騎と真矢が竜宮島の外に出た。この時、一騎と真矢は14歳だった。

 

 2146年、広登が竜宮島の外の世界を見たいと言った。この時、広登は13歳の時だった。

    広登「でもさ、でもさ、この島から出られないのが嫌なんだよ。
       なんか、なんか、檻の中にいるような気がしてさ。
       一度でいいから外の世界を見てみたいんだよ」
一期10話

 それから5年後の2151年、広登は竜宮島の外に出た。この時、広登は18歳だった。

 

 2156年、こそうしが竜宮島の外の世界に呼びかけた。こそうしが生まれてから5年後のことだった。

  こそうし「こちら竜宮島。
       応答願います」
『THE BEYOND』2話

 こそうしが竜宮島の外に出たのは、それから数日後のことだった(※1)。

 以上のことから、物語が進むに従って、竜宮島の外に興味を持った人が島の外に出るまでの時間が短縮されていることがわかる。

    外の世界への興味 外の世界に行く
  一期 2137年
1話
2146年
10話
9年
10話
  EXODUS 2146年
『EXODUS』開始前
2151年
5話
5年
5話
  THE BEYOND 2156年
2話
2156年
2話
数日
19分強

 一期では一騎が竜宮島の外に出るまでに10話かかったが、『EXODUS』では一期の半分の5話で広登は竜宮島の外に出た。『THE BEYOND』に至っては、こそうしが無線機で呼びかけてから、わずか19分後、こそうしは偽竜宮島の外にある空母・ボレアリオスの甲板にいた。『THE BEYOND』は一期の状況をすべてひっくり返したものである上に、群像劇だった一期とは異なり、主人公は一人だったことから、1話内でこそうしが島の外に興味を持つところから島の外の世界に行くまでを描くことができたのだろう。

 

・島外派遣

 一期では総士(物語開始前)、一騎(一期10話)、真矢(一期14話)の順で竜宮島を出て、島の外の世界を見た。『EXODUS』で島外派遣に参加したファフナーのパイロットは真矢、広登、暉の三人だった。

 一期で竜宮島の外の世界を見ている真矢は『EXODUS』の物語開始前に竜宮島の外の世界を見ているため、『EXODUS』では一期の総士と同じポジションに立っていたことになる。

 

一騎「あいつが、島の外で見たものを、俺も見たかったんだ」
   そうすれば、あいつのことがわかるんじゃないかって」
一期15話

広登「じゃじゃーん、正式に決まったぜ」
陣内「派遣部隊に参加するのか」
 舞「なんで?
   広ちゃん、島が嫌いなの」
広登「違うよ、姉ちゃん。世界と島をつなげるんだ。
   理解し合うことで人間同士の争いをなくす。
   島のアイドルである俺の役目ってわけ」
『EXODUS』5話

 「世界と島をつなげる」という目的のために派遣部隊に参加した広登は、総士を理解するために竜宮島の外に行った一期の一騎と同じポジションに立っていたことになる。

 

真矢「皆城君、あそこに一騎君がいるんでしょ。
   助けに行こうよ」
一期13話

里奈「遠見先輩と行きたいだけでしょ」
『EXODUS』4話

 真矢と一緒にいたいために派遣部隊に参加した暉は、一騎のために島の外に行った一期の真矢と同じポジションに立っていたことになる暉の姿が重なる。

 一期と『EXODUS』で竜宮島の外に出たキャラクターの男女比は男2、女1と同じだった。一期では最終的に総士がいなくなり、一騎と真矢が竜宮島に帰還したところで物語が終わったが、『EXODUS』では最終的に真矢が生存して海神島に到着、広登と暉はいなくなるという逆の結末を迎えた。

  一期 EXODUS
  総士 真矢
  一騎 広登
  真矢

 

・サンプルを提供

 狩谷とともに竜宮島を出た一騎は新国連に捕らえられ、捕虜になり、モルドヴァ基地に連れて行かれた。一騎はそこで新国連に体を調べられた。

新国連スタッフ「しかし、遺伝子レベルでは確実に融合しています。
        彼、本当に人間なんですか」
一期13話

 この時、新国連は一騎のの一部をサンプルとして入手し、後にマカベ因子を作り出した(※2)。

 

 マークニヒトを乗っ取ったイドゥンは竜宮島を訪れ、ジークフリード・システムごと総士を北極に連れ去った。

■ジークフリード・システムとイドゥン
イドゥンにとってジークフリード・システムは異物であり、興味深い対象でもあった。そして、中にいる皆城総士という存在も…。個として存在するフェストゥムと人類の融合体を理解すべく、そのサンプルを北極に持ち帰った。(※3

 イドゥンはシステムと総士を理解するために、最終的に総士のをすべて同化した。

 

 一騎は人間に、総士は北極ミールにサンプルとして体を提供したことになるが、その状況は対称的である。

    一騎 総士
  島を出た状況 自分の意志で狩谷と島を出た イドゥンに連れ去られた
  提供先 新国連 北極ミール
  分量 体の一部 体のすべて
  入手方法 細胞を採取 同化
  提供後 竜宮島に帰還 体を失い、フェストゥムの世界へ行った

 竜宮島は一期で一騎と総士を通して、人間とフェストゥムが融合した人間の体のサンプルを、新国連と北極ミールに一体ずつ提供したということになる。新国連と北極ミールは竜宮島から入手したサンプルを解析したことで、一期から4年後の2150年、新国連とフェストゥムとの間でこれまでとは違う戦いが生まれた。

ナレイン「黙れ、太平洋圏最大の輸送基地だ。
     ここが落ちれば数百万の人間が飢え死にする。
     なんとしても守りきれ。
     これまで見向きもしなかったのに。
     人類がどのようにして命を保つか、学習したか。フェストゥム」
『EXODUS』1話

ミツヒロ「昔、カズキマカベは新国連のファフナー開発に協力してくれた。
     その時、彼の遺伝子を元に特効薬が作られたんだ」
 ビリー「素質が足らない人間でもファフナーが操縦できるようになる薬だよ」
『EXODUS』2話

 北極ミールから生まれたフェストゥムは人間の命を狙うようになり、新国連は竜宮島と同じコアを内蔵したファフナーを使用することができるようになったことで戦力が強化され、フェストゥムの戦闘とは激しさを増した。

 

 一期から7年後の2153年、フェストゥムは竜宮島から入手したサンプルをさらに解析した。

  剣司「クロッシングで侵入した」

   彗「クロッシングで同化するのか」
『THE BEYOND』1話

 フェストゥムは人間の体だけでなく、イドゥンの目標であったジークフリード・システムまでをも理解してしまったのだ。

 

 

※1 『THE BEYOND』2話の時系列は以下の通り。

1日目夜 :こそうしは無線機で呼びかけた。
2日目朝 :無線機から返事が帰ってきた。
3日目昼 :こそうしは学校の門で一騎を目撃した。
3日目夕 :こそうしは一騎と会う約束をする。
3日目夜?:こそうしは偽竜宮島の外に出た。

※2 『EXODUS』2話、参照。

※3 一期DVD9巻のリーフレットから引用。