「蒼穹のファフナー」を見直した感想(2021年)

 2021年9月に一期を見直した時の感想です。

 

・翔子と真矢

 甲洋は翔子に声をかけた。しかし、翔子が気になるのはこの場にいない一騎のことだった。

甲洋「羽佐間、よかった。
   無事だったんだ。
   けがは」
真矢「大丈夫」
翔子「春日井君、あのね」
甲洋「なんだ」
翔子「一騎君は?」
甲洋「真壁、ああ、無事だと思うよ」
翔子「よかった」
一期2話

 一騎は総士の指示に従い、輸送機から降りた。しかし、真矢が叫んだのは一騎の名前だけだった。

総士「このままでは全員が巻き込まれる。一騎」
一騎「ああ」
真矢「一騎君」
一騎「遠見、来るな、遠見。
   俺も、必ず」
真矢「いやー。
   一騎君、一騎君」
一期26話

 翔子と真矢は一騎のことしか頭にないので、全くまわりが見えない人ということになります。

 

・「EXODUS」の一騎

ミツヒロ「伝説の英雄に会えて、感激しています。
     あなたのお陰で、俺は戦えるんです」

 ビリー「すごいや、本当にマカベ因子のプレゼンスに会えるなんて」
『EXODUS』2話

  アイ「感謝しています、マカベ。
      あなたが私をファフナーに乗せてくれた」
『EXODUS』3話

 一騎はペルセウス中隊のファフナー・パイロットの言葉を聞いた後、この言葉を聞いた。

  乙姫「あなたはどう世界を祝福するの」
『EXODUS』4話

 一騎の頭の中に浮かんだのは、モルドヴァで一騎と一緒に戦った人類軍の兵士の姿だったのかもしれない。人類軍の兵士は以下の言葉を残していなくなった。

  兵士「無駄だ。
     気にするな、俺たちは兵士だ。
     命は惜しくない」
一期14話

 『EXODUS』の一騎の行動を決めたのはこの言葉だったのかもしれない。

  狩谷「私はあなたに島を守るんじゃなくて
     世界を守ってほしいと思ってるの」
一期11話

 

・「THE BEYOND」の一騎

 マークザインは一騎のこの望みから生まれた機体である。

一騎「俺はただ総士ともう一度、話がしたいだけだ」
一期15話

 『EXODUS』26話で総士は生まれ変わった。一騎は「総士のいない世界では話をする必要がない」と考え、第五次蒼穹作戦ではマークザインから降りたのかもしれない。

 アキレスをザルヴァートル化する際、一騎の頭の中に浮かんだのはこの言葉だったのかもしれない。

総士「一騎、戦うのはお前の役目だ」
一期8話

 

・クロッシング

総士「一騎、僕の見ているものが見えるか」
一騎「ああ、見える」
一期16話

 以後、クロッシング時の一騎と総士は同じものを見ていたということになる。一期26話、同化されて体を失った総士は一騎とクロッシングをしてフェストゥムの側に行った。

総士「僕はここにいる。
   いつか再び出会うまで」
一期26話

千鶴「一騎君が日常的にクロッシング状態にあると判明しました」
史彦「一騎が、敵の側にいる皆城総士と2年もの間、繋がり続けていたと」
『HEAVEN AND EARTH』

 一騎は総士と別れた一期26話ラストから『HEAVEN AND EARTH』のラストで総士と再会するまで、同化現象の後遺症で色彩が失われ、視力が弱くなった。

 白と黒の景色しかなかった。空と窓ガラスが、区別できない。
 目から、色彩というものが消えてしまったのだ。それどころか、窓の輪郭すらぼんやりとしている。
Preface of 「蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH」

 総士がフェストゥムの側にいる間、総士とクロッシングしている一騎は総士と同じ目、つまり無の中にいるフェストゥムと同じ目で世界を見ていたのかもしれない。

 『THE BEYOND』1話、マレスペロの支配下にあるハワイには色がなかった。

 『THE BEYOND』第10~12話PV に登場する戦闘シーンはすべて夜である。

 

・無限のクロッシング

ファフナーに乗ると「無限のクロッシング」であらゆる者の痛みを背負ってしまう(以下略)
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 一騎は竜宮島の外の世界を見て帰ってきた後、史彦にこう言った。

一騎「父さん、俺一人で戦いたい。
   他の奴ら抜きで」
史彦「島を出てずいぶんうぬぼれたな」
一騎「そんなんじゃない。
   ただ、誰かが死ぬの、もう嫌なんだ」
一期18話

 この台詞の「死ぬ」を「苦しむ」に変えると、「誰かが苦しむの、もう嫌なんだ」となります。一騎が「戦いで誰も苦しんでほしくない。苦しむのは自分一人でいい」と考えているのであれば、「無限のクロッシング」は一騎の望みを具現化したものであり、一騎は自分の意思であらゆる者の痛みを背負っているということになります。

 

・ファフナーに乗る理由

総士「罪滅ぼしのためなのか。
   君が戦う理由は」
真矢「そうかもしれない」
ドラマCD『NOW HERE』

総士「確かに彼女の動機は知ってる。
   義務感と孤独だ」
一期21話

 真矢は義務感と孤独からファフナーに乗った。しかし、『EXODUS』26話で弓子がいなくなり、『THE BEYOND』7話で千鶴がいなくなったことで、真矢がファフナーに乗り続けた理由の一つである「義務感」から開放された。一騎と甲洋はエレメントになり、剣司と咲良はファフナーから降りたことで、真矢は再び「孤独」になってしまった。真矢の置かれている状況を理解している一騎が真矢を諌めた。

一騎「俺や甲洋みたいになる必要はないよ」
『THE BEYOND』8話